イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

脇愛々

2011-06-05 00:22:23 | 海外ドラマ

韓国時代劇も今般の『善徳女王』で、ドアタマからの継続視聴は3作めなのですが、NHK総合で放送中の『イ・サン』が本国での本放送2007年、同じくBSプレミアムの『同伊(トンイ)』2010年、『善徳』が09年と、結構接近した時期の制作なので、ヅラやメイクやキャラに惑わされないよう気をつけて注視していると、役者さんがかなりかぶっていて、“隠れんぼ探し”みたいでおもしろいですね。

とりあえず『イ・サン』の11歳世孫さまが、『善徳』で少年ピダムになり、「おぉ世孫さま背が伸びたな、頭身も小さくなったな、子役卒業まであと少しだ」なんて思っていたら、あのくりくりおメメでキャッキャ笑いながら、毒盛って大量虐殺してしまったのにはたまげた。きっと同国ではもっとうんと幼いときからご活躍の名子役さんで、“ピュア”“ひたむき”の裏返しの空恐ろしさ表現を期待してのピダム役起用だったのでしょうね。

いまのところ、我が国の名子役さんにありがちな、横に膨張したりはしないで“原形”をとどめたままタテ方向に成長中のようで、ひとまず安心。幅広い演技経験を活かして、素敵な大人の俳優さんになってまたどこかで会えるといいですね。でも競争社会・韓国の芸能界は李朝や新羅の王宮内部以上に魑魅魍魎がバッコしてて生き残りが難しそう。各番組公式の、キャスト紹介など見ると、メインどころの俳優さんはたいてい大学の映画科や演劇科、舞台芸術学科などの出身。競争社会は学歴社会でもある様子。大学出てないと、あるいは出ててもランク低い大学だと、いい仕事が来なかったりするのかしら。チビ世孫さまも、学校ちゃんと行けたのかな。

年かさの脇役さんたちだとなおいっそうかぶり具合は大きそうで、『イ・サン』でソンヨンにエロ視線注いでた(青年世孫さまの機転で逸らされた)清国大使の人は、『善徳』ではミシル璽主(せじゅ)の戒厳令お触れ紙にびびる都ソラボルの平民役で、残念ながらちょっぴりの出番でした。丸剃り襟足お下げの弁髪アタマがあまりにも似合う、海坊主チックなルックスのかたなので、ハチマキや頭巾など被り物があるとずいぶんイメージが変わる。

『イ・サン』と言えば、朝貢船から白布を盗み出す儲け話をテスにそそのかして、後から首出し生き埋めにされた(タルホ伯父さんがテスを諌めてくれて助かった)運び屋の人が、『善徳』のミシル陣営の小モノ重鎮=心配性を笑ってごまかすアホ息子ハジョン殿だったような気がするなあ。よく見ると結構ハンサムなのに、なぜか“情けない顔させたら休戦ライン以南で№1”みたいなところもあり。

忘れちゃならない、『善徳』では第1話のみの登場ですぐに崩御されてしまいましたが、「我亡き後はミシルを刺殺せよ」の密勅を遺すことで、結果的には最終話まですべての人物の人生に光も影をも落とし続けた真興(チヌン)大帝役の人は、『イ・サン』の英祖(ヨンジョ)さまでもあり。てことは『同伊(トンイ)』でトンイがこれから身ごもる息子でもあるわけなのだ。うーん。いまはむしろトンイのほうが娘か孫娘に見えるが。これはまあ無理スジの無理読み。

この初老俳優さん、先日放送の『イ・ビョンフン監督の世界』では銀行頭取みたいな背広姿で「監督は眠らない人」なんてインタヴューにこたえていたりして、ひと頃の渥美国泰さんや北村和夫さんのように、政治家や財界人や教授など“偉くて頭がよくてハラにイチモツある人”役ならどの局のどのドラマでもお任せというポジションの人なのかもしれません。

ちょっと前までは北村総一朗さんなんかもこの路線を得意にしていましたが、スリーアミーゴス以降だいぶ変わった。チヌン大帝ももっと軽い現代ものドラマなどでいろいろやっているのかも。マヌケ社長役なんて見てみたいような見たくないような。

『イ・サン』の、テスの“アレ”無しタルホ伯父さんは、『同伊(トンイ)』の掌楽院の、自分では演奏しない、中間管理職っちゅうかマネージャーさんのような役もやっています。“目だけテリー伊藤の桜井センリ”みたいな感じで、こちらはすぐわかった。

日本でも、古くは東宝映画の大村千吉さんや沢村いき雄さんのように、クレジットのどこかに必ずいる脇役専門俳優さんがいたし、近年は矢島健一さん、中丸新将さん、大杉漣さん、平泉征さん、金田明夫さん、勝部演之(のぶゆき)さん…など、主役ではないが軽い役ではない、主役より目立っちゃいけないがなぜか目が行ってしまう、微妙な位置で、“この人が脇を押さえているからちゃんとしたドラマですよ”のメルクマールになるような俳優さんが一定数、しっかりおられる。

土壌的にTVドラマ“密度”の高い韓国ドラマ界。こういう立ち位置担当層もさぞかし分厚いのでしょうね。百済(ペクチェ)軍の“赤死病の仮面”みたいな遊軍のように、2隊いるかもしれない(@『善徳』)。

…あの種明かしは見え見え過ぎたね。

作品を追うごとに“あの顔見っけ”も楽しいでしょうが、とにかく前にもここで書いたように、キムチ仕込みの韓国ドラマ、1作、1話が濃いからなあ。戦闘シーンも流血シーンも。剣はがっちゃんがっちゃんぶつかり合うし、血糊は首からもクチからもドバドバ噴き出す。音楽も常に、過剰すれすれに重く、同じ曲の同じ小節が1話の中で何度も何度もリフレインするので、いやが上にも濃度アップ。

CMなしのぶっ通し60分余、特にDVD1巻分の2話連続視聴したりなんかすると、しばらく立ち上がる気力も出ない。このマイブーム、いつまで続く、と言うより、いつまで体力がもつことやら。

コメント
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