イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

畏(かしこ)まり

2017-11-29 15:51:28 | スポーツ

 今般の大相撲横綱暴行傷害事件と、まつわって取り沙汰されてきた話題あれこれ、大勢が納得する着地になるかどうかは今日(11月29日)現在未だわかりませんが、思うのは「昭和天皇が御存命の間でなくてよかった」

 昭和天皇は本当に心底好角家で、国技館の桟敷席に香淳皇后と並んで天覧されているお姿がよく似合っておられました。昭和の陛下が今日の、モンゴル勢上位独占の大相撲界をご覧になったらどう思われたか。ちょっと手元で調べてみたら、昭和30年(1955年)から開腹手術を受けられた昭和62年(1987年)まではほぼ毎年国技館で観戦されていたそうです。昭和62年の大相撲では、年6場所のうち3場所は横綱千代の富士が優勝、2場所は北勝海(ほくとうみ=現在の八角親方)が優勝して、もう1場所は大乃国(=現在の芝田山“スイーツ”親方)が大関として優勝し、次の場所の後、横綱になっています。もちろん全員日本人。前の年(=昭和61年)に横綱になった双羽黒が一度も優勝なく引退なんてこともありましたが、のちに横綱二人を輩出するハワイ勢では、草分けの小錦が名古屋場所で大関昇進している段階で、のちの“日本出身力士10年間優勝なし”“日本人横綱14年間不在”なんて事態は誰も予想していませんでした。

 それでも、昭和天皇のお人柄から推して、外国人がぞろぞろ上位独占という状況を目の前にしたらしたで、日本人力士の奮起を願いつつも外国人大関や横綱の強さは、それなりに楽しんでリスペクトして下さったのではないかとも思うのです。機会があれば土俵の外で面会して祝福や激励のお言葉を下さったりして、モンゴル人力士の皆さんも「日本のエンペラーに謁見の栄誉を賜ったよオイ」「改めて大相撲って日本では凄いんだな」「エンペラーも注目されている中で優勝とかしちゃったオレどうしよう」と緊張感をもって、その後の素行や言動も変わってきたかもしれない。

 やっぱり、“畏れ多い存在”があり、折に触れてその存在を意識することって人間、芯の所で大事なことじゃないかと思う。特に若く、血気盛んで、腕っぷし身体能力が人並外れて強力であることを自任する格闘戦士たちなんかは、“神”的存在、神聖なるものには、意外に滅法弱いはずです。

 報道されているように相撲協会の中に各部屋がありそれぞれに師匠=親方が統括しているほかに、“モンゴル人力士会”なるサブシステムが水面下で存在していて、親方も協会もアンダーコントロールにできない、ほとんどアンタッチャブルな上下関係や横のつながりや阿吽の呼吸がある(らしい)現況は、「日本古来の最も“神”に近い存在=エンペラーが大相撲を常にウォッチしていて、オレらはその大相撲の一員」という意識が彼らモンゴルの皆さんにあればかなり避けられたのではないでしょうか。

 故・昭和天皇がお元気だったらば、戦前の現人神時代から戦争~占領時代を経て人間宣言に至る波乱万丈の人生経験を生き抜いて鍛え上げられたいぶし銀のようなキャラと、自然や植物を愛するナチュラルなお人柄のオーラで、無駄に権威ぶることもなく、部屋制度や公益法人なんちゅう後付けの括りを超越した、大相撲界の精神的な心棒となり、後ろ盾となってくださったような気がします。

 平成にかわってからも今上天皇と皇后両陛下が、昭和天皇の御遺志を継ぐように、相撲協会に不祥事が相次いだ時期と陛下御療養中の期間を除いてほぼ毎年一回は観戦にお越しになっていますが、むしろ内親王愛子さまのほうが大相撲好きだったのではないでしょうか。平成18年(2006年)9月秋場所、当時の北の湖理事長を先導案内役に、桟敷から身を乗り出すようにして満面の笑顔の内親王のお姿はご記憶のかたが多いと思います。この年に幼稚園に入園されたばかりで、よくまああの大きな、入道雲のような理事長を目の前にして泣きもビビりもしなかったもんだなあ、将来の女帝もじゅうぶんいけるじゃないかと、月河も高齢家族らと話しどこかに書きもした記憶があります。

 幕内力士全員の四股名のみならず、本名もフルネームで諳んじているとお父上の皇太子殿下も脱帽されていた愛子さま、とりわけ朝青龍関の大ファンだったそうですが、その横綱は本場所中の民間人暴行で引責引退してもう7年、母国で大実業家となり、莫大な資金力を背景にモンゴル政府特使の要職にも就いています。昭和天皇亡きあとどころか、平成13年生まれの愛子さまが幼稚園から高等部2年になるまでの間にすら、これだけの激変があったのです。

 最近はツイッターで結構な毒も吐いているようで。まさかと思いますが愛子さまはチェックしておられるかしら。就学前の時期に夢中になったゲームとかアイドルとか遊びモノって、思春期頃になると「そんなの誰か別の子の話でしょ」ぐらい興味なくなることが多いですが、できれば内親王にもうまいこと卒業しててもらいたいなと思います、こればっかりは。

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