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カルビーのポテトチップスが美味しい理由

2011-06-10 22:57:52 | クラブマネジメント
今週の水曜日、仕事で半日カルビーの前社長の中田康雄氏と御一緒させていただきました。かっぱえびせんの時代から今のカルビーを築き上げた名参謀であり名経営者です。今日は、中田氏の「すご腕ぶりの一端」をご紹介します。

カルビーは、今年東証1部に上場しましたが、上場した日はなんと「3月11日」。震災の日の朝でした。おそらく上場予定日が3月12日以降でしたら、上場を見合わせていたかもしれません。現会長CEOの松本晃さんも素晴らしい経営理念・グローバル経営手腕を持った日本でも特級の経営者です。先日松本CEOがジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の社長時代から大事にされている経営信条「クレド」のお話を伺いましたが、本当に感動しました。それに対し前任の中田康雄社長は「経営科学」の天才。経営科学とは簡単にいえば「経営を経験や知識、勘だけに頼らず、科学的な手法とデータに基づいて行なう」ことです。

例えば、ポテトチップスの原料であるじゃがいもですが、土の着いた野菜の輸出入は、検疫上禁止されており、国内だけから調達するしかありません。しかし国内のジャガイモの生産高が急激に上昇することはありませんので、ポテトチップスの原料となるジャガイモの量は毎年ほぼ一定量だけしかありません。その原料から製造出来るポテトチップの量も毎年同じ量しか生産できません。では、生産量が毎年同じポテトチップスをどのように販売したら毎年売上・利益を伸ばす事ができるでしょうか。袋当たりの価格を上げる、も一案ですが、現実にポテトチップスの価格は上昇し続けてはいません。また価格が適正価格以上に上昇すれば販売量が減少しますので必ずしも売上を上げることには直結しないのです。さぁ、皆さんカルビーの社長になったつもりで考えてください。

この答えは「作ったポテトチップスは一定の価格で全部売り切る」です。「売れ残り」といったロスを最小限化することです。しかもバーゲン価格ではなく一定の売値で「売り切る」事です。では、売り切るための一番の「鍵」は何でしょうか。当然、「カルビーのポテトチップスは美味しい」という評価を消費者から得ることです。コンビニに行って思わずポテトチップスが食べたい、と思うのは当然「ポテトチップスは美味しい」と脳が感じているからです。ではカルビーのポテトチップスが美味しいとお客様の脳に覚えていただくためには、どのような点を重視してポテトチップスを作ったらよいでしょうか。

答えは、「消費者に支持される味づくり」と「鮮度」です。ポテトチップの味はまず地域によって数十通りのバリエーションがあります。例えばこれは「関西だししょうゆ味」。関東ではお目にかかれない商品です。

そしてこれは「九州しょうゆ味」この他の同じ「のりしお」という商品名でも、地域毎に好まれる味に微妙に変えて出荷しています。また好まれない味のポテトチップスはその地域の店頭には出しません。

その地域で一番喜ばれる味で、ポテトチップスの味を開発・生産販売することが、「作ったポテトチップは全部売り切る」につながります。そしてもっと大事なのが「鮮度」です。あのカリッ!とした触感が、脳に「美味しい」と刻み込みます。ですのでポテトチップは、賞味期限は120日と2ヶ月に設定されていますが、実際は店頭に並ぶポテトチップの良い鮮度を維持するために80日で、販売するのを止め棚から引き上げてしまいます。さらに60日以内に全て売り切れるよう店頭在庫の量も調整しています。逆に製造から80日以上たったポテトチップを店頭に並べたコンビニ・スーパーのポテトチップの売り上げはどんどん落ちて行きます。買って食べた人の満足度が下がるからです。常に鮮度が高いポテトチップを置いている店は、買ったお客様がカリッ!と食べた瞬間に「美味しい」と脳に刻みこまれますので、毎日ポテトチップがどんどん売れていきます。ですのでカルビーのポテトチップスは、他メーカーより早く売り切れになることが多いのです。夜、遅くポテトチップをコンビニに買いにいったらコイケヤしかなかった、という経験皆さんもあることと思います。

以上ご紹介したのは、ポテトチップスを販売するための経営科学の一端です。この管理を経験と勘だけでは出来ません。カルビーの社長室のコンピューターの画面には、製造から80日以上経った商品の在庫が今どの地区のどの店にあるのかグラフで一目で分かるようになっています。またその鮮度の悪い商品を売っている店の売上との相関関係もグラフで一目でわかります。このデーターは1日1日で刻々と変化し続けています。こうした仕組みは全て経営科学の天才である中田康雄社長自らの発案であり設計です。収益を上げる企業の経営者は、他にマネのできない事を必ず実践している、と痛感させられます。
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