『相棒』Season 21から亀山薫くん(寺脇康文さん)が復帰した件は、もっと早く、何本もここで書こうと思っていました。
しかしながら・・前任の、放送開始から通算四人め相棒=冠城亘くんが法務省に戻ってSeason 20が2022年3月に終了、次の相棒未定のまま約3カ月が経過して、6月に“亀山薫が帰ってくる!”の報が流れたとき、最初に思ったのは、「あぁ、終わりの始まりだ」ということでした。
「いよいよグランドフィナーレへの布石来たか」
・・“嬉しい驚き”も、もちろん皆無だったわけではないのですけれど。
まったく新規の、通算五人め相棒役が発表されなくてよかった、という安堵も20%ぐらいあったかな。ネットで取り沙汰される次代相棒候補、大泉洋さん、妻夫木聡さん辺りから櫻井翔さんまで、イヤそりゃ話題性はあるけどどんだけ荒れるよ?と想像しただけで心拍数が乱れるような名前がチラチラ交錯してましたから。
そしてまた、帰ってきた亀山くんが、南アジアのサルウィン(リアル地図で言えばインドシナ半島のミャンマー辺りに設定立地)帰りらしく日焼けにターボかかってた以外、変わらないにもほどがある。
体型や髪型だけじゃなく、キャラも空気感も十四年前の2008年暮れ、Season 7 中盤の、退場時のまま。十四年経ってこんなに変わらないんだったら、逆に、なんで十四年前に退場させたかなぁ?と不思議なくらい。
たぶん、スタッフの皆さんもいろいろ考えたんだろうと思います。この十四年、『相棒』ワールドは、右京さん(水谷豊さん)はいつまでも若々しく、変わらず変人で、取り巻くレギュラーの皆さんも極力“退場しない人は変わらない”を旨としてメンテナンス管理されてきました。
ここへ亀山くんだけが独走で“十四歳、年とって帰ってきた”となったら、“逆・浦島太郎”状態でしょう。退場時が、推定“もうすぐ不惑”だったとしたら、十四年が経過したいまは堂々のover還暦ですよ。
見回せば“お隣さん”の組織犯罪対策課も、十四年経っても課長が角田課長(山西惇さん)。同じパンダカップでコーヒー飲みに来て、ベストの色柄は雰囲気同路線のままバリエーションが増えてる。
上の刑事部長も十四年前のまま内村莞爾部長(片桐竜次さん)、付き添う中園参事官(小野了さん)も参事官のまま。こんな、人事無風の警視庁あり得ませんよ。
“あり得ませんよ”が堂々罷り通っているということは、逆に、“フィクションとしての純度”は高まった、と言うべきなのかもしれない。
画面に映らないところで、亀ちゃん「課長、そう言えば、いつもこっち覗いてた大木さんと小松さん、見えませんけど転勤したんすか?」角田課長「あー、あいつらなぁ、実はね・・・」となんらかの“裏設定ストーリー”を語る時間もあったのかな。映さなくていいです。
“縛りの中で考えて設計された虚構”に、ところどころ急ごしらえや継ぎ接ぎを見つけても見ない振りで乗ってやる、騙されてあげる。
おもしろうてやがてさびしき“作り話”。
良き面白寂しさを堪能する時間、いま少しは許されそうです。
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