*ネタバレは最小限に留めました。
いわゆる家庭崩壊と再生の物語であるが、黒沢作品としては結構端正にまとまっている。これは脚本や監督の技量に対する評価であるとともに、いささかの疑念でもある。
あんなに端正にまとまるものであろうか?
まとまるとしたら何がそうさせたのだろうか?
そう考えてゆくと、どうも一筋縄ではゆかないものの介在がほの見える。
それは「死ないしは死との直面」ではあるまいか。
母(小泉今日子)は、あの海岸に浮かぶシーンで一度、死に至ったのではなかったか。
父(香川照之)は、車にはねられて一度死んだのではあるまいか。
それは再生のための必要条件ではなかったのだろうか。
兄の考え方においての転回もそうである。彼はイラクで一度死んだのかも知れないのだ。
そうなると、最終局面に至るシーンはいささかホラーじみてくるのだが、考えてみれば、黒沢監督はホラーの第一人者でもあった。
だとすると、ピアノを弾き終えた次男を囲んで父母が会場を去るシーンは、一見、ハッピィなエンドのように見えながら、いささか現実離れをしたフェイドアウトにも見える。
要するに最終シーンは、彼らの「死」の中で夢見られた再生願望の虚像かも知れないのである。
映画の中で二つの自死が描かれているのもその伏線とも思える。
香川照之、小泉今日子は相変わらず巧い。とりわけ小泉今日子は、自身が主演をした05年の佳作『空中庭園』(豊田利晃・監督)の主婦との繋がりをおもわせる演技が印象的である。
脇も良くて、黒須役の津田寛治も好演。家族内では次男の井之脇 海の表情がよい。
黒沢映画の常連、役所広司も顔を見せるが、この映画ではいささか芝居をしすぎた感じで、映画全体の流れの中で幾分違和感のある場面もあった。
最後のピアノシーンでは、私の好きなドビュシーの「月の光」がみっちり聴けたのがおまけのようで得をした気分になれた。
この間、観てきた、『ぐるりのこと』、『あるいてもあるいても』などと共々、日本映画の成果といえる作品であろう。
*『空中庭園』の豊田利晃監督は、上記作品の後、麻薬使用の疑いで逮捕され、懲役2年執行猶予3年の判決を受けた。
そろそろ執行猶予の期限も切れる頃、才能のある人だけに新しい作品に取り組んで欲しいもの。
いわゆる家庭崩壊と再生の物語であるが、黒沢作品としては結構端正にまとまっている。これは脚本や監督の技量に対する評価であるとともに、いささかの疑念でもある。
あんなに端正にまとまるものであろうか?
まとまるとしたら何がそうさせたのだろうか?
そう考えてゆくと、どうも一筋縄ではゆかないものの介在がほの見える。
それは「死ないしは死との直面」ではあるまいか。
母(小泉今日子)は、あの海岸に浮かぶシーンで一度、死に至ったのではなかったか。
父(香川照之)は、車にはねられて一度死んだのではあるまいか。
それは再生のための必要条件ではなかったのだろうか。
兄の考え方においての転回もそうである。彼はイラクで一度死んだのかも知れないのだ。
そうなると、最終局面に至るシーンはいささかホラーじみてくるのだが、考えてみれば、黒沢監督はホラーの第一人者でもあった。
だとすると、ピアノを弾き終えた次男を囲んで父母が会場を去るシーンは、一見、ハッピィなエンドのように見えながら、いささか現実離れをしたフェイドアウトにも見える。
要するに最終シーンは、彼らの「死」の中で夢見られた再生願望の虚像かも知れないのである。
映画の中で二つの自死が描かれているのもその伏線とも思える。
香川照之、小泉今日子は相変わらず巧い。とりわけ小泉今日子は、自身が主演をした05年の佳作『空中庭園』(豊田利晃・監督)の主婦との繋がりをおもわせる演技が印象的である。
脇も良くて、黒須役の津田寛治も好演。家族内では次男の井之脇 海の表情がよい。
黒沢映画の常連、役所広司も顔を見せるが、この映画ではいささか芝居をしすぎた感じで、映画全体の流れの中で幾分違和感のある場面もあった。
最後のピアノシーンでは、私の好きなドビュシーの「月の光」がみっちり聴けたのがおまけのようで得をした気分になれた。
この間、観てきた、『ぐるりのこと』、『あるいてもあるいても』などと共々、日本映画の成果といえる作品であろう。
*『空中庭園』の豊田利晃監督は、上記作品の後、麻薬使用の疑いで逮捕され、懲役2年執行猶予3年の判決を受けた。
そろそろ執行猶予の期限も切れる頃、才能のある人だけに新しい作品に取り組んで欲しいもの。
「白樺」と言いますが、お初にお目にかかります。
この映画、最後はこうなって欲しい、ようになるのですが、我が家はもう危険な時期は過ぎてしまいましたが?(まだヤバイかしら?)多分どこの家庭も色々あるのかもしれませんね!
リンクさせて下さいね^^
コメントありがとうございました。
貴ページも拝見させていただきました。
映画をよくご覧になっていらっしゃいますね。
リンクの件、もちろん了承させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。