９月のある曇りの日、横須賀市野比（のび）に行ってきました。今日はその時の話を。
いつも写真撮りながら散歩、という時は自分はデジカメも持っていく。しかし、今回はちょっと趣向を変えてデジカメは持って行かずに、古いコンパクトカメラ二台を持って散歩する事にした。ブログの記事用写真は携帯（Ｗ41K赤)で撮る事にしよう。この携帯のカメラは300万画素、いつもの写真散歩に使っているミノルタのデジカメとほぼ同じだ。
そんな訳で持っていくカメラは、45年ほど前のカメラ「ミノルタ ユニオマット」と、25年ほど前のカメラ「ミノルタ ハイマチックＳＤ」。前者は金属ボディにレンズは「ロッコール TD45mm F2.8」。後者は'80年代風味なプラスチックボディにレンズは「ロッコール38mm F2.7」。どちらも、レンズ交換は出来ない大衆機だけど、今時の大衆機とはレンズもボディの質感も別次元。もちろん、良い意味での話だ。親子くらい生まれ年の違うカメラ二台携えての「ミノルタ ロッコールレンズ 横須賀旅」開始。
昼過ぎに京急「YRP野比」駅に到着。「YRP」とは不思議な駅名だけど「横須賀リサーチパーク」の略で、駅の山側にそういうビジネス施設がある。
その施設とは反対方向、海に向かって10分ほど歩き、野比海岸到着。駐車場兼休憩所みたいな場所があるので、駅前のコンビニで買ってきたパンを広げてランチタイム。目の前の鉄柵に鳩が飛んできて止まった。白黒フィルム「コダックT-MAX」の入ったユニオマットで早速鉄柵の上の鳩を撮影。
食べ終わったあと、海岸沿いに海より一段高い所に延びる道路を、北の方角である久里浜方向に歩き始める。空は曇りだけど、雲の隙間から僅かに青空が見える場所もある。携帯でブログ用写真を数枚撮ったあと、道路から下の砂浜に降りて、海岸散歩。ほとんだ人がいない砂浜だが、野比の砂浜は幅が狭い。海水浴などには不向きだろうと思われる。
靴に砂が少し入ってきた頃、再び道路に上がる。久里浜からのバスの終点「野比海岸」バス停と、バスの折り返しをする空き地を発見。バスは一時間に1,2本程度の本数なので、バス停の周りは閑散としている。バス折り返しの空き地の先に、山側方向へと延びる小道があるので、進んでみた。
歩き始めてすぐに視界に野球グラウンドが広がった。草に囲まれた小道を更に進むと、小さな社宅風な建物が数棟現れた。どの建物も築三十年以上はあるのでは？と思われるような古いコンクリート階段の二階建て程度の高さの建物だった。駐車場に車が何台が置いてあるので、人は住んでいるようであった。
その建物群の先を更に進むと、小さな稲田があった。ここで向きを変えて、先ほどまでと同じく久里浜方向に歩く。歩いた先には療養施設がいくつかあった。そして、その周りには先ほどより更に古びた建物群が数棟現れた。近づいてみると、これらは廃屋のようであった。どの玄関の郵便受けにも、チラシが多数挟まれ、古びた原付が乗り捨ててあったりしたが、裏手に回って窓から中を覗くと、部屋の中は普通にガランとして整っていた。
近くにあった古い周辺案内板によれば、この建物群はどうやら看護士寮などの建物だったらしい。
療養施設は国立の建物で、アルコール依存症などの人へのリハビリ施設もあった。海を見下ろす静かな場所に綺麗な施設がいくつも建っていた。
再び、海岸道路に戻って、歩き始める。やがて巨大な病院が現れ、海岸は行き止まりとなる。この先は「千駄ヶ崎」というところなのだが、病院横の小高い駐車場から片鱗が見えるだけだった。
久里浜へ向かう事も考えたが、先ほどの廃屋群などをもう一回見ておきたくなり、歩いてきた道を戻る。
先ほど通り過ぎた、「古い建物ながら車が停まっているから人は居るのだな」と予想した建物から看護士の格好をした女性が数人歩いてきた。
古い建物群の近くにあった稲田からは、山蔭に沿った道をYRP野比駅方向に歩く事にした。その稲田の近くには小川が流れていたが、「ゴミを捨てないで！」という地元小学生の描いたポスターには「ホタルが棲む川」と書いてあった。
切り通しのような道を歩き視界が広がると、そこには研究施設や老人ホームなどが建ち並んでいた。道端に野良猫が二匹居たので遊ぶ。二匹とも人見知りしない猫で、遊んだ記念に携帯で写真を撮った。横須賀では、よく野良猫と会う。そして、人懐っこい猫が多い。
老人ホームを過ぎたあたりから、少しずつ住宅街になってきて、細い三叉路にバス停があった。そのバス停に黒猫が佇んでいる。バスを待つ母娘が「猫を見ていると癒されるねえ」と会話している。猫だけでなく、野比という町も療養施設や病院などが多い「癒しの町」であるように感じながら、日の暮れてきた閑静な住宅街を歩き駅へと向かった。
野比海岸散歩については、このサイトも参考になります。
http://miurahanto.net/place/walk/nobi/index.html
今回のBGM 海を見ていた午後 / 荒井由実
