長野市で計画中の古民家再生。
さて、概ね実施設計を終えましたので、ここで一度、設計概算見積をお施主さんに提示しました。
新築ならば基本設計時に設計概算見積を出すこともできますが
古民家再生の場合、かなり詳細まで踏み込んで実施設計をしてみないと、方針と納め、そして仕様が決まらない、という事が多いので
ある程度、実施設計が終わったところで積算します。
そのため、実施設計段階での設計概算見積は、
お施主さんのご希望の殆どを反映し、加えて設計者としても理想的な仕様内容となっていて
それを設計価格で積算しますので、
殆どの場合、お施主さんが期待している工事費を軽くオーバーしてしまいます。
ですので、ここからが実は正念場
工事費については、実際工事をする方達に金額を伺いながら、
設計見積から工務店見積に近い金額に入れ直し、
更に、
設計内容の変更(仕様を変えたり、方法を変えたり、それでも厳しい場合はプランの一部変更等)を幾つかパターンを検討し、
どこまでお施主さんに受け入れてもらえるかという調整作業に移ります。
ということで、
8月はお盆休みも特に取らず(暦通り)
ほぼずーっと、図面と並行して積算作業をしておりました。
ようやく何とか、設計概算見積(理想案)は纏まりまして
予想通り、心臓の痛くなる金額がはじき出されたところで
さてこれから調整します!
ここで少し話が逸れますが
リフォームや古民家再生、リノベーションなど検討されている方に是非、おススメしたいリフォーム読本があります。
それはこちら↓
暮らし創造研究会HPより『健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本』
PDFはこちらよりダウンロードできます。
この冊子は昨年にまとめられたもので
私共がこれまで古民家再生案件でもご提案してきたものが、うまく纏まっておりまして、
まさしくコレ!という内容でした。
特に14頁には、栖風采が今までやってきた断熱改修部分の考え方が図化されていましたので
早速、活用させてもらいます!
図中 プラン4
今回、長野市の古民家再生計画、理想案としてご提案中のものです。
断熱に関しては、床、壁、天井、窓、全て改修する案。
加えて床暖房も。
床暖房については、このリフォーム読本でも断熱リフォームとセットで考えたい暖房として取り上げられております。
栖風采の設計した古民家再生では、8割程が床暖房が入っております。
寒冷な信州の古民家において、
暖かく、
快適に、
結露が生じにくい室内環境
を得るには
今のところ、確実なのは床暖房。
暖房計画をせずに断熱改修だけでは片手落ち。
断熱材がぐるりと入っていても、
それだけで手放しに暖かい住環境が得られるわけではありません。
また、建物の耐久性を考えれば結露は避けたいところ。
部屋間・昼夜・室内外で温度差が生じる部分には結露が発生しやすいもの。
人の暮らしにおいても、
温度差の少ない室内環境 は 体への負担も少なくて済みます。
ですので
断熱改修(窓も)+床暖房←ここまで頑張る事が出来れば、
寒冷地における古民家暮らし、老若男女、どの世代にとっても快適になること間違いなしです。
話戻りますが
今回、計画中の古民家再生案件は、
断熱改修としてはフルコース的なプラン4をベースとしながら
床暖房も完備
更に
古民家再生仕様(限界耐力計算法による耐震改修、基礎全面改修)
という内容で実施設計を進めておりました。
が、
設計概算見積を出してみますと、予想はしておりましたけども・・・かなりの予算超過となりまして
これから調整案を考えます。
まず断熱改修については
図中 プラン3(部分断熱改修)
つまり、壁の断熱を止める案 で調整して積算するところです
他にも
基礎の考え方を変える案、等、
私の頭の中では常に「調整案」を念頭に置きながら設計を進めていますので
お施主さんの期待する古民家再生の内容から掛け離れないよう、
慎重に調整案をまとめていきたいと思っております