六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

サンクトペテルブルク・トリヴィア三題「電線の怪」「深〜い地下鉄」「暴走族」

2019-08-15 15:55:39 | 旅行
サンクトペテルブルクには電柱がないにもかかわらず、電線が縦横無尽に走っている怪

 サンクトペテルブルクには電柱はない。ならば電線は地中に埋設されているかというとさにあらず。地上を蜘蛛の巣のように走っているのだ。

         
         
 そして街並みや建造物を写真に撮る際、ほとんどの場合それらが入ってしまうのだ。それをあまり気にしないひともいるが、あいにく私はけっこう気にする方なのだ。
 しかも、この街の電線は半端ではない。まったく縦横無尽に、無政府的とも思える頻度で縦、横、斜めに走っているのだ。そして、どこをどう撮っても煩わしい頻度で画面をよぎることとなる。 

         
         
         
 では、電柱がないのにどうして電線はかくも煩雑に空中を走ることができるのか?それは「電柱がないから」である。え?え?とお思いの方もいらっしゃるだろう。
 その答えは以下の写真にある。そのうちの一枚は、レーニンが演説をぶったという、旧クシェシンスカヤ邸のもので、彼が演説をしたバルコニー横にはしっかりと電線が固定されている。

         
         
 ここでは電線は、各建物から建物へと直結されながら進んでいるのである。だから電柱に沿ってというわけでもなく、街中の道路を横切り、まさに縦横に走るのだ。
 なぜそうなったのか。おそらくここは人工的に作られた街で、建物と建物の間が密集していて、電柱が必要なかったからではないかと思うのだが、ロシアの他の街ではどうなっているのかはわからない。

サンクトペテルブルクの深ぁ~い地下鉄と遠い駅間

 この街の地下鉄は世界で一番深いところを走っていて、平均は地下60m、一番深いところで86mもある。ネヴァ川河口の三角州に開けたこの街では、逆にうんと深い地層を通す必要があったのだという。
 地上からホームへの連結は、さすがに階段はなく、といってエレベーターもなく、もっぱらエスカレータによる。このエスカレーターが実に長い。深さ60mで角度30°とすると、その距離は120mとなる。

            
         
 で乗ってからどのくらいかかるかというと、エスカレータの速さは平均して分速30mだそうだから、たっぷり4分はかかる。ちまちましたところで、けっこうせっかちな生活をしている私たちの感覚からしたら、この4分間はけっこう長く感じる。いらちな人には耐え難いかもしれない。
 エスカレターの幅は、日本と同じく二人が並べるほどであり、当然のこととしてその隅に立つようにしていたのだが、ここの人たちはいらちが少ないせいか、ほとんど横を追い抜いてゆく人はいない。なかには新聞など読んでる人もいる。スマホもいたかな。
 世界でも優美な地下鉄ということだが、ホームの写真や電車の写真を撮り忘れた。緊張していたのだろう。

         
         
 ところで、この地下鉄、駅間の距離が実に長い。他の街の地下鉄はよく知らないので名古屋に例を取ると、名古屋駅から東山公園までは途中8箇所の駅に停車し、東山公園は9駅目となる。しかしこのサンクトペテルブルクの地下鉄の感覚では、東山公園は4駅目、下手をすると3駅目ぐらいなのである。
 だから、ここならこの駅が近いだろうと目星をつけて降りたところから、日本の地下鉄ひと駅分を歩くなどということはザラである。数回利用したが、一番近いのはホテルから駅までで、それでもバス停ひと駅分はあり、その他のところでは、目的物が駅の間近にあったことはない。
 おかげでよく歩いた。サンクトペトロブルク三日目は最終日とあって、できるだけ多くのものを観ようと欲張った結果、何回かの地下鉄を利用しながらも、な、なんと歩いた歩数は26,268歩!! 距離にして15.7Km!! 齢80のジジイがほんとうにこれだけを歩いたのだろうか!
 野次馬根性というエネルギーは凄まじいものがあると自分でも感嘆している次第!

