ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
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バッハ カンタータ第106番「神の時こそ いと良き時」 BWV106

2005-04-29 | CDの試聴記
バッハのカンタータ第106番「神の時こそ いと良き時」を聴きました。

<演奏>
リヒター指揮 ミュンヘンバッハ管弦楽団、同合唱団
テッパー(アルト)、ヘフリガー(テノール)、アダム(バス)

このカンタータは、バッハの初期カンタータの中の傑作として知られており、伯父さんの葬儀の為に作曲されたとされています。私が聴いたバッハのカンタータの中で、最も美しい音楽です。
この曲との出会いは、社会人になってまもない頃、コレギウムアウレウム合奏団のLP(ハルモニアムンディ盤)を聴いたときでした。(随分前になりますね・・・)
冒頭、リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバで演奏されるソナティーナの何という静けさ、天国的な美しさ。最初の出会いから、心が洗われる想いがしました。

今日聴いたのは、リヒターの演奏です。
久しぶりに聴きましたが、やはり真摯で祈りに満ちた素晴らしい演奏ですね。
ソナティーナは、ゆったり歩くようなテンポで演奏されますが、本当に心が浄化されていくような気持ちになります。
「死への恐ろしさ」から「死への安らかな憧れ」の分岐点になる第2曲dにおける3声の合唱フーガの見事なこと。ソプラノが「さあ、イエスよ来てください」と呼びかける部分との対比も実に見事です。リヒターの凄さが良く分かります。
終曲のアーメンのフーガの部分では、無宗教の私ですが「死への安らかな憧れ」を感じ、何かじーんと来ました。

実はこの曲を今日聴こうと思ったのは、先日の尼崎で発生したJR福知山線の脱線事故で亡くなられた方の数が106人に達したと知り、何かこのカンタータとの不思議な結びつきを感じたためです。
想像もできないようなことが突然現実に起こってしまったわけですが、犠牲になられた方、その家族の方々にとっては、やりきれない気持ちでいっぱいだと思います。
本当ならいたはずのところに、ぽっかり穴があくわけですから、ご遺族の本当の悲しみはこれからかもしれません。何とか気持ちを強く持って、亡くなられた方の分も生きていただきたいと思います。
でも、阪神淡路大震災で多くの方が犠牲になられたちょうど10年後に、またこのような事故が起こるなんて・・・。
現在関東に住んではいますが、関西人の私としては神様を恨みたくなります。


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