「任侠ヘルパー」行ってきました。
脚本がどうの、カメラがどーの、そゆの抜きにして「肌」で感じた 感想を少し。
不器用で 不完全で もがきながら生きている 翼彦一の存在感。
彼はヒーローではない
冒頭のコンビニのシーンから、グッ と惹きつけられ
134分間。
短く感じられるぐらい・・・なんて言うんだろ・・掴まれて離してくれない、みたいな。
「死にてえのかバカヤロウ」
と言いたくなるような彦一の疾走ぶり。
でもなぜか、しまいには「好きにしろよ」と言いたくなる、ヤツのバカさ加減には惚れぼれする。
愛とか、人生とか、簡単に語れるはずもないことを説教たれてくることもない
答えだって出てない。出るわけない。
あるのは、スクリーンの中に生きる人間が“それでも生きている”ということ
そして、そんな人間たちは見ているそれぞれにどこかだぶったりするのかもしれない。
時に クスッとするユーモアや 男くさい友情チックなシーンも 泣けてくるシーンも
無理なくエンターテインメントの中にちりばめられ
「ストーリーのための登場人物」ではなく、ひとりひとりがちゃんと生きて(実在して)いたし
なにより
ラストカット、圧倒的な彦一の輝きが印象的だ・・
ドラマシリーズを観ていなくてもまったく問題ない
1本の作品として間違えなく楽しめます・・いや、ドラマ版とは「異なる」作品だと言っていい。
少しでも興味がある人は、ぜひ映画館の大きなスクリーンで観て欲しい。
そして・・・最後に。
この映画がテーマにもしている『介護問題』。
ストーリー上、「施設」や「病院」の悪いところを描く必要があったのでしょうし・・・「行き場のないお年寄り」や「家族が持て余したお年寄り」という側面を表現する必要があったのでしょうけど
「施設」や「病院」が必ずしも悪いものではないことを述べておきたい。
在宅介護ではどうにもならず・・家族も疲弊している行き詰った状況が、施設や病院に入ることで「良い方向」に向かうことがあること
それを知って欲しい。
そして、「施設に家族を入所させる」ことが、悪いことのような、罪悪感を伴うことのように日本人に根付いている価値観が変わって行ってほしい。
よい施設、よい病院は沢山あること
在宅で家族がみるには、場合によっては「限界」があること。
以前、ブログでほんの少し書いたから、憶えてくれている方もいるかもしれませんが。 私はここ数年間、母を在宅介護してきました。
1日の睡眠時間が、1時間でも毎日仕事に行っていました。そんな数年間でした。
フルタイムで勤務している私が外出している間に、何度倒れていたことか。何度救急車に乗ったことか。ICUも入院も「またか」と。
このままでは共倒れか いや、私が先に死ぬかもしれない・・
そう思いながら「でも誰も助けてくれない」と感じていました。
先の見えない日々の中、母はまた倒れICUで死をさまよいました。
“救いの手”は思いがけず差し伸べられ、「これで回復して、自宅に戻ってもまたしばらくしたら入院の繰り返しになると思う。生活の見直しを他のご家族と相談してください」と。
主治医から「施設入所」へのススメでした。
そんなこと想像もしていなくて、急転直下・・・あれよ、あれよ、と短期入所の施設にすんなり、入れました。
そして、約1年後の今月「長期的」にすごせる施設へと移ることができました。
母は施設に入って、本当に心身ともに安定し良くなりました。
本人にしたら、自宅がいいんだろうな・・とは思う時もあります、でも
私も母も、一緒にいる時より、現在の方がそれぞれ「人間らしい生活」を送っているんです。
介護や医療の現場で頑張ってくださっているプロフェッショナルの皆さんがもっと認められ・・・
「施設」「病院」と生活者の関係がうまく循環し、社会がまわるようになってほしいと思っています。
彦一の輝きとともに
「介護問題」の一端しか、描かれていなかったけど・・ちょっと文句もあるが(苦笑) 切り込んで提示してくれたことに感謝いたします。
自身も、そして家族も、いつか年をとる
全員の課題に目をそむけず、観て欲しい「任侠ヘルパー」。