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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

東アジアは二つの池をめぐる輪っかなのに・・・

2014-10-03 02:35:30 | 歴史を考える
 以下はネットで拾った地図ですが、私が知らないだけで結構出回っているらしいのです。
 もとはといえば北陸の人が、「表日本」、「裏日本」といわれるのが癪でこうしたものを発表したようですが、そうした裏表、上下といった問題を越えて、いろいろなことを示唆しているようなのです。
 世界地図でも、大西洋を真ん中にしたものがあって、それによると世界観が違ったかのように(ヨーロッパ中心主義?)思えるものですが、これもそんな感じですね。

      

 まずは、これまで、大陸にぶら下がっていたような日本列島の位置づけがまったく変わって見えます。大陸と隔てる日本海(東海ともいわれるようです)はひとつの湖でしかありません。その湖を囲むように、樺太から日本列島、そして朝鮮半島、中国東北部がとり囲んでいます。
 それらはこの海によって隔てられているというより、それを仲立ちとして繋がっているかのように見えます。

 また東シナ海は大きな湾状に見えますが、その入り口を囲うように、奄美群島や沖縄諸島、八重山諸島などが台湾まで連なり、これもまた、中国南部まで連なる環状を示しています。

 これからわかることは、東アジアは、ロシアの一部から日本列島、朝鮮半島、中国東北部というひとつの輪っか、そして朝鮮半島から九州、日本南部の諸列島、台湾から中国南部を結ぶもう一つの輪っかからなっているということです。そしてこの輪っかによる繋がりというのが、この地図ではぶら下がり型の地図に比べてとても鮮明に見えるのです。

 しかし、現実には、これらの輪っかはいくつかの箇所で政治的、外交的に分断されています。それらを修復しようとする努力がある一方、それらの分断を固定化したり、あるいは些細な差異をいい立ててさらにその分断を大きくしたり、あるいは新たな分断を生み出そうとする挑発行為もあります。

 しかしながら東アジアは、私があらためてこんな地図を持ち出すまでもなく、有史以前から日本海(東海)、東シナ海という池を取り巻いて往来して来た間柄で、ヘイトの言説を振りまく人たたちも含めて、その民族においても、文明においても、私たちは雑婚を繰り返してきたのです。それはこの国の天皇という万世一系も含めてなのです。

 ヘイトスピーチをする人たちにも、彼らが忌避する大陸や半島や諸列島の血や風俗習慣の伝統が染み付いているのです。

 この8の字に結ばれた2つの輪っかは無限大(=∞)の可能性を秘めています。
 それを、一時的な欲望や一人よがりな歴史認識で断ち切るとき、私たちはかつてこの地域にあった歴史的結合の境地からどんどん遠ざかり、まさにこの地理的な利点を活かすことなく、EUというひとつの結合体をみたヨーロッパ(それ自体問題がないわけではありませんが)からも、大きく引き離されつつあるのです。

 地図を上から見ようが下から見ようが、この地区に平和な連合を築くことこそがこの東アジアの秘めたる可能性をほんとうに導きだすことになるのではないでしょうか。8の字に展開している東アジアの池を巡って、こんな句はどうでしょう。

     名月や池をめぐりて夜もすがら  芭蕉

 
コメント
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