イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

『あさイチ』引継ぎ ~「いい加減にしろー!」

2018-03-30 23:20:35 | テレビ番組

 NHK『あさイチ』のMC“創立”メンバーも本日(3月30日)をもって卒業となったようです。2010年4月、8:00スタートに放送時間を移した連続テレビ小説(『ゲゲゲの女房』)の第1話とともに始まった番組なので、月河もほぼ“朝ドラと地続き”な受け容れ方で見てきました。

 始まった当初は、コーナー多いし全国に中継局のあるNHKの強みに乗り過ぎてやたらローカルアナのローカルレポートが多いし、落っち着かない番組だなぁという印象でしたが、何だかんだで朝ドラへの体温が高いときは迷いなくチャンネル据え置きで、死ぬほど興味のないテーマでもそのまま流して、意外にウケられるなと思ったポイントはウケていましたし、逆に朝ドラから醒めているときはまったく視聴意欲がわかないので、この時間に視聴できる環境にいても、もっぱらラジオでした。

 残念ながら昨年後半からは近来いちばんの低体温状態だったので、今朝も「そうだ年度末金曜だし何かサプライズあるかな?」と途中から視聴。

 何が笑ったって、有働由美子アナがすでに声シャガシャガなのね。理由は聞きもらしましたが、どうも、昨夜、軽くプレ打ち上げみたいのがあって、酒豪の有働さんとしては活躍過剰だったらしい。新年度からのMC近江友里恵アナと博多華丸・大吉さんも加わり、テーマも『年度替わりもろもろ引継ぎの極意』で、情報番組内の情報セルフサービスみたいにうまいことまとめました。

 後任の一郭が華丸・大吉さんとの情報はだいぶ前に流れていたし、月河は『爆笑オンエアバトル』常連だった頃からこのコンビは好きでも嫌いでもない(どっちかに傾きそうになると“博多ローカル”というレーゾンデートルのあるコンビだし・・ってことで自分内で放免されてしまう)ので、新年度あさイチも「この人たちになったから改めて見てみよう」とも「コイツらならますます見る気しなくなった」とも思いません。たぶん今後も八割がた朝ドラ次第でどっちにもなるでしょう。

 ただ、NHK総合の、娯楽を主体としない“まじめな”情報番組でも、当たり前のようにお笑い芸人さんがレギュラーMCをつとめることに誰も疑問を持たない時代になったんだなぁという、感慨のようなものはあります。NHKに限らず、娯楽に甘々な民放各局でさえも、情報番組においては、少なくとも昭和50年代ぐらいまでは芸人さんが出演するとしたら“ゲスト”、あるいは“取材対象”でした。笑いという“娯楽”を提供することを生業とする芸人が、中立を旨としなければならない番組メインMCの側に立つというのは、反則でもあるし、生業を封印することですからある意味、ご当人たちにとっても客(=視聴者)にとってももったいない話でもある。

 今般卒業したほうの井ノ原さんにしても、言わずと知れた大手どころのアイドルグループメンバーで、歌って踊って演技して、やはり“娯楽”“おもしろおかしいこと”を提供する仕事の人でした。

 もう、“おもしろおかしい必要はない”番組の、おもしろおかしい必要のない役回りのポジションに、何の恩着せもスペシャル感もなく“おもしろおかしさのプロ”が、レギュラーで毎日顔を出し声を出すことがまかり通る世の中になったんですね。華大さんだけではない、有働アナの後輩の近江アナ辺りすら、本来なら“おもしろおかしさの必要性”からいちばん遠いところにいるはずのNHK社員アナウンサーでありながら、すでにヴィジュアルや話し方、声質、キャラも含めてアイドル目線で消費されています。

 これはもう時計を逆回しにするのは不可能でしょう。昔なら盆と正月が一緒に来たような“おもしろおかしさ”の飽食、大安売りの時代に、私たちは暮らしている。

 慣れは鈍感を招きます。必要のないところにまでおもしろおかしさが満ち満ちていることに鈍感になれば、人間はもっと過激な、露骨なおもしろおかしさを求めてやまなくなります。逆に、おもしろおかしい必要のないところが、必要のない通りにおもしろおかしくなかったら、まるで必要なものがなかったかのように、「おもしろおかしくなかった、つまんねえ」と罵倒するでしょう。

 アイドルとベテランアナのコンビが卒業して、お笑いコンビとアイドルっぽいアナが引継ぎ。ほかならぬNHKの情報番組だけに、かえってあからさまに時代を映し出す鏡になりました。昨日今日始まった時代ではないですけどね。

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