2016.5.3
憲法記念日
今朝の朝日新聞にフランスの家族政策のことが書かれていた。
日本は保育園に入るのも大変で、結果として急速な少子化が進んでいる。
一方フランスは手厚い家族政策をとり、少子化に歯止めがかかっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フランスでは保育所にくわえて保育ママが充実している。
フランスでは3歳以下の子ども約240万人のうち、託児所に入るのは1割に過ぎず、それをカバーするのが保育ママなのだそうだ。国内に31万人いる。
それにくわえて、家族手当が手厚い。
フランスでは、子育てする家庭向けの代表的な家族手当は、2人以上の子どもがいる家族だと、2人目に対し月約130ユーロ(約1万6千円)が出る。子どもが14歳になると加算され、20歳まで支給される。子が3人以上になるとさらに手当が増える。保育ママを利用して働く親には補助として手当も支給され、家族が多いほど所得税が優遇される制度もある。
*家族が多いほど所得税が優遇される制度というのは魅力だ。
若い夫婦が子どもをもとうとするインセンティブにつながる。
フランスでは、家族手当が医療や年金と並ぶ社会保障の柱のひとつとのこと。
7千超の団体の71万家族が所属する非営利組織「全国家族協会連合」や、政府や労組、有識者らでつくる首相直属の「家族高等評議会」など、必要な家族政策を実現させる「政治力」もフランス特有なのだそうだ。
家族手当を支給する全国家族手当金庫の担当者は「子育て支援は、将来年金を払ってくれる人の確保につながる」と話す。フランスが現在の2程度の出生率を維持すると、2060年の総人口のうち65歳以上の割合は3割以下に抑えられ、推計で約4割に達する日本と大きな差が出る。
フランスでは、2度の大戦で隣国ドイツと戦った教訓として出産奨励策が戦後に本格化した。もともと「子育ては主婦」という考え方が強かったが、学生や労働者が自由や平等を掲げ、当時のドゴール政権を揺るがした1968年の「5月革命」を境に、70年代以降は、女性の社会進出を支援することが家族政策の大きな目的になっている。
フランスの出生率は70年代半ばに2を割り込み、日本を下回る時期もあった。政策効果が表れ、1・6台で底を打ったのは90年代。2008年に「2」を回復するまで34年かかった。
そのフランスの家族政策も試練の時を迎えているのだそうだ。
今年1月に公表された15年の出生率(速報値)は1・96と、10年ぶりの低水準だった。新生児の数は前年よりも約1・9万人少ない約80万人に減った。いまの社会党政権に批判的な保守系のフィガロ紙は「ゆりかごの危機に直面している」と書いた。
出生率低下を招いたとみられているのが不景気と緊縮財政だ。欧州債務危機の後遺症で景気は低迷し、失業率は10%と高い水準が続く。OECDエコノミストのオリビエ・テバノン氏は「若い世代の失業率が高く、第1子を持つ年齢が遅くなる。失業問題を解決しないと、出生率は上がらない」とみる。
なるほど、職の安定、賃金の安定が出生率につながるということである。
翻って日本は、若者の職が不安定だから結婚せず、少子化につながっているといわれているが、若者雇用の安定こそが少子化に歯止めをかけるものなのかもしれない。
財政赤字を減らすため、家族手当の削減も始まっている。これまでは「子育てを社会全体で支える」という理念から、子どもの数に応じて同額支給されていたが、昨夏から所得制限が設けられ、年収約6万7千ユーロを超える世帯は手当が半額、約8万9千ユーロ超の世帯は4分の1となった。
日本経済研究センターによると、フランスでは、子育ての負担よりも、手当や税制優遇など給付が多く、年収3万ユーロの家庭で第3子まで育て上げると「給付超」の額は計約3900万円に達する。家族政策への財政支出(国内総生産比)は日本の1%台に対しフランスは3%近い。
同センターの試算では、日本が出生率2・1と仏並みの手当や保育サービスを目指すなら年間13兆円の財源が必要。消費税率を5%幅上げ、すべて子育てに回す計算だ。増税に頼らず社会保障を組み替えるなら、医療費の窓口負担増など、社会保障費のうち高齢者向けの割合を8割台から7割台に減らす必要がある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うーん悩ましい問題である。
日本の少子化を食い止めるには、フランス並みの保育サービスと手当が必要で、消費税5%上げてそれをすべて子育てに回す必要があるということである。
消費税を上げるのに反対する人たちは多くて、簡単ではない。
じゃあ、高齢者に投入されている社会保障費を減らしてというのもそれなりにわからないでもないが、高齢者の貧困も言われているので、社会保障費が削減されると困窮した高齢者が町にあふれてしまうかもしれない、と思うとそう簡単に削減するわけにもいかないのではいか。
孫世代のために祖父母世代が身を削るのは理解できるが、餓死してまでもできないだろう。
日本はこの難問にどう対処するのだろうか。
本当に難問なのである。
