母屋の食卓で、奇妙な天気予報がテレビで流れているのを聞いた。
「おだやかな日差しにヤツデの小さな白い花が咲いています。お天気です」
みると、まじめな中年の男性アナウンサーが、毎回たくみに地上のさまざまな風景の変容を、三十六歌仙が詠む散文のように天候を織り込んで、時に、あぶなくこちらは、味噌汁をよそうお椀を落としそうになったりしたが、毎回聞いているうちに、城達也のジェットストリームを思い出した。
アナウンサーも永く勉めていると、確たる世界を持つ。この放送は岩手限定のようである。
この日めずらしく、温泉道楽の御仁が立ち寄ってくださった。
「昨夜はホテルで、エバンスの三枚組CDを聴いていました」
いったいどのようなけっこうな生活をされているのか謎であるが、タンノイでベニー・グリーンなどを聴きながらお話に耳をかたむける。
「菊地成孔氏が上梓された本について、寺島氏の推薦書評が、どうも本文を読まずに書かれている....」といったジャズ的話題が、レコードの合間に煙のようにただよって時は過ぎていった。
「おだやかな日差しにヤツデの小さな白い花が咲いています。お天気です」
みると、まじめな中年の男性アナウンサーが、毎回たくみに地上のさまざまな風景の変容を、三十六歌仙が詠む散文のように天候を織り込んで、時に、あぶなくこちらは、味噌汁をよそうお椀を落としそうになったりしたが、毎回聞いているうちに、城達也のジェットストリームを思い出した。
アナウンサーも永く勉めていると、確たる世界を持つ。この放送は岩手限定のようである。
この日めずらしく、温泉道楽の御仁が立ち寄ってくださった。
「昨夜はホテルで、エバンスの三枚組CDを聴いていました」
いったいどのようなけっこうな生活をされているのか謎であるが、タンノイでベニー・グリーンなどを聴きながらお話に耳をかたむける。
「菊地成孔氏が上梓された本について、寺島氏の推薦書評が、どうも本文を読まずに書かれている....」といったジャズ的話題が、レコードの合間に煙のようにただよって時は過ぎていった。