NHK朝ドラらしく、出番の多くない脇役にも、個性的で芸達者感ある俳優さんが贅沢に起用されている『ごちそうさん』。
そもそも通天閣=悠太郎くん(東出昌大さん)が、め以子(杏さん)宅=開明軒に下宿するきっかけを作った帝大級友・近藤さん役の石田卓也さん、天下の(?)通天閣との比較の錯覚で実際以上に小柄に見えますが、先週の『相棒12』初回SP“ビリーバー”(10月16日放送)でよく似た人が出ていると思ったら思いっきり同一人物でした。しかも思いっきり犯人役だった。『ごち』ではいまのところ、出てくるたび制服制帽姿ですが、現代衣装で改めて見ると浅黒肌で三白眼で目ヂカラさんで、わりとイッちゃってる系の犯人向き顔なのね。フィルモグラフィーによると『仮面ライダーウィザード』にもゲスト出演されていたそうで、えっえっえっ??と録画を遡ってみると希望饅頭篇の、悪でもゲートでもない一般人の若手和菓子職人役でした。刈り上げ短髪に白帽白衣。学生服もそうですが職業ユニホ的なものが滅法似合う人でもありますね。衣装次第で化けやすいというかね。
今作で演じる近藤さんは、もっぱら悠太郎の、め以子製豪華日替わりおむすび弁当を羨ましがる担当かと思いきや、まじめ過ぎ朴念仁過ぎる悠太郎に“世間一般目線”をときどき思い出させてやる役割も果たしています(ヤッコさんがドンズバ気づくことはまずないのですけれど)。今日(26日)放送の「バカだろオマエ」は飾り気ない男同士の善意に満ちていて秀逸だった。うら若きシングル異性同士、一方が一方にひたむきに好意を傾けていて、周囲から見れば特別な思いが歴然なのに“思われている当人だけが気づかない”って、本当にあるのかな。わざわざ進路相談に来た亜貴子さん(加藤あいさん)すら、初対面のめ以子の手のひらの“毎朝おむすびヤケド”を診察して「熱々やねぇ・・」と一発で見抜いていたのにね。
放送前の公式ネタばれ、と言うよりむしろ普通に番組紹介ベースで“ヒロインは大阪へ嫁ぎそこから本題”とわかっているので、第3週の納豆アレンジ案件からいずれ近いうちのご成婚までは迂回っぽくて早送り推奨になるかなと思っていましたが、まさかのライバル?出現と女友達たちからのエール、何より母親イクさん(財前直見さん)の出しゃばらない、でも温かい目配りなども描かれて、思いのほか味のある第4週でした。
近藤さんも前途有望(か?)な花の帝大生なのだし、三人娘の残り(残りって)のどちらかとくっつきませんかね。控えめだけど向学心旺盛な、教師志望の民ちゃん(宮嶋麻衣さん)などお似合いだと思うのですが。文学少女でちょっと早熟?な金満令嬢・桜子さん(前田亜季さん)は栞の君との件がもう少し尾を引きそう。
『相棒12』と言えばその初回SPでいきなり、おなじみ捜査一課トリオ唯一の妻帯者・三浦刑事(大谷亮介さん)リタイアという衝撃展開が来ました。大腿部のジャックナイフ刺創が予想外の深手で一生杖が手放せない身体になり、現場を愛する三浦さんは内勤転属の慰留をことわって依願退職の道を選んだのでした。まさかの(おい!)警部補試験合格と係長昇任の直後で、逃走した容疑者(しかも皮肉なことにメイン犯人には程遠い格下小物)を三浦さんひとりで全力疾走追跡という、シリーズ中いまだかつてない絵柄に、不吉な予感はよぎったのですが。
三浦さんフィーチャーのエピソードといえばSeason 5の“せんみつ”が代表的ですが、脇役に徹した回でも、数多くはない台詞でぴりっと話を締めたり味を出したりいつもしてくれました。Season何だったか忘れましたが、“天才の系譜”“還流”“最後の砦”“暴発”など、三浦さんの台詞や立ち居で深みが出た場面はいくつも思い出せます。血気にはやりがちな後輩の伊丹刑事(川原和久さん)を“大人代表兼アニキ役”としてフォローしたり宥めたりガス抜いたりするときに特に精彩を発揮しており、退職の意思を告げられた伊丹が病室の外で号泣した心境もうなずける。
意外と次の回にもさらっと顔を出して残務整理とかしててくれないかなと思ったのですが23日放送の“殺人の定理”では本当に捜査一課“コンビ”に減員していて、あぁやっぱり三浦さんもう出ないんだ、としんみり実感。
“せんみつ”からは放送時期ベースでもう7年。窃盗常習犯・槙原(平田満さん)が同郷・三浦さんの諫めに心動かされてめでたく出所更生し、地元岐阜に帰って温泉を掘り当てていたら、三浦さんも湯治で足が治り復職・・なんて無理かな。安楽椅子探偵ならぬステッキ探偵なんてキャラもお似合いと思うのですが。
でも、まずは長年お疲れ様でした。これからも捜査一課と、ついでに特命係を見守ってやってください。
・・・とホロり感慨にひたっていた矢先、25日フジテレビ系放送の、それも特命係OB・寺脇康文さん主演『警部補・佐々木丈太郎』で思いっきり犯人役の大谷亮介さんに遭遇。まるで“三浦刑事リタイア”を待ってのオンエアみたい。たとえば特撮ヒーロー役を一年間なり演じると、その間は小さいお友達ファンの夢のため、同時期の別の作品で真逆の汚れ役は引き受けないといったことはありますけどね。三浦さんにもいろいろ大人の事情があったのでしょうかね。
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