憲法記念日
今朝の朝日新聞にフランスの家族政策のことが書かれていた。
日本は保育園に入るのも大変で、結果として急速な少子化が進んでいる。
一方フランスは手厚い家族政策をとり、少子化に歯止めがかかっている。
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フランスでは保育所にくわえて保育ママが充実している。
フランスでは3歳以下の子ども約240万人のうち、託児所に入るのは1割に過ぎず、それをカバーするのが保育ママなのだそうだ。国内に31万人いる。
それにくわえて、家族手当が手厚い。
フランスでは、子育てする家庭向けの代表的な家族手当は、2人以上の子どもがいる家族だと、2人目に対し月約130ユーロ(約1万6千円)が出る。子どもが14歳になると加算され、20歳まで支給される。子が3人以上になるとさらに手当が増える。保育ママを利用して働く親には補助として手当も支給され、家族が多いほど所得税が優遇される制度もある。
*家族が多いほど所得税が優遇される制度というのは魅力だ。
若い夫婦が子どもをもとうとするインセンティブにつながる。
フランスでは、家族手当が医療や年金と並ぶ社会保障の柱のひとつとのこと。
7千超の団体の71万家族が所属する非営利組織「全国家族協会連合」や、政府や労組、有識者らでつくる首相直属の「家族高等評議会」など、必要な家族政策を実現させる「政治力」もフランス特有なのだそうだ。
家族手当を支給する全国家族手当金庫の担当者は「子育て支援は、将来年金を払ってくれる人の確保につながる」と話す。フランスが現在の2程度の出生率を維持すると、2060年の総人口のうち65歳以上の割合は3割以下に抑えられ、推計で約4割に達する日本と大きな差が出る。
フランスでは、2度の大戦で隣国ドイツと戦った教訓として出産奨励策が戦後に本格化した。もともと「子育ては主婦」という考え方が強かったが、学生や労働者が自由や平等を掲げ、当時のドゴール政権を揺るがした1968年の「5月革命」を境に、70年代以降は、女性の社会進出を支援することが家族政策の大きな目的になっている。
フランスの出生率は70年代半ばに2を割り込み、日本を下回る時期もあった。政策効果が表れ、1・6台で底を打ったのは90年代。2008年に「2」を回復するまで34年かかった。
そのフランスの家族政策も試練の時を迎えているのだそうだ。
今年1月に公表された15年の出生率(速報値)は1・96と、10年ぶりの低水準だった。新生児の数は前年よりも約1・9万人少ない約80万人に減った。いまの社会党政権に批判的な保守系のフィガロ紙は「ゆりかごの危機に直面している」と書いた。
出生率低下を招いたとみられているのが不景気と緊縮財政だ。欧州債務危機の後遺症で景気は低迷し、失業率は10%と高い水準が続く。OECDエコノミストのオリビエ・テバノン氏は「若い世代の失業率が高く、第1子を持つ年齢が遅くなる。失業問題を解決しないと、出生率は上がらない」とみる。
なるほど、職の安定、賃金の安定が出生率につながるということである。
翻って日本は、若者の職が不安定だから結婚せず、少子化につながっているといわれているが、若者雇用の安定こそが少子化に歯止めをかけるものなのかもしれない。
財政赤字を減らすため、家族手当の削減も始まっている。これまでは「子育てを社会全体で支える」という理念から、子どもの数に応じて同額支給されていたが、昨夏から所得制限が設けられ、年収約6万7千ユーロを超える世帯は手当が半額、約8万9千ユーロ超の世帯は4分の1となった。
日本経済研究センターによると、フランスでは、子育ての負担よりも、手当や税制優遇など給付が多く、年収3万ユーロの家庭で第3子まで育て上げると「給付超」の額は計約3900万円に達する。家族政策への財政支出(国内総生産比)は日本の1%台に対しフランスは3%近い。
同センターの試算では、日本が出生率2・1と仏並みの手当や保育サービスを目指すなら年間13兆円の財源が必要。消費税率を5%幅上げ、すべて子育てに回す計算だ。増税に頼らず社会保障を組み替えるなら、医療費の窓口負担増など、社会保障費のうち高齢者向けの割合を8割台から7割台に減らす必要がある。
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うーん悩ましい問題である。
日本の少子化を食い止めるには、フランス並みの保育サービスと手当が必要で、消費税5%上げてそれをすべて子育てに回す必要があるということである。
消費税を上げるのに反対する人たちは多くて、簡単ではない。
じゃあ、高齢者に投入されている社会保障費を減らしてというのもそれなりにわからないでもないが、高齢者の貧困も言われているので、社会保障費が削減されると困窮した高齢者が町にあふれてしまうかもしれない、と思うとそう簡単に削減するわけにもいかないのではいか。
孫世代のために祖父母世代が身を削るのは理解できるが、餓死してまでもできないだろう。
日本はこの難問にどう対処するのだろうか。
本当に難問なのである。