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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

くノ一その一今のうち・70『まあやはマッタリ日常系が好きなんだけど』

2023-08-13 09:56:01 | 小説3

くノ一その一今のうち

70『まあやはマッタリ日常系が好きなんだけど』そのいち 

 

 

 日本人をバカにしてんのか!?

 

 十日ぶりの撮影所、台本を読んでムカついた。

 歴史活劇ドラマ『吠えよ剣』は、甲州の回を終わって江戸に戻ってきている。

 幕府も遅まきながらも、勝海舟を実質的な総裁にして陸軍を創設した。

 その幕府陸軍の教官として多数の教官がフランスから送られてくるんだけども、その一人がミッヒ。

 ミッヒはジョルジュっていうフランス軍少尉の役。

「なんで、ドイツ人がフランスの軍人やってんのよ!?」

「フランスとドイツは地続きなんだぜ、国境付近は歴史的にもドイツになったりフランスになったりってところがあって、不思議じゃないよ」

「だって、ジョルジュって完ぺきフランス人の名前でしょうが」

「ドイツ語読みならゲオルグだよ」

「ああ、そう」

 ドン

 自販機のカフェオレのスイッチを乱暴に叩く。

 ゴロン、ピピピピピピ……ピ……パンパカパーン!

「あ、当たった!」

 自販機のルーレットが当たりになって、二つ目のカフェオレをゲット。

 

「あら、二人とも仲良しになったのね(^▽^)」

 

 まあやが次の撮影に備えて移動してきた。

「あ、ごめん、遅くなって。て、こいつとは仲良しじゃないから」

「そーお、先週は、仕事以外口もきいてなかったのに」

「え、あ、そうだっけ?」

「おはようございます、まあやさん」

「ボンジュール」

「あ、こいつドイツ人だし」

「役はフランス人でしょ、雰囲気よ雰囲気。三十分後、衣装合わせだから、よろしくね」

「うん、これ飲んだら行く」

 一人で次のスタジオに向かうまあや。

「ミッヒ、あんた、わたしとは口きかなかったの?」

「あ、だって、社長や嫁持ちさんが化けたソノッチだっただろう」

「え、分かってたの?」

 二人とも細胞レベルの変身名人だから、めったにバレることはないんだけど。

「そういうのを見抜くのが、僕の特技であったりするわけだよ」

 こいつの、ランツクネヒトとしての力は奥が深いようだ……。

 

 ドラマは、幕府陸軍の教官としてやってきたジョルジュ少尉が千葉道場に通って北辰一刀流を勉強するという設定になっている。

 

 衣装合わせの後、道場での稽古風景。

 10人5組で、打ち合い稽古。その後は門下生みんなでご飯をいただくシーン。

「日本のごはん、どれも美味しいけど、これは慣れませ~~ん」

 と納豆をかき混ぜるジョルジュ。

「あら、こないだはくさやの干物に打ち勝ったのに?」

「ジョルジュ、納豆を食べんと北辰一刀流の精神は理解できんぜよ」

 龍馬に意地悪を言われるジョルジュ。

「それなら、ムッシュ龍馬もエスカルゴを食べるべきだぞ(,,>∀<,,)!」

「でんでん虫は食いもんじゃなかろうがあ」

「納豆も食いもんじゃないよ、ムッシュ!」

「なにを言う、納豆は大豆だ、仏蘭西でも納豆はたべるじゃろうがあ!」

「じゃ、今度はエスカルゴの納豆和えを作ります」

「「それは勘弁!」」

 さな子の提案に日仏の剣術使いが音を上げて、一発でOKが出る。

 

「来週分、一部差し換えになります」

 

 監督が、新しい台本の束を置いた。

「あらら、江戸城の回が最初にくるのね」

 まあやが、ちょっと残念そう。

 しばらくは千葉道場のシーンが続いて、いまみたいな『千葉道場の日常』的なやり取りが続くことになっていたから。

 まあやは、ドラマでもリアルでも、みんなで仲良くマッタリというのが好きなんだ。

 わたしも、台本を繰ってみて気が付いた。

 ミッヒとわたしの出番が、しばらく無い。

 

 ひょっとして、また裏の仕事……それも、ミッヒといっしょだったりするぅ(;'∀')?

