イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

叩けば誇り

2011-11-02 00:05:00 | 朝ドラマ

うはは、出た善作お父ちゃん(@『カーネーション』)の必殺「ない。(軽ドヤ顔)」。

もう、最近、お父ちゃんと糸子(尾野真千子さん)との差し向かい場面のたび、このトボケドヤ顔ゴールデンスペシャルがいつ出るかと、思わず前のめりになってしまいますね。先週の“糸子が女学校やめ→次女静子が女学校に行けるようになった”“パッチ店で働いて給料→三女清子も女学校に”“糸子製作アッパッパ売れる→四女光子も(略)”さて、それでは糸子パッチ店給料もアッパッパ製作も絶えたらどうなるでしょう?「清子と光子が行けんようになる。」「そうや、そのとーり。」のクイズ論法も、「心斎橋ぃ?ミシンー?神戸?」の三段助走カミナリも笑いましたなあ。謡(うたい)をよくするかただけあって、どっか思考回路や、感情のテンションアップも、知らず知らずリズムをとるんでしょうな。

百貨店員制服の注文を取らんと時代の先行くアイディアひらめき、全速前進頑張っている愛娘のために軍資金を提供できる財力が「ない。」というのは父親として、一家の長としてさぞかし情けなく不甲斐ない思いでしょうに、「(ないけど)お父ちゃんに任しとけ、家財売り払うてでもどないかしちゃる!」てな頼もしい啖呵を、ウソでもいっぺんはきめてみようなんてこたぁ微塵も考えない。

速攻「ない。」。虚勢も修飾もなくシンプルに「ない。」。ないと言ったら「ない。」。

句点“。(まる)まで、音として聞こえてきそうなくらいきっぱりと「ない。」。

実の娘、しかも幼いときから男まさりの度胸と才覚で親を頼もしがらせてくれた糸子の前で、カッコつけるのは逆にカッコ悪い、思うさまぶっちゃけたほうがお互いにラクだという開き直りともとれるし、“糸子は自分のやりたいことは人さまに甘えず頼らず自力でどうにかしてきた子だから、逆風ハザードだらけの茨の道のほうがようけエネルギーが出る”“ほなら出さしてやろうやないか、どうする糸子、できるやろ糸子なら”との、娘の個性と先行きを見通した、親らしい課題出しともとれる。

後者なら、情けないどころかあっぱれ賢い父親だし、前者ならまた、善作さんらしくてそれはそれでチャーミング。あるいは彼自身、自分の偉くなさ、不甲斐なさを楽しむ術を身につけてしまっているのかもしれません。“家族全員から尊敬される、強くて甲斐性のある模範的な家父長”を「オレのガラじゃないわい」と照れて避けているのかもしれない。夢に向かってまっしぐら、日々是努力と向上!という人生から“敗退”したのではなく“降りた”からこそコンニチがある自分。

馬力じゅうぶん、まっしぐら型“夢追い人”のヒロインのそばに、善作さんのような“夢降り人”代表がドンと構えていてくれるおかげで、ヒロインいや増しに輝く輝く。しかも、「かりに、降りたってホラこんな行きかたもある」保険というか、見本がいるのですから、ヒロインが多少オーバーランしたって、高所に上り過ぎたって大丈夫、墜落致命傷なんて心配はない。

今日(111日)の26話では、糸子に制服サンプルセルフ着用プレゼンを「そのほうが絶対オモロイ」と推奨したり、なにやら善作さん“一か八かの博才寄りの商才”まで眠りから醒めてきた様子。叶うまで夢の途上にい続けた人にはわからない、夢から降りた地上の足場を知る者の強みでもうひと花咲かせてください。娘の裏で糸引いての花でも、この際いいじゃないですか、ねえ。

コメント
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