母屋の、いつもの決まった席で、いつもの夕食用の箸を構えて食事を摂っている。
「おいしいね」
と思わずのべたひとくちが、納豆であったりすると、席はシーンとなる。
おっと、しまった。
そのとき、電話が鳴った。
「大阪からですが」
と、電話の向こうで貫禄のある御仁が話している。
「昨年も計画しましたが、川の向こうが急にクローズとのことで、航空券をキャンセルしました」
客人は、こちらにも足を伸ばすと申されて、連休も開けているかとおたずねである。
そのとき、誰にか向かって「おつかれさま」と、優しく返事をした様子が受話器の向こうにあった。
――あのゥ、2ヶ月先でも喫茶を開けましょう。
「ほほう、連休でも大丈夫ですか?」
終始一貫、楽しそうな御仁に、会ってみたいと当方は思ったので請合ったが、黒部峡谷の奥にも、誰も見たことの無い滝がある。
先日も、群雄割拠の著名な『タンノイ』のブログ、の客人が遠路お見えになって、終始楽しそうであった。
その御仁をテレビの画面で探すなら、レストランのメニューを三人が実食して採点する、中央の男性に雰囲気が似ている好人物である。
昔、川向こうにかよってJBLを研鑽したことなどおくびにも見せず、バイオリンが気に入っていると言い、あろうことかジャズのライブの機会も持たれるそうで、たいていのことを卒業し、いまこうしてRoyceにわざわざ足をのばしている。
こちらのかかえている時代がかったレコード再生に理解を示し、初めて聞く話のように終始楽しんで、チップまで置いて、言った。
「いま、車に九十一歳になる父を休ませているので、これで失礼します」
当方は、親孝行な人に弱く、御仁の日常と音楽生活を、あらゆる想像力を働かせてイメージした。
たまには、トニイ・ベネットやフランキー・レインもタンノイで聴こうと盤を取り出すと、SP盤のように硬くて厚い板が、当時のレコードであった。
「おいしいね」
と思わずのべたひとくちが、納豆であったりすると、席はシーンとなる。
おっと、しまった。
そのとき、電話が鳴った。
「大阪からですが」
と、電話の向こうで貫禄のある御仁が話している。
「昨年も計画しましたが、川の向こうが急にクローズとのことで、航空券をキャンセルしました」
客人は、こちらにも足を伸ばすと申されて、連休も開けているかとおたずねである。
そのとき、誰にか向かって「おつかれさま」と、優しく返事をした様子が受話器の向こうにあった。
――あのゥ、2ヶ月先でも喫茶を開けましょう。
「ほほう、連休でも大丈夫ですか?」
終始一貫、楽しそうな御仁に、会ってみたいと当方は思ったので請合ったが、黒部峡谷の奥にも、誰も見たことの無い滝がある。
先日も、群雄割拠の著名な『タンノイ』のブログ、の客人が遠路お見えになって、終始楽しそうであった。
その御仁をテレビの画面で探すなら、レストランのメニューを三人が実食して採点する、中央の男性に雰囲気が似ている好人物である。
昔、川向こうにかよってJBLを研鑽したことなどおくびにも見せず、バイオリンが気に入っていると言い、あろうことかジャズのライブの機会も持たれるそうで、たいていのことを卒業し、いまこうしてRoyceにわざわざ足をのばしている。
こちらのかかえている時代がかったレコード再生に理解を示し、初めて聞く話のように終始楽しんで、チップまで置いて、言った。
「いま、車に九十一歳になる父を休ませているので、これで失礼します」
当方は、親孝行な人に弱く、御仁の日常と音楽生活を、あらゆる想像力を働かせてイメージした。
たまには、トニイ・ベネットやフランキー・レインもタンノイで聴こうと盤を取り出すと、SP盤のように硬くて厚い板が、当時のレコードであった。