ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

サングラスの客

2007年12月02日 | 巡礼者の記帳
タンノイのまえでマリーン・グラスを外さない客が登場した。
「まえに長岡スワンを自作してみましたが、それは実家に置いて有ります」オーディオの不思議に魅入られた人は、或る日、関東から奥の細道に舵を取った。
駅前の案内所でサービスされた図面をたよりに東北の街を逍遙しながら、公園で遊んでいる子供たちに目を留める、ふと見上げるとそこにROYCEはあったという。
テーブルの冊子を手に取ってしばらく読んでおられたが「とても良い文章です」とお言葉を述べると、はじめてサングラスをはずし、こちらを見た。
それは、どこかで会ったような気もしたのであるが、わからない。
むかし仕事場にサングラスを絶対外そうとしない男がいた。
バンド・リーダーのような采配は、臨時社員を突き抜けて気合いをこめ、風貌がどこかマイルスを漂わせるので、そのままにということになったが、あるときふいに来たお偉方に「あのメガネはなんだ」とバレて、存在を深夜ワークのほうに隠した。
特別待遇だ。
そうまでしてサングラスにこだわったから、奇特で良いと考えるが、何事かに青春を燃焼した彼は、いまでもサングラスをかけているような気がする。
サングラスの人では、KAI先生も人後に落ちない存在感があった。
いよいよ京都の家に向け旅立たれるとき、先生はお見えになって、タンノイに向かっていた姿勢をまげ、ちょっとのあいだ偏向グラスをはずし「また来ても、良いですか」と申されて当方を見た。
あとで次第にわかったことだが、貝のように無言を貫くひとも、ROYCEでは刹那の名言を無尽蔵に放射してくださって、それは3つ離れたテーブルの客まで痺れる。
その話を聴きにまた訪れた人もいたから、ロイヤルも青ざめたが、ホルミシス効果はもったいなくも当方の喫茶におさまるひとではなかった。
冬の日溜まりのうつろいは早く、マリーン・グラスの客は、おわりに845アンプの巨大さをめでると、ひとりうなずいて颯爽と帰っていった。


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