イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

浅い衝撃?

2006-10-21 21:08:55 | 競馬

「ディープインパクトから薬物」。秋のGⅠシーズンを黒く塗り潰してしまったようなニュースですが、第一報に接したときは不思議に驚きはありませんでした。

「ああ、やっぱりこういうことになったか」…これがいちばん近い感想です。

いままでのこの馬のパフォーマンスから、ドーピングの匂いを感じていたというわけでは決してありません。

ただ、この馬は、何かにつけて中央競馬会の“とにかくウチの看板役者として盛り立てたい”という意図や計算、作為が先行して見え、ひょっとしたら途方もなくファンの期待や願望を裏切る形で競走馬としての表舞台から退場するのではないか…という予感がしていたのです。

続報をいろいろと読み聞きして、薬物が不正に一時的に競走能力を上げる、いわゆるドーピング目的ではなく、凱旋門賞に備え八月に渡仏した直後、呼吸器の不調をきたしたための、純粋な医療行為だったということがどうやらわかってきて、初めて残念な気持ちになりました。

80年代末から90年代初期にかけ競馬界を超えてアイドルホースとなったオグリキャップという馬がいました。圧倒的に強いかわり身体的にはいろいろ難しい所も抱えていて、まずどえらく太りやすい体質。レース前までに体重が絞りきれないので、関西の厩舎からわざわざ関東に輸送して追い切りをかけて関西に帰厩、レース前に再び東上して出走、それでも当日測ったらプラス体重で担当の厩務員さん(奇しくもディープを管理する池江調教師の兄上でした)を呆れさせたり冷や汗かかせたりもしました。そんな中でも内蔵するモーターが違いますから好勝負を続けましたが、高馬力ゆえに激走が続くと脚に溜まる疲労もはなはだしく、熱を持ったような状態になりますから、温泉に滞在して疲労をやわらげたり、レーザー光線を当てて治療したり。厩舎に帰ってきたと新聞に載ると、また絞れるか?絞れないか?今日は馬場入りしたか?時計を出したか?ファンはそんな報道に一喜一憂しながらレースを待ったものです。

今回、渡仏後のディープから伝わってきたのは絶好調の情報ばかり。黄信号と受け取られかねない呼吸器の不調などは、日本の応援ムード、勝てるぞムードに水をさすからと報道を自粛したのでしょうか。一喜一憂を共有できない対象には、本当の意味でのファンシップは育ちません。ただものすごく強く、勝ちまくっているだけでは心が添って行かないのです。

ディープがもう一度(あるいは初めて)、ファンの心を本当の意味でとらえるためには、この逆風の中で、あと一回だけ、翳りのない勝利を見せて退場するのがいちばんいいのでしょうが、それが翳りのない勝利であればあるほど、一度発生した“残念感”は拭えないかもしれません。

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