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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「予防殺人」という戦慄!

2019-06-04 11:53:18 | 社会評論
 従来から、ニュース報道やそれに伴う報道バラエティはキャンペーン色が強いですね。なにかが起こると、それを逆手に取って、かさにかかって攻め立てるわけです。
 いまは、川崎事件とそれに関連しての農産省元事務次官の息子殺害事件です。
 少し前に、繰り返し報道された大津保育園児交通事故などはとっくに「過去」の出来事になってしまいました。

          

 気になるのは、この息子を殺したらしい人への同情や情状酌量のコメントが多いことです。ようするに、自分の息子が犯すかもしれない殺人を未然に防いだという点を評価とまではいわないとしても、どこかで仕方がなかったかもしれないという密かな是認があることです。
 これはこの事務次官自身も自覚しているようで、逮捕時も、通常の容疑者と異なって決然として顔を上げ、恥じるところはないようです。この表情は、「自分は正しいことをした」という自負を物語っているとも思われます。

          
          

 でも、ちょっとまってほしいのです。これって予防殺人ですよね。将来、世間に累を及ぼすかもしれない人間を予め殺してしまえということですよね。とても恐くはありませんか。「世間に累を及ぼすかもしれない人間」がさしたる根拠もなく主観的な判断で殺される、あるいはそれを肯定する世の中って狂ってはいませんか。

 いま問題になっている、旧優生保護法に基づく「強制不妊手術」も、そうした予防措置でした。こうした予防措置による殺戮、断種のピークがかのナチスによるユダヤ人を始めとする劣等民族、精神障がい者、今でいうLGBT+(性同一に違和感を覚える人の総称)、犯罪常習者をすべて殺戮するというジェノサイドでした。

        
        
        

 それが肯定されるというのは怖い世の中です。かつての高級官僚であった彼は、自分の息子の状況について外部の支援を求めた痕跡もありません。まさにそれを悪しき意味での「自己責任」としたのでしょう。だから自分の主観的判断によってことをなしたのでしょう。

 彼の苦悩がわからないわけではありません。私にはその経験を共有できる点も多少はあるのです。
 しかし、彼の出した結論には全く同意できません。彼は世間に対する責任を果たしたつもりでしょうが、私には、自分のプライドを保つための自己保身的な行為にしか思えません。

        
           

 どうか、これを肯定したり、これに同情したりしないで下さい。これ=予防殺人を肯定することは、極めて主観的な判断で認定した「犯罪予備軍?」を、予め、全部殺してしまえということを認めることなのです。
 それを普遍化すれば、ナチスの民族浄化を肯定し、「私たち」ではない「奴ら」を殺すことを是認することとなります。

           
           
         

 ここんところ暗澹たる事件が続いていますが、その事件そのものも当然ですが、それへの対応を巡る歪みのようなものが、ダブルパンチのように私を撃つのです。
 ですから、今回はせめて写真だけはと、わが家やご近所の植物事情を私の散歩道から拾って載っけておきます。

写真は上から、マサキの蕾 クリの花 ビワ スモークツリー ナンテンの花 









 
コメント (1)
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