前項の牙城のあるじN氏は、これまで何度かお見えになったのでおおよその想像はあったが、写真は全容を正確に伝えるので、心得のある人は具体的な音像について思い描くことができるであろう。
「むかし仙台のお座敷で、何十万かする三味線の演奏を聴いたことがありますが、このタンノイ・ロイヤルの『竹山』は、あのときの音です」
N氏は、御自分のJBLの高域に多少の違和感を感じ、しばらく写真のアルテックのほうを鳴らしておられたそうで、余韻のある音も嫌いではないという。
オーディオの世界では、ピテカントロプス以来の系図をたどるようにして、タンノイかJBLかアルテックか、枝分かれにさしかかるが、厳密に楽しもうと部屋を3つ造って廊下を枝分かれにしている人もいる。
ところで水沢の『パラゴン』を聴かれましたか?
「聴いてきました」
八方に感度を広げ、たいていの音は耳におさめているN氏であった。
むずかしいことを言わずに音楽を楽しみましようと、バッハ・ホールの遠征の話をきこうとしながら、当方はオーディオ雑誌を手に持った。
「むかし仙台のお座敷で、何十万かする三味線の演奏を聴いたことがありますが、このタンノイ・ロイヤルの『竹山』は、あのときの音です」
N氏は、御自分のJBLの高域に多少の違和感を感じ、しばらく写真のアルテックのほうを鳴らしておられたそうで、余韻のある音も嫌いではないという。
オーディオの世界では、ピテカントロプス以来の系図をたどるようにして、タンノイかJBLかアルテックか、枝分かれにさしかかるが、厳密に楽しもうと部屋を3つ造って廊下を枝分かれにしている人もいる。
ところで水沢の『パラゴン』を聴かれましたか?
「聴いてきました」
八方に感度を広げ、たいていの音は耳におさめているN氏であった。
むずかしいことを言わずに音楽を楽しみましようと、バッハ・ホールの遠征の話をきこうとしながら、当方はオーディオ雑誌を手に持った。