ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

桜山

2009年04月27日 | 歴史の革袋
桜山に、小学生の時遠足で登ったが、平安朝の当時、北上川の対岸の柳の御所から桜で埋まった山容を眺めた西行の視界を、いま見ることはできない。
西行はその桜山を見る前に、旅の途中鎌倉に立ち寄って頼朝と対面していると歴史書にある。それが本当なら互いに深い意図を隠して、相手の持つオーディオ装置の鳴りをたしかめたと思われる。
やがて遠路平泉の柳の御所に入った西行は、あるじ秀衡に、頼朝の音響装置の鳴り具合を話題にして、かわらけで東北の酒をくみかわしたのか。
柳の御所から見た当時の桜山は、満開に咲き誇って、有名な歌を西行に詠まれている。
百人一首の西行をみると、なかなか闊達な日常をうかがわせるが、数百年の後、芭蕉は、西行の道をたどってこの地に立ち、頼朝の攻略ですでに滅んだ平泉都を見た。
これから5月の連休に、西行と芭蕉の歌枕に立って、のんびりと北上川に映る桜山を観光するのはすばらしい。
秀衡も、西行も、芭蕉も、メメントモリの象徴のような桜を、現代の人とは違った感性で眺めていた。

ジェツト機の翼に点滅するランプは...
で知られる名調子の、深夜ラジオのナレーターがふたたび代わったことに気が付いた。
その気だての良さそうな声は、一点の非もないどころか、逸材であろうけれど。
だが、タンノイはタンノイであって。ⅢLZで聴いて以来の番組が、ある日突然のナレーションの変貌に、これはスピーカーのエッジが壊れたかと、驚いた。
希望の発露を述べて許されるなら、あの007ショーンコネリーの吹替え若山弦蔵と天下を二分した『城達也』を、本人が無理でも、さりげなくそっくりの声の主を探し出して「ジェツト機の翼に点滅するランプは...」と、語らせてもらえたら、そのプロデューサーはエライと思う。

ズート・シムスとアル・コーンはYOU’D BE SO NICE TO COME HOME TOをソロで交代するが、意外や両者の技倆を憶え違えていたと、気が付いた。
ユードビソゥ...はヘレンメリルの唄が女性の心をあらわしているように定着したが、本来は男性の言いまわしとの説もあって、いったい誰の演奏が真に迫っているか、コルトレーンなどを聴いてみたい。







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大唐から帰国したSA氏

2009年04月18日 | 巡礼者の記帳
迫のSA氏は、ROYCEの『845アンプ』を改造してのち、単身、唐の都に渡っていった。
時々に、風の便りは有ったが、あの御仁は、言葉の解らない國でどうして暮らしているか、技術をこわれて腕におぼえがあるとはいえ、なまじの志ではない。
唐の都に遠征しいつか三年も経ったが、そのまま彼の地の人になってしまった平安朝の偉人もいる。
ところがこの春、ひょっこりROYCEに現れると、さっそく845アンプの前に立ち、積もる話も脇に置いて「この前段の、GEC、KT-88は、取りつく部品とミスマッチです」と言った。
それまでのEL-34と交換して挿してみたKT-88は、タンノイの世界を描く845管の音を一変させ、嬉しがらせてくれたそれなのに、或る日、無情にも壊れたのである。
迫のSA氏の申されるには、
「いま我が家に、これまで鳴らしていたものよりさらに大きいアルテック・システムと、JBLの大型マルチ・システムも並んでいますが.....この845アンプを直す時間をつくって待っていますから」
ほほう。ショウ・ルームに新しく入れた、これまでよりさらに大きなシステムとは、どのようなものか。
あの天井に取りつけた2個の空飛ぶ円盤のような76センチウーハーを憶えているが、さらなるものが、いまはあるというのか。
「かの地で、いろいろ真空管を採集してきましたから、それもいずれ、音にしてみたいと思います」
それだけ申されると、車に待たせていたご婦人と、さっそうと帰っていった。温泉の帰り、立ち寄られたので、湯冷めは禁物である。
アルテックの大型装置といえば、先日の来客の『A-5アルテック装置』のことが思いうかび、写真をSA氏に紹介したが、はたしてそれぞれどういうジャズ世界を提示して、マイルスやコルトレーンがどうなるのか。当方の見立てによれば、どちらの御仁も、静かなること林のごとく、疾きこと風のごとしバチバチッ!と写真から火花が散ったか、すでに両者の間に、見えない音響世界の鍔鳴りをきかせ、どちらも経験の積んだ大音量の自作派で、ブルー・ノートの名場面が浮かんでは消え、居ても立ってもいられないとはこのことである。




