イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

大相撲瓶瓶(びんびん)物語

2017-12-01 18:23:24 | スポーツ

 もう、大相撲なくなればいいのに。

 公益法人日本相撲協会や、〇〇部屋や△△親方がなくても、もちろん☆☆国出身力士会なんてなくても、日本伝統の徒手格闘技としての“すもう”は存続できるでしょうに。

 一昨日(11月29日)の横綱日馬富士の引退表明会見、何が驚いたって、「お酒が原因の事件ではない」と断言したところです。いやーびっくりした。「ワタシはいままで、お酒を飲んで暴れたり、人を傷つけたりしたことはないし、酒癖が悪いと人に言われたこともない」までは、酔っ払ってない酔っ払ってないって酔っ払ってる奴に限って絶対言い張るんだよね・・と、薄笑いで聞き流すことができましたが、その後にこの発言が来たのです。リモコンにせよシャンパンかビールの瓶にせよ、大の男が頭皮縫わなきゃならなくなるまでぶん殴ったのを「酒が入ったからじゃないもん」と言い切ったのです。

 つまりは、“酒が一滴も入ってない、どシラフだったとしても、同じ相手に同じ状況なら縫うまでぶん殴った”ということ。ひゃー凄い。ある意味勇気ある。一か月近くがちゃがちゃ騒がれている一連の騒動の見え方が、月河にとって一瞬のうちに変わりました。昔のTVドラマで、ショックを受けたときに静止画になってネガポジ反転して「ガーン」と効果音が出たような。蛭子能収さんの漫画なら額にスダレ線が入って汗がたらーってなる場面。それほどじゃないか。

  月河はそれまで、番付上位も下位も、先輩も後輩もともに飲んで全員お酒が回って、シラフの時なら当たり前に守れる礼儀も自制心も緩んでしまって売り言葉に買い言葉になり、取り囲んでいた周りも酔っ払ってるから危機感も緊張感もうすく、「すぐやめるだろうデヘヘ」と特に真剣に割って入るでもないうちにあれよあれよと十何発入っちゃったぐらいの話だと思っていたのです。手を出したほうも出されたほうも、そこまで緩むほど飲んだのがまずかった、恥ずかしい面目ないのはお互い様だけど、現に怪我させたほうが圧倒的に悪いから、酔いがさめたら地位が上でも飛んでいって真っ先に謝る、頭下げて、痛かったろういやーすまなかった、病院代は無論オレが持つ、治るまでゆっくり休め・・で円満解決できる事案だと思っていました。

 それが何でこんなにこじれる?単なる上下関係じゃなく別々の部屋の親方がからむから?モンゴル人力士会というサブシステムが入ってるから?・・といろいろ考えていたら、まさかの怪我させた側からの、事実上の「飲んでなくてもやった」宣言ですよ。酒で一時的に判断力自制心が弱まっていたから手が出ちゃったと見なしてもらったほうが明らかに犯情が軽くなるとわかるはずなのに、こう言っちゃうと、“犯意”があったに等しいわけじゃないですか。先輩として礼儀礼節を教え込むためであれ何であれ、正常な意識と判断のもとに鉄拳ならぬリモコンをふるった、ふるいすぎて怪我させたことは謝って引責引退するけど、礼儀礼節は大事なんだから今後も忘れちゃならんよ、と言いおいて退場する。

 つまりは遠回しに、やり過ぎはいかんかったけど、“やられても仕方のない、シラフの頭で考えても理に合った原因は、被害者側がつくったんだよ”と暗に主張して、結果的には被害者が反論しないうちに自分で幕を引いたわけです。

 凄い。いろんな意味でというより、無数の意味で凄いわ。 

 あらためて「どんな理由でもいまのご時世暴力はいかん、暴力に訴えたらアウト」なんて繰り返す気は毛頭ありませんが、最も厳しく反省すべきは日馬富士個人じゃなく、彼を横綱に推した人たちではないでしょうか。短年月に、もうこれで二人めですよ、暴行、警察沙汰で引責引退の横綱。“大関で2場所連続優勝、もしくは1優勝1準優勝”とか、“力量のみならず品格も抜群”とか、読みようでいろいろになる条件を山と積み重ねたって、「要は人を見る目がなかった」という結果が、これだけ高確率で続いている以上、基準を変えるか、人間(=横審メンバー)を変えるかしないと、結局三人め四人めを輩出するのは目に見えている。

 それから、あるのかないのか判然としないけど所謂“モンゴル力士会”の件について思ったこと。今回の騒動中、何度もいろんな番組でお見かけした杉山邦博さん、NHKを定年退職されてからも大相撲をライフワークにされていますが、「モンゴル人力士が増えて、楽屋でも(モンゴル人同士にしかわからない)モンゴル語の会話が飛び交うようになり、僕ら取材陣は“それはやめてくれ”と部屋に申し入れしたことがある」と仰っていました。これは情けない話じゃないですか。相撲記者が相撲の力士を取材するなら、力士の母国語ぐらいマスターして突撃すべきです。

 もちろん、郷に入ったら郷に従えで、何国人だろうと日本の大相撲に入門する以上は、少なくとも相撲取りとして活動する時間と空間では日本語を習得して話すよう、師匠もおかみさんも兄弟子も目いっぱい指導する義務があるし、弟子たちも必死になって勉強しなければいけませんが、受け入れ対応する側が「勉強して日本語で話してくれないとお手上げ」では、勉強しなさいと叱咤する権威も気勢もぐらぐらす。

 聞いた話ですがテニスのウィンブルドン大会で主審をつとめるクラスの審判員は、エントリーする選手の母国語の所謂四文字言葉=対戦相手や不利な判定を罵倒したり毒づいたりする言葉、卑猥な言葉等をひと通りリストアップして、頭に入れてから試合に臨むそうです。紳士淑女のスポーツであるテニスといえども、エキサイトした選手は英語で毒づいてくれると決まったわけじゃないですからね。フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、イタリア語、スウェーデン語にルーマニア語にクロアチア語、何国人の選手が地金を出して母国語で毒づいても、毒づいたと気づいて指摘できなきゃ審判の役を果たせない。たとえば錦織圭選手が外国人選手との対戦中、相手の微妙なショットがインの判定だったりした時に日本語で「クソ野郎死ね」と口走っても(口走らないでしょうけど)、「ハイいまの違反ね」とお咎めがあるはずです。

 日本の大相撲もこれだけ外国人に門戸を開き、上位に上り詰める例も増えてきた以上、受け入れる側が、門を叩いてきた者の言葉を知らない、何言われても意味わからないでは済まされないと思います。でないと「日本語を覚えろ、日本語で話せ」と胸を張って言えないじゃないですか。モンゴル人を受け入れたら支度部屋や花道や、風呂場でモンゴル人同士、どんな会話をしているか、誰が誰と仲が悪いか、どんな悩みを持ってどんな愚痴を言っているかわからないで、何を指導監督するというのでしょう。「ウチの親方死ねばいいのに」「今度おかみさん押し倒してやる」とか(言わないでしょうけど)、博打や買春やクスリの話にモンゴル語で花を咲かせていたら(咲かせないでしょうけど)、こらこらチェーーック!入れられるようになって、初めてモンゴル人の弟子を取る資格があると思います。


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