イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

早く人間になりたぁい

2007-11-15 17:11:16 | アニメ・コミック・ゲーム

先日来、自分も含め家族が交代で寝込んだり、それぞれ家から別方向の病院に駆け込んだり付き添ったりで頭がトチ狂っているところへ、前任者がしくじったため締め切りが切迫した仕事を「騙されたと思ってやってみてくれる?」とゆるーく持ち込まれて、トチ狂いついでに「あは(脱力)」と引き受けてしまったため、ここ数日入浴はおろか(まぁ熱が37℃台後半からビクともしないのでそもそも無理だという噂もありますが)、洗顔も髪のしばき上げもままならず“女捨ててる”を通り越して、すでに人間としてさえどうなんだという領域に踏み込みつつあります。

そんな中でも毎日のようにドサドサ届く郵便物の中に海外コスメ個人輸入カタログなんかを見つけると、「ジャン=ポール・ゴルチエの“フラジャイル”のキンキララメラメボトルがいいな、宅配便みたいなロゴもいいかも」「いややっぱりエルメスオレンジのボックスにスカーフ柄の24フォーブル”は風格あるし」「エルメスと言えばオーデメルヴェイユのプラネタリウム型ボトルも一個は欲しいな」等と買えもしないのに妄想する妄想する。

人間じゃなくなってるくせにな。

ささやかな楽しみは再放送『真夏の薔薇』の録画。

OPはこちらは主演俳優さんらキャスト顔出しなしタイプですが、タイトルにもなっているオレンジピンクの薔薇の花のアップから、『ジゼル』風のロマンティック・チュチュで踊るバレリーナさんの背格好、お顔立ちが、一瞬ヒロイン役の安永亜衣さん?とも見えるナイスフィーチャー。

月河の小学生坊主時代の『少女フレンド』や『なかよし』『りぼん』などには、よくこういうチュチュを着てポーズをとった森下洋子さんらのグラビアが載っていたものです。薔薇にバレリーナ。月河もこのOPで、低レベルなりにちょっとは血中オンナノコ濃度上がって本編へ。

安永さん(本放送96年当時27歳)扮するヒロイン川嶋碧は総合病院に勤める薬剤師で、清らか、清純というより“優等生”“正論ちゃん”

同じ病院の東大卒エリート医師と結婚前提で交際が続いていながら、ともすれば「靖顕さん(入江達也さん)のご実家は老舗の百貨店を経営している資産家なのよ」「若い娘らしく綺麗にして愛想をつかされないようにしなくちゃ」と“条件”“玉の輿”を強調する母親に反発、神社の境内で偶然出会った別の若手医師とこれまた偶然職場で再会すると、内線電話で堂々と「2人きりでお話したい」、相手が元・婚約者を自分の車運転ミスで死なせてしまった過去を打ち明けると自分からキスに誘うなど、「おいおい」という危なっかしいヒロインではありますが、水商売を営む母が自分の幼い頃父と離婚、長く“オンナ”を商売道具に、日陰の泥水をいとわず飲んで自分を育ててきた母や家庭環境への、通奏低音のような重荷感・嫌悪感からそういう行動をとるのだな、という説得力がちゃんとある。

「自分のやっていることは間違いではない」「お母さんのような打算がないんだから汚れていない、恥ずかしくない」という彼女なりの自信と誇りがそうさせるのでしょう。

「もうちょっと“汚し”入れて生きないと、自他ともに傷つけるよ?どうなのよミドリちゃん」と視聴者を無理なく“人生のお姉さん”気分にさせます。

碧の母親・郁子は碧が3歳のときに離婚していますが、俳優・火室とかつて愛人関係にあり、子を身ごもって、認知や入籍を求めるでもなく、「私たちの愛の結晶がこのお腹の中にいる、そのことだけは忘れないで」と言い置いて大人の別れをしています。

すでに妻子のあった火室は、ゴシップを避けて郁子をあきらめ、慰謝料や、かつては貧乏くさい小料理屋だった郁子の店をお座敷つきの割烹にする資金援助だけをひそかにしてきた様子。いまやシェイクスピア劇の座長もつとめる大御所。萌子との間の息子・稲彦は外科医になっていますが、実は稲彦こそが碧の“運命の人”なのです。

碧は稲彦に「小学校の頃、家にあった古い手紙の住所を頼りに父を訪ねて行ったら、優しくしてはくれたけど、“私はおまえの本当の父親じゃないんだ”と言われた」という打ち明け話もしており、中島丈博さん脚本作だけに、碧と稲彦は異母兄妹?禁断の恋?疑惑も4話にして立っています。

郁子役・姿晴香さんの、はかなげな中にも時に鉄面皮なくらいしたたかな愛人体質っぷりとか、火室役・小野寺昭さんの、微調整すっ飛ばしたあけすけ過ぎる増毛っぷり(もともと小さくはない顔幅と、前髪の厚みがほぼ等しい)に、設定二十数年前の郁子妊娠告白シーンでのレイバングラス+ケミカルGジャン爆笑もんの若手二枚目俳優姿、もちろんワンシーン濡れ場のサービスなんかもあり。

このお2人はこの作品から9年後の05年『危険な関係』でも、“昔いわくあり”な大人の男女を演じておられました。

火室との事情を知る郁子母・巴役鳳八千代さんの、色街の汁なら娘よりたっぷり吸ってますよという空気をまといながら、堅気に潔癖に生きる孫娘・碧を「おまえは(郁子がしつこくすすめる化粧や結髪をしなくても)素直でまじめな、とっても素敵な娘だよ」と敬意をこめて褒めてやる懐の深さもいい感じ。郁子役の姿さんとタカラジェンヌOGコンビというハーモニーも好結果を生んでいますが、やはり鳳さんは『風の行方』の熟年離婚主婦や『レッド』の貧乏家お祖母ちゃんより、こういう婀娜っぽいクロウトっぽい役で昼ドラワールドを彩って欲しいなぁ。

稲彦役の池田政典さんと、恋敵となる冒頭時点での婚約者・靖顕役入江さんが、男前度において“中程度”でバランスしているのも実に何というか。これ、どっちかが超美男でもう一方がわかりやすいブサだったり、いっそ両方高水準で甲乙つけがたかったりしたら、むしろ成立し辛い物語なのです。

碧たちの働く病院の、詮索好きで意地悪な看護婦(←ドラマでのこういうキャラには、やっぱ“師”より“婦”でしょう)役で『女優・杏子』のライバル女優マネージャー役でもあった野村ちこさんの顔も見えます。

病院が舞台、ヒロインが薬剤師、相手役が外科医、しかも脚本が『牡丹と薔薇』の中島丈博さん…と揃うと、やはり臓器移植の話が今後からんでくるのかな。

出生の問題をめぐって、当然血液型やDNA判定も話題に出そう。

…あれ?こないだあきらめたばかりの『愛の迷宮』とあんまり変わらんじゃないか。

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