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「空想の音楽会」バロックから古典派&世紀末ウィーン

2014-03-28 14:19:00 | 音楽を聴く
 前にも書いたが、いまから25年ほど前、FMラジオから音楽をカセットデッキにエアーチェックし、せっせととり溜めたことがある。
 当時共同通信から隔週で発行されていた「FM fan 」を欠かさず買い、その番組表にしたがってめぼしい音楽番組(主としてクラシック)をすべて録音した。

                          

 仕事で家を空けている時間帯でも予約録音などを重ねた結果、そうしたカセットは数百本となった。
 ちょうどその頃、CDという媒体が普及し始めたのだが、高値で不安定だったため、とりあえずそれは無視して、テープをとり続けた。そしてその頃は、そんなに早くカセットが消えてゆく運命にあるとは全く思わなかったのだった。
 PCでいったら、未だにたくさんのフロッピーディスクをもっているのと同じことかもしれない。

 それらとり溜めたものは、現役を引退したら、のんびり絵でも描きながら聴くつもりであった。しかし、長年の居酒屋稼業を辞めても、対外的な関わりや第二の仕事のようなものがあり、今日まで家でのんびりする機会が少なかったのだが、ここへ来て、やっと家にいる時間が長くなった。

                     

 さて、ではそれらのテープを聴こうかという段階になって、カセットデッキの調子がどうもよくない。CDプレーヤーもトレイの動作が怪しくなってきた。よく新聞に広告が載っている、レコードからカセット、そしてCDまで聴ける装置をと思ったが、同時に何とか膨大なカセットをデジタル化できないものかとも思っていた。

 そこで、ネットでの友人にアドヴァイスを求めたところ、ちょうど私が求めていたような機器を紹介してくれ、果たしてそれが使いこなせるかどうか不安に思っていた私に、その詳細なスペックまで情報として提示してくれた。
 結果的にはそれが大当たりだった。

 いま私は、家にいる時間は実際に山ほどあるテープの音楽をUSBに放り込みながら、それを聴いている。
 以下に紹介するのもその一環で、「空想の音楽会」という2時間番組のテープが5本という特集である。

                     

 なぜ「空想の音楽会」かというと、NHKの中田薫アナウンサーと音楽評論家の石井宏氏がある時代の特定の場所で開かれた音楽会に潜入し、その実況と解説という形で、その時代とその地方、そしてそこに出没した音楽家たちのの音楽を紹介するという体裁をとっているからである。

 この番組のおもしろさは、その音楽もさることながら、そこへ登場する歴史的人物、当時のコンサートのありよう(協奏曲は独奏者が舞台に立ち、オケは手前のピットの中にいた、など)、それに古楽器の解説などなどが語れているなど、時代考証的な背景のなかでそれらの音楽が聴けるということである。
 120分テープの全5巻の内容は以下のようになる。
 それぞれのテープのケースには、「FM fan」に掲載された番組表からの切り抜きが付されていて、作曲者、演奏者、演奏時間などの詳細が付されている。

      

            
      

 第一巻 バッキンガム宮殿でのバッハ、アーベル コンサート(1780年)
      バッハ作・モーツァルト編曲のチェンバロ協奏曲などもある
 第二巻 ベルサイユ宮殿でのコンサート(1780年)
      クープラン グルック ラモー リュリ など
 第三巻 サン・スーシー宮殿(ボッダム) (1772年)
      エマニエル・バッハ フリードリッヒ大王 C・バッハ など
 第四巻 シュベツィンゲン離宮最後のコンサート (1778年)
      シュターミッツ(ヨハン&アントン) モーツァルト など
 第五巻 世紀末ウィーンの宮廷舞踏会
      シュトラウス(ヨゼフ&ヨハン) ランナー など

 各2時間、計10時間 毎日一巻ずつUSBに移しながら聴いたが楽しかった。
 
 まだまだ、手持ちのテープには、時代別とか、作曲家別とか、あるいは演奏家別などのおもしろい特集がいっぱいある。たとえば、ヨーゼフ・シゲティの特集のみで13本のテープがあったり、モーツァルト没後200年の命日、91年12月5日の、「終日モーツアルト」の
特集もある(最後の締めはもちろん「レクイエム」)。
 
 この作業は楽しいが、さて、移行し終わった頃にもそれらを聴く気力は残っているだろうか。
 そのUSBをしっかり握りしめて、にっこりほほえんだまま逝ったりして。

  

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