REオフステージ (惣堀高校演劇部)
061・夏休み編 まずはワイキキビーチなのだ!
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/4e/731505b1c90aa9afc1b35dd4753f5b5e.jpg)
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです
自分で当選していながらよく分かっていないミリーだ。
飛行機の中で千歳のお姉さんから聞かれてもパンフレットを差し出すだけのミリー。
ムルブライト奨学金の交換留学生優待のアメリカ旅行。お姉さんの後でパンフを見たけど、アメリカらしく免責事項に関する記述がビッシリ。
主体は個人旅行で旅行中の責任は本人に帰属しバナナの皮を踏んで怪我してもムルブライトは関知しないことまで書いてある。
行き先は、アメリカ国内であれば原則自由。3Dバーコードを写メれば行き先に着いてのオプションが無数と言っていいほど現れる。
わたしたちが「これだ!」と思ってチョイスすればたちどころに予定が組まれ、必要な予約がなされる。
ハワイと言えばワイキキビーチ!
なんともミーハーだけど健康的なチョイス。
主体は個人旅行で旅行中の責任は本人に帰属しバナナの皮を踏んで怪我してもムルブライトは関知しないことまで書いてある。
行き先は、アメリカ国内であれば原則自由。3Dバーコードを写メれば行き先に着いてのオプションが無数と言っていいほど現れる。
わたしたちが「これだ!」と思ってチョイスすればたちどころに予定が組まれ、必要な予約がなされる。
ハワイと言えばワイキキビーチ!
なんともミーハーだけど健康的なチョイス。
「ねえねえ、水着とかどーする?」「ざっくりと条件付けといたら用意してくれるみたいやし」「わたしでもいけるのかなあ?」「介助者がいればいいみたいだぞ」「スキューバダイビング!」「さすがにライセンス必要やし」「買い物にもいきたい……」「せやねえ……」「それからぁ……」
入国ゲートを出たところのベンチでスマホを囲んでウキウキの惣堀四人組。
「う~ん、やっぱワンピね、わたしは」
高校生といっても、もう24歳だし、運動不足だし、露出の多い水着はNGだし。
「う~ん、セパレート……ワンピ……競泳用はありえないっと」
「そういう括りじゃなくて、千歳は萌ちゅう感じでええんちゃう?」
「そ? じゃ、ミリー先輩はアグレッシブなアメリカン?」
女の子たちは特定の水着ではなく条件で絞り込んでいく。その方が、どんなのが出てくるか楽しみなんだ。
「ね、啓介は?」
タブレットには水着女子の写真が一杯なので、啓介は一歩引いてしまっている。
「あ、俺は日本男子!」
オーダーなのか照れ隠しの一言か分からないまま、スマホに打ち込んでいく。
「水着はムルブライトから届いています、こちらになります、お召し替えは地下一階の更衣室をお使いください」
ホテルに着くと、カウンターで一切合切を渡される。
「水着はムルブライトから届いています、こちらになります、お召し替えは地下一階の更衣室をお使いください」
ホテルに着くと、カウンターで一切合切を渡される。
「チトセ・サワムラ様にはビーチ用の車いすをご用意しておりますので、お召し替えのあと、このカウンターにお立ち寄りください」
懇切なブリーフィングを受け、エレベーターで更衣室へ。
「え!?」「うそ!」「やだ!」「なんで!」
四つの声が個室からして、着替え終わってビックリした。
「え!?」「うそ!」「やだ!」「なんで!」
四つの声が個室からして、着替え終わってビックリした。
「「「「わ!」」」」
互いの姿を見て、揃って声を上げた。
わたしのワンピはあちこち穴が開いている。胸元、わき腹、お尻の上とかに。
わたしのワンピはあちこち穴が開いている。胸元、わき腹、お尻の上とかに。
ミリーのはハイレグのワンピだけど、ミスアメリカ!ちゅう感じでキラキラの星条旗になっている。
「こ、これは……」と頬染める千歳は紺のスク水で、ご丁寧に『ちとせ』の名札が胸に付いている。
で、三人がそれぞれの水着にあっけにとられたあと爆笑したのが啓介。
「「「わ、赤フンだ( ゚Д゚)!!!」」」
たしかに日本男子で、わたしたちも設定条件通りって言えばそうなんで、旅先のノリで浜辺にくり出した。
「「「わ、赤フンだ( ゚Д゚)!!!」」」
たしかに日本男子で、わたしたちも設定条件通りって言えばそうなんで、旅先のノリで浜辺にくり出した。
えと、特筆すべきなのがホテルで用意してくれた車いす。
なんとキャタピラ付電動車いす!
「わーい、なんだか戦車みたい(^▽^)!」
なんとキャタピラ付電動車いす!
「わーい、なんだか戦車みたい(^▽^)!」
駆け足くらいのスピードが出るので、千歳は先頭に立って浜辺を駆けまわった。
生活防水になっていて、そのまま海にも入れる。
「水には浸からないつもりだったんだけど……」
そういう千歳だったけど、水の中で手をとってやると自然に浮いて少し泳いだりプカプカ浮いて水の感触を楽しんだりしている。
「ウォ! 引っぱるなあ!」
啓介が叫んだかと思うと、千歳の手にはグダーっと長い赤フンが握られていた。
腰まで水に浸かってビーチトスバレー。わたしたちには程よい負荷がかかり、千歳は水に浸かることで自由になって楽しめた。
ミリーがイルカ型のウキを借りてきて交代で乗ってみる。
楽しいんだけど、大股開いて乗るのがね……。
「わたし乗ってみる」
千歳は恥ずかしいよりは好奇心が勝った。スク水なので大股開いても、わたしたちほどには気にならないようだ。
「バナナボートにしよう!」
啓介のアイデアで、三人で横と後ろに付いて千歳を乗せたままのウキを押して泳ぐ。
時々お互いの体が触れる。
日ごろだったら「この変態があ!」と叫ぶようなことでもヘッチャラ。
その後は水に浸かったままでトスバレーをやったり、千歳にタイムをとってもらってブイのところまで三人で競泳したり、ビーチパラソルの下で昼寝をしたり、昼寝の最中に日焼け止め塗るの忘れてて、ちょっとした騒ぎになったり。楽しく過ごした。
演劇部の仲間になって四カ月。
なんだか一気にスキンシップになって、お互いの距離が縮まったワイキキのビーチではあった。
演劇部の仲間になって四カ月。
なんだか一気にスキンシップになって、お互いの距離が縮まったワイキキのビーチではあった。
☆彡 主な登場人物とあれこれ
- 小山内啓介 演劇部部長
- 沢村千歳 車いすの一年生 留美という姉がいる
- ミリー 交換留学生 渡辺家に下宿
- 松井須磨 停学6年目の留年生
- 瀬戸内美春 生徒会副会長
- 生徒たち セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口
- 先生たち 姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)
- 惣堀商店街 ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)