イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

広がる“自分大好き”の輪

2006-11-18 20:39:54 | プロ野球

ファイターズ日本一記念パレードをテレビ“観戦”。とにかくね、札幌の地上波放送局7局中、生中継しないのはNHK教育とTVh(テレ東系。テレ東は北海道でも我が道を行ってます)だけ。駅前広場からスタートの10:30を待たず、各局こぞって沿道で待つファンの人波を現地レポート。

チームキャラクターグッズのBB(ブリスキー・ザ・ベアー)くんキャップで防寒対策も万全なファンが目につきます。片手にカメラつき携帯、片手に手作りのメッセージボード。『PRINCE 新庄』、『できれば行かないで』、これはFA移籍濃厚な小笠原選手あて。

『感動をありがとう』の横断幕を三人がかりで持った女子高生らしきお友達グループ、なぜか全員鬼のお面。節分か!?レポーターが訊くと「目立とうと思って!」、選手の誰に見てほしい?「ダルビッシュ!」、ひとりはその後に「あと、ヒルマン監督!」も付け加えました。

「イナバさーん」「ヒチョリー」…お目当ての選手に声援を送りたい以上に、声援している自分を選手に見てもらいたい、大勢の中でひときわユニークで目立っている自分を、テレビに映してほしいという欲求が、いまのファンシップを突き動かす力。「明日始発(AM6:10頃)の地下鉄で駅前通りに行こうと思うけど、もっと早く行かないと、いい場所とれないよなあ」と思案顔のヤツに「どうせ人ごみで選手の顔なんか豆粒ぐらい一瞬しか見れないに決まってるんだから、私みたいにテレビでヌクヌク観れば?」と言ったら、「行けば行けるところで、この先何十年もないイベントをやるんだから、行って、その場の一員になることに意義があるんだよッ!」とすごい剣幕。なるほど、札幌に本拠移転後三年めで25年ぶりのリーグ優勝、44年ぶりの日本一。「この先何十年もない」と言われればイチゴンもなし。“参加することに意義”のオリンピック精神がこんなところに発動されてました。

選手の誰某さんより、“その場の一員となる自分”を確認し、肯定するために足を運び、汗をかき、声をからす。

そして、“自分贔屓”と言えば何たってこの人、SHINJO。他の選手が当然全員ユニフォーム、公式グラウンドコートの中、オフのモデルさんみたいなベージュのムートンコートにブーツ。ユニフォーム姿はあの日本一を決めた涙のラストゲーム限り、と決めていたのでしょうが、“大勢の中で自分ひとり違う格好”というしゃらくささが、逆に潔さとも見られるトクなキャラ。1.3キロの道程を約四十分かけて沿道に手を振る途上、確認できただけで三本のブレスレットほか、マフラー、手袋などを気前よく人波の中へ投げ込みやんやの喝采。投げ込みパフォの前には、ブレスを外しかけて投げるぞ投げるぞの仕草をしながらオープンバスの手すりから身を乗り出し、押し合いへし合う沿道をじっくり眺め「どこに投げよっかなー、もーちょっと先にしよっかなー」と気を持たせるフリ。そのたびにファンからは「あーっ、あーっ」と悲鳴とも嬌声ともつかないどよめきが漏れます。

ヤッコさんのことだから、そこそこなブランド品なんでしょうが、あーあー言ってる人たちもブレスやマフラー自体がそんなに欲しいとは思えません。“SHINJOさんが私に向かって投げてくれた!”“拾い競争に勝って私がゲットした!”という選ばれた者感、「オレ、持ってるわ」感を味わいたいんだと思います。

見られる人と、見る人々。双方の“目立ってる自分が好き”精神が協奏し合い、鼓吹し合って、紙吹雪はいやが上にも初冬の空に高く高く舞い上がり渦を巻くのでした。

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