ETUDE

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ムーティ&ベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサート 2009 in ナポリ(BS-hi)

2009-11-23 | BS、CS、DVDの視聴記
土曜日の深夜に、今年5月に行われたベルリンフィルのヨーロッパコンサートの模様をNHKのBS-hiで放映していた。
とても素晴らしいコンサートだったので、簡単に感想を。

今回のマエストロはリッカルド・ムーティ。
そしてコンサート会場に選ばれたのは、ムーティの生まれ故郷であるナポリのサン・カルロ劇場だった。
サン・カルロ劇場は、天井のフレスコ画が印象的な歴史的な建物で、今回の映像ではカメラもさりげなく美しい歌劇場の中を映し出してくれていた。
<日時>2009年5月1日
<会場>サン・カルロ歌劇場 (ナポリ)
<曲目>
■歌劇「運命の力」 序曲 ( ヴェルディ作曲 )
■「追憶の歌」 ( マルトゥッチ作曲 )
■交響曲 第8番 ハ長調 D.944 ( シューベルト作曲 )
<演奏>
■メゾ・ソプラノ:ヴィオレッタ・ウルマナ
■管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
■指 揮:リッカルド・ムーティ

「運命の力」序曲を聴くだけで、ベルリンフィルの表現能力の高さを思い知らされる。とくにクラリネットは絶品だ。
1曲目の序曲が終わると、早くも大きなブラヴォーがきていた。
ただ聴き終わって興味深かったのは、この序曲が一つの作品として完結しているように感じられたこと。
これがウィーンフィルやスカラ座のオケなら、拍手もそこそこにオペラの続きを観たいと感じたのではないだろうか。

2曲目はマルトゥッチの「追憶の歌」。
初めて聴く曲だったが、本当に素晴らしい音楽だ。
私は大きな感銘を受けた。
マルトゥッチといえば、ムーティは昨年のウィーンフィルとの来日公演でも、ブルックナーの2番が終わった後のアンコールで、彼のノットゥルノをとりあげていた。
ムーティにとっても、きっと大切に思っている作曲家なのだろう。
また、スカラ座の来日公演でアイーダを歌って喝采をあびていたウルマナだが、この日は静かに情感を込めて歌ってくれていた。
とくに終曲の「いや、夢は消え去っていない」は秀逸。
そして、ここでもベルリンフィルの素晴らしさには、ただただ唖然とするばかりだ。

後半は、シューベルトの「グレート」。
冒頭のホルンが、本当にゆったりとそして豊かに歌う。
この日のトップはバボラークだったが、いつもながら素晴らしいなぁ。
そしてそのホルンの醸し出した雰囲気を弦や木管が次々に引き継いでいくわけだけれども、その過程でメンバーたちがやりとりする呼吸の見事さ、音楽としての統一感の高さを聴くと、やっぱり世界一のオーケストラだと思い知らされる。
それから、すべてのパートに言えることだけど、彼らの奏でる音の何と立派なことだろう。
「美しい」とか「強い」とか「輝かしい」というような形容詞は、その一面しか言い表していない。
実がいっぱい詰まった音というか、とにかく充実した立派な音なのだ。
豊かな歌と圧倒的な高揚感に、私は痺れた。

ムーティの「グレート」といえば、4年前に初めて生ウィーンフィルをサントリーホールで聴いたときの想い出の曲だ。
あのコンサートを聴いて、私は生の音楽(=LIVE)の素晴らしさに目覚めた。
そして、それ以降音楽との接し方が変わったといっても過言ではない。
ウィーンフィルのその時の演奏と比べても、この日のベルリンフィルの演奏はまったく引けを取らない。
やはりムーティの自然で躍動感を感じさせる音楽作りの成せる技だと思う。

それにしても、最近のムーティは「指揮棒」を本当に大きく振らなくなった。
とくに右手でビートを刻むアクションは、必要最小限しかしない。
それでいてアンサンブルは緊密で、出てくる音楽は表情豊かで生気に満ちている。
オケがベルリンフィルだからということもあるが、何といってもマエストロ・ムーティの存在感の大きさがすべてだろう。
来年4月に来日するムーティのコンサート、やはり行きたいなぁ。
悩みの種はつきませぬ。
コメント (2)
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