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JACK TEAGARDEN

2009年04月12日 | 巡礼者の記帳
水戸のタンノイ氏は、高速道を快適に3時間飛ばし一関に着いたとき、まだ少しの黄砂と杉花粉が景色にそそぐ光をあやしくさえぎっていた。
「人に言われます。いったい一関というところに何がある?」年に三度もくれば、怪しまれますか。
トロンボーンを吹く水戸のタンノイ氏は、オーケストラ・ステージに並ぶことも有るが、ジャズLPの蒐集に余念がない。そのうえ、ROYCEのタンノイの先を行こうと、管球アンプに気配りをはじめてさえいるらしい大胆さ。
持参したLPの黄金時代のデキシーランド・ジャズを年代順に聴かせていただいたが、ジャック・ティーガーディンの『St.James.Infirmary』など、トロンボーンの自在な階調はどうなっているのか、うっとりした。
そこに、水沢から来ましたと申される「喫茶店コレクター」が入ってきた。
どうでもよいことであるが、「音楽にべつだんまだ興味はない」と若い男は言っている。
視線が宙に止まって、そう言う御仁も世におおぜい存在し、一つのえがたい景色を構成している。
まてよ、つれの女人の姿勢が、タンノイに食いついているのが気になって尋ねた。
「水沢には、ハーフノートがあるでしょう。行かれましたか」
男は、否、と否定したが、女人は「ええ、行きました」と小声で言ったので、考えた。
すると、違う男の人だったのかな.....などと。
聞きとがめた若い男は、「ええっ“」と、ソフアの上であきらかに調子をはずし、肩まで揺らして悔しがったから、女人は「いや、ええ、まあ」などと、ハッハ、今後が期待できる人たちを、水戸のタンノイ氏は横目で困ったように笑っている。
デキシーランド・ジャズは、なかなか味わいがあって良しかった。
水戸のタンノイ氏は、観光協会の深甚なる御仁が持参した新しいパンフレットを手に、「配志和神社の下とはどのへんですか?」と次なる一手を考えていた。




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THE MODERN ART

2009年04月04日 | 巡礼者の記帳
いろいろなテナーの鳴りを、タンノイであるときは厳めしく拝聴する。
踊りたかろうが気持ちをこらえて、考えて聴くタンノイのジャズである。
門限があるので、と急いでいるときにタンノイはいけない。駈けつけて3杯もあわただしい。
シャボン玉を追った昔があるように、紫煙の漂う先を眼で追っていくように、珈琲の香りを気分に含みながら、あるときテナー・サクスを聴く。
そういえば、席に構えている3人のお客のそれぞれが、ご自宅に『アルテックA-7』という惑星軌道の直列のような偶然が起きて、知っている当方は黙っていたので、そのままに終わった。
なんとなく知っていて、それを黙しているのがジャズ喫茶か。
しかし、当方だけ気分がおもしろいで良いはずもない。
タンノイに対峙した気骨の人物の醸す、緊迫の音場もあるかもしれないと、さて、いまは4人のお客にお尋ねしてみた。
左席の申されるには『アルテック・フラメンゴ』、次の席は『アルテック・A-5』、次の席は『川向うに迫るJBLマルチシステム』、次の席の御仁は『アルテック・A-7』。
それを聞いて皆一様に何事かに驚いて、室内の空気の色が変わったような気がした。
一番驚いたのは、鳴っているタンノイ・ロイヤルか。
腰のモノは、隣室に預かっておかないとあぶない。



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郵便受け

2009年04月02日 | 徒然の記
春江潮水連海平

衣装棚から、あつらえた服を選ぶと、陽気の春に繰り出すハガキは、
伊達藩一番町の、ジャズを着る店。

おや、ポストにもうひとつ、めずらしく封書が.....。
山形のO氏が、先日のご来訪の思い出を、したためてくださった。



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