大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『岳飛伝九』

2017-01-25 06:17:13 | 映画評
タキさんの押しつけ読書感想
 『岳飛伝九』



昨年の春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している読書感想ですが、もったいないので転載したものです。


久方振りの新刊です。ずっとスティーブン・ハンターの旧作を読んでいました。

「真夜中のデッド・リミット」に掛かったところで、これで手持ちのハンター作品は終了です。
 今回、読み返してみて、よ~く解ったのが「真夜中~」と「さらば、カタロニア戦線」の二作以外は、極一部にせよ、全部“スワガーサーガ”に繋がっているという事です。
 日本でのスティーブン・ハンター作品の翻訳出版は、出版社が三社にまたがり、また、出版順がバラバラだった為、その有機的繋がりが分かりにくかった訳です。
 今、改めて作品世界が見えています。これまでも部分的に読み返す事はあったのですが、「極大射程」から順を追って全部読んだのは初めて、やって良かったです。銃器がサブの主人公ですから、そちらに興味の無い方には苦痛になると思うので、万人にお薦め出来ないのが本間に惜しい。

 さて「岳飛伝」です。

 南宋と梁山泊は海上でとうとう開戦、呼応している訳ではないが、金とも開戦となり、ウジュ対呼延凌の間で火蓋が斬られる。南方では、秦容と岳飛に対して大里に侵攻した南宋軍が牙を剥き始める。
 ここ2巻、眠ったような展開だったのが、一気に動き始めています。
 経済戦も、ここ2巻に張られていた伏線が明らかになっている。「水滸伝」はこうじゃなくっちゃ面白く無い。   まぁ、小説ですから、沙門島が落とされて孫二娘が死んだりします(これでオリジナルメンバーの生き残りは8人)が、やむなしですね。彼女がここで死ぬ意味が分かりません。北方御大の価値観に“?”マーク一つです。
 物語的には岳飛が梁山泊にまた一歩近寄り、蒋ケン材も梁山泊に助けられる。これで間盛忠が梁山泊に取り込まれたら(無い話ではない)ある種の形が出来上がる。
 なんせ秦カイが、アホの官僚剥き出しになってきたし、ダラン(金の丞相)が死んで、金の宮中も大混乱。ウジュが軍事クーデターを起こして収拾しようとする。いずれにしても、後、ン十年で蒙古に飲み込まれるとも知らず、みんな懸命の権謀術数、読んでいて泣けて来ます。
 さて、ほんまに北方文豪……この先、モンゴルをどう絡めるつもりなのでしょうねぇ。
 また、楊令の遺児・胡斗児は、このまま、ウジュの子として生涯を終えるのか(な訳ゃぁ無え) 風雲急を告げる岳飛伝、次巻は一体いかなる仕儀となりますやら。いや、ほんまにやめられまへんなぁ。
 北方御大、物語途中でご病気など召されませんよう……楽しみに待っとりますでございます。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高校ライトノベル・タキさん... | トップ | 高校ライトノベル・タキさん... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画評」カテゴリの最新記事