イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

待ってたよ。さあ行こう。

2007-03-25 15:19:46 | テレビ番組

爆笑オンエアバトル 第9回チャンピオン大会ファイナル』でのタカアンドトシを見ていると、93年(平成5年)、3連覇のかかった天皇賞・春でのメジロマックイーンが重なりました。結果登り坂の4歳ライスシャワーのレコード駆けに王座を譲りましたが“負けてなお強し”

目標にされることが戦前からわかっていて、案の定目標にされて、それでもあえて正攻法を貫き、目標となるにふさわしい駆け方をして、直線でのガチ叩き合いを買って出る。まさに王者の戦いでした。

番組進行の面でも、最大の功労者は彼ら。出囃子「欧米か、欧米か、欧米か」がいきなりお客さんにも、他の出場者たちにも大ウケのナイスサービスだったし(彼ら自身の発案とは考えにくいので、ここはNHKグッジョブ)、彼らがトップバッターを引いたことで、全体の空気がどれだけ良くなったことか。キャリア、ポジション的にも、芸風的にも、いちばん演技順にデキが左右されないのは、今回の出場者たちの中ではどう見てもタカトシです。たとえばラバーガールが、エレファントジョンがトップバッターだった場合の、以降の空気を想像してみるとわかるでしょう。チャンピオンがあれだけやりきってくれたおかげで、後がずいぶん演りやすくなりました。

ネタ的にも、もう彼ら別格ですね。つくづくそう思ったのは、終盤の「柔道部か、柔道部か、じゅーどー…」で巴投げになるくだり。服直して、立ち位置に戻るまでの間、トシは半笑いで、“まいっちゃったな”という普通の地平にいますが、タカは締めてもない帯締め直す所作で、要するにずーーーっとボケの地平が続いているんですよね。“もう一番”の組みポーズをして初めてトシから「もーいいよっ、朝から何番やるんだコラ」が来る(“朝から”をしっかり付けるのもトシの高スペック)。その間、13~15秒無声。3分50秒少々のネタの中で、15秒無声のボケを挟む、しかも締め間際に入れ込む勇気、これを別格と呼ばずして、王者の戦いと呼ばずして何と呼ぼうぞ。そのくだりに入るまでのしゃべくりテンポに微塵も弛みがないという自信がなければこれはできません。

エンディングのマジ泣きが相方にもMC塚原アナにも掬ってもらえなかったのがかわいそうでしたが、タカの収録後コメント「“おまえらは3連覇しちゃいかん、何か新しいモノを見つけろ”って神様のお告げだと思う」は正しいと思います。競馬やプロ野球と違ってそれこそ欧米進出!というわけにはいかないでしょうが、もう彼らはこのフィールドを卒業すべき、卒業させてあげるべきでしょう。

セミAを見て期待したラバーガールは、持ち味を十分出していたのですが、この芸風ではレベル上げても上げてもチャンピオンは難しいなぁ。好きなんですけどねぇ。すっとぼけにつっこみ、つっこんでははぐらかしの振幅を、もっと終盤に向かって右肩上がりに大きくしていくことで、会場のウケや獲得バトル数を伸ばし、順位を上げることは可能だと思う。ただ、この人たち、日本人がお笑いに求める“お祭り感”がないんですよ。また、ないことが持ち味でもあるし。負けて騒がれる級の大横綱より、誰もやらない奇手を持つ名関脇を目指したほうが得策かも。

タカトシのしゃべくりテンポの隙の無さを横綱とするなら、タイムマシーン3号がいちばん牙城にせまっていました。トータルテンボスもほとんど差がなく、洗練度ならタイマをしのぐ場面もあった。トタテン大村はタマ色選びでタカトシのトシにラベル貼ろうとして「誰がタマちゃんだ!」を食らっていたのがいちばん笑えました。アドリブでのこの闊達さが、ネタでのしゃべくりの隙の無さを照射するのにもっと活きてきていいと思う。

三拍子流れ星は彼ら二番手グループに比べると雑さ、粗っぽさが目につくし、キャン×キャンは隙やアラ以前に、芸がいかにも古い。ハマカーンエレファントジョンは今回はネタ選択も、練り方も他より明らかに一枚落ちました。ハマカーン神田は敗者コメントでも「他の人たちのほうが優勝するための準備をができていたということ」と言っていましたが、たぶん演っててすでに“オレら優勝のネタじゃないな”との皮膚感覚があったんでしょう。

優勝NON STYLE、ネタの質や演りデキに限ればいまだ二番手グループです。ただ彼らの場合、今大会ファイナルで唯一の上方組で、身にまとってきた“いざ東上”のお祭り感をバンバン放射させ、実にうまいこと客席のノリにゲタはかせてくれた。同レベル関西勢がもう一組でも出ていれば、評価は根底から変わってきたでしょう。93年にメジロマックイーンを倒し長距離王の座を奪ったライスシャワーも、本当に輝いていたのはむしろ“関東からの刺客”と半信半疑視されていた挑戦者時代で、ディフェンディングチャンピオンとしては常に故障に悩み、磐石の強さを謳歌することはありませんでした。

NON STYLEも真価が問われるのはこれからです。オンバトチャンプになったことで知名度もぐんと上がり露出も増えるでしょうが、安易に素のキャラに頼らずしっかりネタ見せできる番組を選んでポジションを上げて行ってほしいと思います。

〔オンバトセミファイナルA in廿日市(3月2日放送)の感想はこちら

〔オンバトセミファイナルB in愛知稲沢(3月9日放送)の感想はこちら

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