日本の船で働く外国人船員は12万人である。
漁をしたり航海している日本船の面積を、自国の領土と考えると、飛び地のような我国は意外に広い。
鎌倉時代に、頼朝の後継実朝は、ぜひ宋の國を見たいと、渡来人エンジニア陳和卿と相談し、鎌倉材木座海岸に巨大な帆船を建造しつつあった。
『春立たば 若菜摘まむと しめおきし 野辺とも見えず 雪の降れれば』
実朝は出来栄えをたびたび見に行って楽しんだが、船はいたずらに大きすぎたのか、とうとう浜辺からびくとも動かなかった。
当方が、最初に鎌倉に行った目的の一つは、その船の破片でもあればという海の情景の期待と、鎌倉八幡宮から材木座海岸に一直線に伸びている参道が、そのまま造船所の床のように太平洋の海中にズブズブと入っている設計なのか、地図ではそのように見えたのだが。
ある時、江ノ電に乗って見に行った。
なるほどね、そうなっていたのか。
この鎌倉には、文人墨客も住んでいると、タンノイを聞きながら、お客は申されている。
「大学刊行誌の会費の集金をたのまれて、川端邸に訪問したのですが、驚きましたね。2時間のあいだむこうが話したのは、たったの二言でした。わたしは一方的に話し、むこうは、ふんふんと聞いているわけです」
その種の本をちょっと開いてみると、出版社に採用された新人女性が挨拶に行ったときのことを、かの康成先生は最後まで一言も口を開かず、帰りの江ノ電で女子社員は涙が出たと回想がある。
Royceもタンノイを鳴らさないまま、お客に催促されることもあるので、気をつけねば。はっは。
ところで、Royceのある『十二神』区から隣に『末広町』があって次が『才天』で『幸町』と繋がっている。
その幸町から、一分の隙もない客がしぶいランドクルーザーに乗って登場した。
ジャズを楽しみながら、申されている。
「そういえば自宅で『パラゴン』が鳴っています」
すばらしい。
マークレビンソンで駆動し、ついこの間まで鳴っていたのはマッキントッシュによるアルテックA-7であるという。
表情一つ変えないその客に、当方は気になって尋ねた。
――そのA―7とやらは、いまどうなっているのでしょう?
「部屋の片面に置いて有ります」
漁をしたり航海している日本船の面積を、自国の領土と考えると、飛び地のような我国は意外に広い。
鎌倉時代に、頼朝の後継実朝は、ぜひ宋の國を見たいと、渡来人エンジニア陳和卿と相談し、鎌倉材木座海岸に巨大な帆船を建造しつつあった。
『春立たば 若菜摘まむと しめおきし 野辺とも見えず 雪の降れれば』
実朝は出来栄えをたびたび見に行って楽しんだが、船はいたずらに大きすぎたのか、とうとう浜辺からびくとも動かなかった。
当方が、最初に鎌倉に行った目的の一つは、その船の破片でもあればという海の情景の期待と、鎌倉八幡宮から材木座海岸に一直線に伸びている参道が、そのまま造船所の床のように太平洋の海中にズブズブと入っている設計なのか、地図ではそのように見えたのだが。
ある時、江ノ電に乗って見に行った。
なるほどね、そうなっていたのか。
この鎌倉には、文人墨客も住んでいると、タンノイを聞きながら、お客は申されている。
「大学刊行誌の会費の集金をたのまれて、川端邸に訪問したのですが、驚きましたね。2時間のあいだむこうが話したのは、たったの二言でした。わたしは一方的に話し、むこうは、ふんふんと聞いているわけです」
その種の本をちょっと開いてみると、出版社に採用された新人女性が挨拶に行ったときのことを、かの康成先生は最後まで一言も口を開かず、帰りの江ノ電で女子社員は涙が出たと回想がある。
Royceもタンノイを鳴らさないまま、お客に催促されることもあるので、気をつけねば。はっは。
ところで、Royceのある『十二神』区から隣に『末広町』があって次が『才天』で『幸町』と繋がっている。
その幸町から、一分の隙もない客がしぶいランドクルーザーに乗って登場した。
ジャズを楽しみながら、申されている。
「そういえば自宅で『パラゴン』が鳴っています」
すばらしい。
マークレビンソンで駆動し、ついこの間まで鳴っていたのはマッキントッシュによるアルテックA-7であるという。
表情一つ変えないその客に、当方は気になって尋ねた。
――そのA―7とやらは、いまどうなっているのでしょう?
「部屋の片面に置いて有ります」