イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ここらで熱いお茶が一杯怖い

2010-05-26 00:14:28 | 朝ドラマ

登場いきなり強い味方全開の深沢社長、なんか話がうますぎるなーと思ったら倒れちゃいました(@『ゲゲゲの女房』)。

25日(火)の放送では画面に登場しないまま、長野の療養所に入っているとの説明だけで、回復にはかなりかかりそう。どうするしげる(向井理さん)&布美枝(松下奈緒さん)。どうなる村井家の国家財政。

まあ深沢社長、ポッケから名刺出そうとすると「あれ?…アレ?」といつも見つからないとか、昨日の漫画家志願はるこ(南明奈さん)と連れ戻しに来たお父さん(昼帯セミ常連・野添義弘さん)と、行きがかり上しげるもまじえた四者会談でも、ずーっと酒らしき小グラスを切らさないとか、キャラ立てフック満載だったので、これきり薬石効無く永のお別れということもないでしょう。このまんまじゃ「漫画には大きな可能性がある」「漫画が世の中を動かす時代が必ず来る、一緒に風を起こしましょう」と“惚れてまうやろー逃げ”になっちゃうもんね。

布美枝ちゃんが今日言っていた通り、昭和37年なら、戦前戦後に国民病と言われた結核は、特効薬の抗生物質が国費で処方でき、治せる病気になっていたはず。月河実家父も、確かこの頃にやってたはずです。一般的なストレプトマイシンでは効かず、もう一段強力なカナマイシンが投与され、叩いて叩いてめでたく完治したものの、副作用の聴覚障害、所謂ストマイつんぼにはかなり悩まされ、復職にも時日を要しました。

村上弘明さんの深沢社長があまりにさわやか好漢っぽくて健康的なので、「人の2倍仕事もするが、酒も2倍飲む」ようには見えにくいのが難点だけど、信州の療養所でアルコール抜いたら肝臓にもプラスで、逆に寿命が延びるかもですね。

それとも、「これ(=酒)が私のガソリンですよ」って言ってたから、結核菌よりむしろ“ガス欠”でしおれちゃってるかしら。月河も他人事とは思えない。

……こちらのガソリンは泡出てますけど。冷えてますけど。

今日は深沢の三海社が廃業して、せっかくの『鬼太郎』完結篇の原稿まで紛失、またまた原稿料が途絶え失意のしげるが、本当なら深沢のもとで長編連作として出版する予定だった『河童の三平』のパイロットを持ち込んだ春田出版の社長役・木下ほうかさんが圧巻の味でした。大事な手描き原稿に「熱っつ」とお茶ボトボトこぼしたり、のっけからずばり「ウチで…は、出せないね」と切って捨てた後、「…てんでズレてんだよなぁ」と独り言で駄目押ししたり、「ホラ、センセイの漫画、売れないでショォ?」と半疑問形など、作り手の神経を逆撫でし落ち込ませる方法論の教科書みたい。

たぶん春田も、純粋に編集者が作家を見る目でなら、水木しげるに余人をもって代えがたい個性を見出すことはできるし、一緒に仕事してみたい気持ちもあるのです。三海社からしげるが出した『鬼太郎』シリーズも、ウロ覚えなふりをしながら、ちゃんと読んでいた。

しかし弱小零細貸本出版社の悲しさ、商売になる見通しがなければ組もうとは言えない。水木しげるの漫画が「版元も取次も、印刷屋も万々歳」な結果をおさめていないことも知っている。

「気の毒だなあ、深沢さん」は、“センセイの漫画が売れないおかげで、他人まで悲劇にしてるじゃない”という底意地悪さのコロモをまとっていますが、底で2割ぐらいは“深沢さんのように太っ腹に、利益度外視した本は出せないワタシが悔しい”も含んでいる。

だからこその「短篇1本ぐらいなら、頼んでもいいヨ?」なのです。“河童の話はいまの時代受けない”“名前自体取次から売れないの烙印押されてる”と、どん底まで突き落とした上でどれだけしげるがこっちの事情に合わせて歩み寄ってくれるか、彼なりの瀬踏みであり、賭けでもある。まるっきり要らない、関わりたくない作家なら、ねっちらねっちら言う間も惜しく追い出したことでしょう。

作家にも修羅があるが、作品を商品にすることで生計を立てる編集出版にも作家の知らぬ茨の道がある。意に沿わぬ、おまけにケチ臭い仕事を背に腹かえられず請け負ってきて、ヤケ酒ならぬヤケ饅頭を、不安顔の布美枝に付き合わせるしげる、春田社長のねじくれた依頼に、どんな作品をひねり出すのでしょうか。

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