 

 気配に顔を上げると、脚本の三村紘一がニヤニヤ笑ってる。

 言うまでもなく、三村紘一は徳川物産の課長代理服部半三の仮の姿で、徳川忍者団のフィクサーなんだ。

「あら、わたしの出番も……」

 まあやもビックリした。

 なんか、いやな予感しかしないよ(-_-;)。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
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RE・かの世界この世界:187『大毛島 義経軍の幻と共に』

2023-08-13 06:16:49 | 時かける少女

RE・

187『大毛島 義経軍の幻と共に』テル 

 

 

 二キロ足らずの鳴門海峡を全力疾走で渡った。

 

 対岸の大毛島の砂浜に立って振り返ると、狭い海峡にはいくつも渦が巻いている。

「ここを走ってきたんですね……」

 歴戦の下士官であるタングニョーストも背嚢を揺すりあげて感心した。

 カサリ

「背嚢のタングリスも感心してるよ」

 骨と皮だけになったタングリスと、それを背負っているタングニョーストを気味悪がったケイトだけども、共に海峡を走破するという偉業をなし終えて、骨のこすれる音にも懐かしさを感じている(^_^;)。

「タングリスがもうちょっと復活して肉が付いていたら渡れないところでした」

「タングニョースト」

「なんだい、テル?」

「わたしにも、戦友の温もりを感じさせてはくれないか」

「テルが?」

「うん、四号に乗ってムヘンの血を乗り切れたのは、いつも隣にタングリスが居たからなんだ。最初は、タングリスが操縦手で、砲手のわたしは、いつもタングリスの背中を見て戦った。ノルデン鉄橋でタングニョ-ストが転属してからは、車長席で、それこそわたしの背中に居た。それを少し偲べればと思ってね」

「そうか、それなら戦友も喜んでくれるだろう……」

 背中を向けて触らせてはくれる。少し持ち上げて見ると、少し復活したのかズシリと重い。

「わたしにも!」

「ああ、優しく、そっとな」

「おい、あれは!?」

 ヒルデが岩を挟んだ隣の砂浜を指した。

 イザナギが軽々と岩に登って様子を窺う。

「あれは義経の軍勢です。浜に乗り上げて、馬と兵を下ろしています」

「時空が錯綜している、義経がここに来るのは千年先のことだよ」

 歴史オンチのわたしでも、それくらいの事は知っている。

「話題にしていたのは我々です、呼び寄せてしまったようですね」

 目の前の浜で隊列を整えているのは幻だ。

 幻だけれど、まんまと平家の裏をかいた義経は一の谷に次いで奇襲に成功し、平家を壇ノ浦に追い詰める。

 これから、黄泉の国を目指してイザナミを取り返そうとする我々の心を大いに鼓舞してくれる。

 

 いざ、進め!

 

 紫裾濃(むらさきすそご)という、紫系のグラディエーションがオシャレな大鎧、その袖を翻して進撃の檄を飛ばす義経。

 ピカッ ゴロゴロッ!!

 折から起こった雷光が、兜の鍬形を煌めかせる。

 

 オオ!!

 

 雷鳴に和して、総勢百あまりの軍勢が北西に進路を取って駆け出した。

「威勢はいいが、100ほどの中隊規模でしかないぞ。テル、平家の軍勢は何人ほどだ?」

「ええと……」

 さすがに、高校生の知識では、そこまでは分からない。

「二万近くがいるはずです」

「分かるんですか、イザナギさん?」

「源氏も平家も、わたしの裔の者たちですからね、ああやって幻でも現れると分かるようです」

 そうだ、源氏は桓武天皇の、平家は清和天皇の子孫だ。

「さあ、我々も出発しようか」

 ヒルデが拳を上げて、我々五人の黄泉遠征軍も腰を上げる。

「タングニョ-スト、高松までの前方を偵察してくれないか」

「承知した! しばらくタングリスを頼んだぞ」

 身軽になったタングニョ-ストに、歴戦の下士官に相応しい役割を与える。

 ヒルデが寄り添ってきて、そっと呟くように言った。

「よく、言ってくれた。ただ、交代しようと言うだけでは背嚢を渡さんかったよ、タングニョーストは」

「あ、いや……(^_^;)」

 さすがはヴァルキリアの姫騎士、全て読まれている。


 我々は、義経軍の後を追うようにして高松を目指した。

 

☆ ステータス

 HP:10000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・1000 マップ:1000 金の針:1000 福袋 所持金:450000ギル(リボ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケアル ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

    テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官  ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官  ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 ナフタリン       ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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