人々の列の間を走るサンクトペテルブルクの暴走族
 
 ネフスキー大通りは、パリでいえばシャンゼリゼに相当する。広くとられた車線を車はひっきりなしに通り、両側の歩道は人が途切れることはない。
 私はそれを北上し、突き当たったドヴォルツォヴィ橋でネヴァ川の対岸に至り、そこから昨日観たエルミタージュなどの全体像を観ようと思っていた。歩行はスムーズであったが、北上する車列は渋滞し、クラクションを鳴らす車、諦めてUターンして戻る車などもあった。

https://www.youtube.com/watch?v=Aku0sLq9NGM【動画】
 対向車線の車も来ない。しばらく行くと、渋滞の先頭を何台かのパトカーがガッチリ抑えて規制している。どうしたのかなぁと思っていると、前方から騒々しい音が聞こえる。
 歩道は自由だからさらに歩を進めると、その騒音はおびただしいバイクの発する音響であることが確認できた。このバイクたちは、ネフスキー通りがネヴァ川に突き当たる地点、かのエルミタージュの西側をを制覇し、わがもの顔に走り回っているのだ。
 見ると、反対車線のドヴォルツォヴィ橋からくる車も、パトカーによって完全に静止されている。こうして自由になった空間をバイクたちは行ったり来たりしている。いわゆる、暴走族である。

https://www.youtube.com/watch?v=U3VhTNcOcRw【動画】
 ただし、日本の暴走族と違うのは、彼らはただ走り回るだけで、それ以上のことは決してしない。だから添付した動画のように、彼らが走る両側を、市民や観光客がとりまき、歓声をあげたりして見物している。
 おそらく走り始めて2、30分してからだろうか、これまで通行車両を規制していたパトカーから威嚇とも思える不快な音響(ロシアのパトカーの音響は強烈な不協和音の合成で、ギョッとするのは日本のパトカーのサイレン以上かもしれない)が鳴り響いた。ほかにもパトカーが結集したようだ。
 それを聞くやいなや、暴走していたバイクがいっせに姿を消し、逆に車道で見物していた野次馬が歩道に戻され、やがて、何ごともなかったように車が通り始めた。
 なんだか、健全な暴走族と、一定の基準を設けた警察当局の規制とで、ヤラセのエキシビジョンが行われているかのようだった。

         
         
         
 去年行ったロンドンではバイクは少なく、自転車が闊歩していた。パリではバイクがわが物顔だった。そして、このサンクトペテルブルクでもバイクが多い。
 私が泊まったホテルの前だけで、カップルのバイカー、ホンダのバイク、ハーレーダヴィットソンを見かけることができた。いずれも宿泊客か、レストランの利用者だ。






コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 芸術広場と日本人があまり行... | トップ | ペット専用席?での列車旅 ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (花てぼ)
2019-08-24 08:22:28
この電線の話がおもしろく、今朝はこの記事だけ読んで少しの感想を記すにとどめようと思いましたが、やはり最初まで遡って読んでしまいました。
六文銭さんの少年時代から培われた教養、造詣の深さに驚きます。
私など、全く知識のない者であっても興味はありますから、この一連の記事、小冊子にしてじっくり読みたい気持ちです。

こちらの記事、我がブログ友たちにも紹介します。
返信する
謝! (六文銭)
2019-08-24 15:21:24
>花でぼさん
 いつもお読みいただきありがとうございます。
 私の記事はいつも長々としていますので、電報のような短い文章が好まれるご時世、あまり読んでいただけないようです。にもかかわらず、起承転結にこだわってしまうのは頑固な老人が知っている唯一の伝達方法だからかもしれません。
 その意味で、花でぼさんのような方は貴重な読者ですし、私の励みです。
 友人の依頼で、今回の件、時間系列に剃って整理したものがありますので、お送りしておきます。
 中国へお出かけとのこと、お帰りになった後に届くかと。
 中国への旅、お気をつけておでかけください。このしばらく凄まじい変動を見せる中国の様々な相をご覧になれる豊かな旅になるといいですね。
 いてらっしゃい!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。