5月からコンビニ限定で展開されているSAPPORO限定醸造 焙煎生ビール、“限定”の2文字にかなり弱い月河としては出荷終了前に一度は行っとこうと思い先日入手。
コンビニ限定ということで、安売りっちゅう取っ掛かりがないため、なんとなく試飲を先送りしていた気も。でも北国のビールシーズン、短いですからね(シーズンじゃなくても飲むけど)。いまという時は二度と来ない。
…でもま、せっかくの1992年初お目見えラベルの復刻版だし。90年代人間の非高齢家族、“ビールなら黒ビール”党だった高齢家族その1、全員揃ったところで開けたいと思い、試飲は先送りです。
『夏の秘密』は第34話。柏木引きこもり博士(坂田聡さん)再上京。
依頼の図面の出どころを調べれば、自殺したみのりが手を染めていた薬物横流し先や経緯がわかるかも…と目論む伊織(瀬川亮さん)、「危険よ、すぐ処分したほうがいい」とブレーキかける紀保(山田麻衣子さん)。
「あんたさえ黙ってれば誰にも知られない、俺たちは同志だって言ったよな?」と“同志解散”を先に主張したはずの伊織が念押しのためにキスしようとして紀保がぎりぎり振り切り、本が床に落ちる音で2人我に返るまでのテンパった会話、柏木がどこから小耳にし始めたかが気になります。前半の図面がらみの部分を抜いて、或るパートだけ聞くと、普通に口説き口説かれの男女の睦言にも聞こえるし、何かヤバいことの隠蔽に共謀してる会話にも聞こえるかも。純・理系人間で「人と話すのが苦手」な柏木博士、そこらのニュアンスをどう理解したかな。
みのり遺書隠匿の件が不起訴となり、郷里で両親の家業を手伝いながら就職口を探しているがなかなか見つからないとしょげている柏木に「人と話すのが苦手なら、苦手でなくなるような努力をすればいい、ろくな努力もしないで甘ったれてるからいつまでたっても自分の居場所が見つからないんだ」「何が理工学博士だ、ふざけんな」ととげとげしく当たる伊織、柏木の臆病さのおかげでみのりの自殺が長く判明せずに引っ張られた苛立ちもいまだにあるでしょうが、彼も決して低学歴なわけではなく、国立工業高専を出て大手に就職したのに、上司とそりが合わず中途退社して町工場の工員になった前歴あり。対人能力が不器用なために“居場所”を探しあぐねる柏木の心情は痛いほどよくわかるはずですが、「よくわかるよ、オレもそういうときはね…」なんて見え透いた共感を示したりしないのが伊織クォリティ。
紀保は「伊織さんは人一倍努力してきた人だから」と柏木にとりなしていたけれど、それも一面の真実。あからさまにはせずいろんな躊躇い含みながらも、伊織と紀保が気脈を通じ合って、いい波長を醸し出しつつあるのも、柏木博士、読めたかどうか。
前の勤務先が本当に大手企業だったとしたら、対上司とは別に“大卒でない”ことで悔しい思いもしているはずの伊織には、柏木の(いまのところムダな)高学歴も癪にさわることでしょう。同じ同年代同性でも、自分とまったく違う環境で、違う志向で生きてきた、たとえば弁護士の龍一(内浦純一さん)などに対したときとは違って、“まかり間違えば自分もあそこまで堕ちた(or昇り詰めた)かもしれない”同系統の人間には複雑な感情が湧くもので、複雑が極まって“うざい”“イラつく”“腹立たしい”と感じられることが多い。
父は海難事故?ですでに亡く、母も精神障害で息子の自分を認識できなくなっている状態の伊織にとって、“東京に居られなくなったら、真似事でも親孝行しに帰れる実家や手伝える家業があるだけ恵まれてるじゃないか”という気持ちになったかもしれません。
今日は柏木も「手に職のある人がうらやましいです」とこぼしていましたが、今作、冒頭の紀保の亡き母の言葉「泣いていないで手を動かしなさい」を皮切りに、“モノをつくる仕事”がちょっと過剰なくらいに称揚されている気がします。金谷祐子さん脚本のこの枠“背徳三部作”が、“ブラックボックスのような大企業”と“それによる何かやたらめったらな金満虚栄”を背景や目的語にしていて、この不況下、いい加減視聴者も食傷して反感を買うのではないかという読みかな。紀保の、金満環境をプラスの栄養にしかしていない“ひねくれることなくすくすく育った”感は好感もって観られますけどね。
それに対し、“モノをつくらない”稼業は、弁護士、医者、貸金業と軒並みライバル役か悪役。羽村社長(篠田三郎さん)の“羽村エンタープライズ”も昼ドラ恒例とも言えるブラックボックスだいきぎょう(←棒読み)で、ドバイ行って馬買わされそうになったとか威勢はいいものの、何産業が中核業務のえんたーぷらいず(←棒読み)なんだかさっぱりわからず、その虚業感ゆえか羽村社長もいまだ紀保たちの磐石な味方らしい温かい空気は出していません。
浮舟蔦子姐さんの飲食物販業や井口母子(山口美也子さん橋爪遼さん)の不動産業は“食うもの着るもの”“住むところ”を扱う分か、ちょっといい役。
柏木や護(谷田歩さん)といった無職の諸君が、なぜかあまり悪でないどっちつかずで、どっちかに転ぶとしたら主役カップルの味方側に転んでくれそうな感じなのもおもしろいですね。
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