ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

『サムホエア・ビフォー』

2012年06月17日 | 巡礼者の記帳
棚のレコードは、さきごろの大地震で三度もゆかに散乱し、こうなったらとりあえず拾って棚に戻したままである。
ぐちゃぐちゃの並べ順のせいで、忘れていたレコードにいろいろ手が伸びるようになった。
席に並んでタンノイを聴く男女の客は、横浜育ちです、と女性が申されているが、会話がときどき関西弁になる。
一緒の男性の関西弁がうつったものというから、あるいは密着した生活をされているご様子である。
当方も、自由が丘の改札口を出たところで、関西弁の男に道をきかれ、思わず「あっちヤ」と言葉が出た。
関西弁とは、おそろしいもんヤデ。
「サラ・ボーンは何枚か持っているわ。よく聴いたのはティボリガーデンかしら」
女性は、背筋のとおった姿勢でジャズをたんたんと話しているのをみて、ふと、池波正太郎の『剣客商売』に登場する、佐々木三冬を思い出した。
三冬は、田沼老中の隠し子で書物問屋・和泉屋が持っている根岸の寮に、老僕の嘉助と暮らす、井関道場の四天王の一人などという女剣客である。
モデル業のようなこれほど一貫して姿勢の良い客はめずらしいので、ジャズも真っ直ぐに聴いておられるかもしれない。
1961年のサンデイ・アット・ビレッジヴァンガードからレコードを変え、1966年キースのライブ『サムホエア・ビフォー』を聴いて、あれっ、と一瞬思った。
ピアノ・トリオライブで、ドラムスが同じポール・モチアンであるせいか、ニューヨークからロサンゼルスのシェリーズ・マン・ホールに、そのまま演奏は移動したかのようである。







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