出て行ってくれませんねえ。貧乏神。村井家から(@『ゲゲゲの女房』)。
『仮面ライダーW(ダブル)』ではコックローチドーパントだったラーメンズ片桐仁さん、どうも“お勝手系”“水回り系”が似合う顔のようで。虫っぽいというかね。グンマサイタマ、オオグンタマ。オオグンタマの貴重な産卵シーン。三日連続チバッシガッサガッ。
もうちょっとメイクと登場演出をどうにかすれば、キリストにもなれそうなんですけどねぇ、片桐貧乏神。コックローチドーパントも人間としての本業は漫画家だったなあ。同人誌だけど。
8日~9日は河合はるこちゃん(南明奈さん)の水木漫画愛が全開でした。はるこは、ほんのふた昔ほど前のNHK朝ドラならば、ヒロインにぴったりのキャラですよね。まだマイナーな、大人社会の理解は得られない漫画という分野に夢を抱いて、嫁入り支度を急かす父親の反対を押し切って地方からハタチ前後で上京。体当たりで売り込んだ出版社で、ムッとくる対応をされた先輩漫画家の作品を読んでひと目惚れ、再び体当たりでアシスタント志願。「若い女の子がうちの人に…」と不快そうな奥さんを、元気と善意と純粋な漫画愛で解きほぐし、いつしか業界で先輩をしのぐ活躍を。でも世間的成功や収入より、自分しか描けない独創的な漫画を描きたくて荒波…とくれば、1980年代のプレバブル期~夢覚めやらぬ90年代初頭なら、王道の朝ドラ主人公コースです。
でも、2010年の我らが『ゲゲゲ』の主役は、若いはるこがしげる(向井理さん)の“助手席”で「おもしろーい、うふっ、先生凄いです」と目を輝かすのを温かく見守りつつ、ちょっと淋しそうに、でも“ありがたいわ、お手伝いしっかり頼みます”な表情で唐紙を閉める布美枝さん(松下奈緒さん)なわけです。
お腹が大きくなってきた前年の秋に自分の新刊を持って順調な近況の報告に立ち寄り、産まれる子のための毛糸取りを手伝ってくれたはるこにも、布美枝は「私は、漫画のことはようわかりません、うちの人が帰ってから相談してみて下さいね」と、軽く人生の先輩らしさは見せながらも深入りはしません。このへんがこのドラマ、地味なようで、画期的に新しい。
従前の“夫婦善哉”ものなら、“世間の人にはわかってもらえなくても、ウチの人の抜群の才能はワタシが一番よく知っている、必ず芽が出る、この世のほかの誰でもないこのワタシが支える”式の、マネージャーマインドの暑苦しい何様女房になっていたはずです。
布美枝が“幼い頃おばばが語り聞かせてくれた懐かしい、怖いけれどおもしろい世界”、そして“幼児体験をもった郷里が近隣”という、ささやかなアクセスポイントっきりで、旦那の描く、世間の多数派には受けにくい漫画に、精神的な接点を持てている。
ヒロインの“ワタシがワタシが!”“他の誰とも違う個性があって、皆に好かれ買われるワタシ!”的な主張のなさが、このドラマを風通しよくしている。人間、そんなに、ドラマほど個性とか独創性とかめったやたらにあるわけじゃないし、かりにあったって、あることで人に、とりわけ同性に好感持たれたり応援されたりするわけでもない。
“個性”に憧れ、懸命に足掻く若い女性の役を、あまり演技経験がなく、それプラス、演技させたら意外と声がロートーンで硬めで、お日さま燦々元気いっぱいとはいかない南明奈さんに振ったことが、このドラマをこのドラマらしくしています。
児童劇団出身の、ハイティーン学園ドラマ女優さんでも起用したら、「ようわかりません、でもありがたいわ」マインドの布美枝さんが輝かなくなってしまったかもしれませんから。
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