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イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

エレベスト

2009-04-18 20:55:44 | 昼ドラマ

『エゴイスト』17日にscene.102週め終了。この枠はいままで1作全3ヶ月、12週が通例でしたが、今作は2ヶ月8週ですから、すでに全体の4分の1を消化したことになります。制作発表時点でも強調されていた、テンポの速さや密度の濃さは、クール短縮化で首尾よく実現したでしょうか。

西条玲子(川島なお美さん)の娘と言い張って付き人に入り込み、女優デビューにこぎつけた香里(宮地真緒さん)、でも本当の玲子の娘は姉・明里(吉井怜さん)のほう。母・綾女(山本みどりさん)の女優時代の付き人だった玲子が、綾女の婚約者を寝取って身ごもり産んだ子が明里。婚約者は結局玲子とは手を切って綾女のもとに戻って来たものの、撮影先の丹沢山系で滑落事故死。綾女も彼の子を身ごもったこともあったが流産の憂き目に遭い、当てつけのように子をなした玲子を許せず、施設に預けられていた赤ん坊を誘拐して自分の子として育てた。その後別の男性と結婚して香里が誕生したが、やはり亡くなった婚約者を忘れられず結婚生活はうまくいかなくなり、シングルマザーとして明里香里を育てた…

…と、まぁこういった経緯を、“それぞれの人物が現時点でどこまで知っているか”が、ときどきわからなくなりますな。

明里は綾女の打ち明けた話を信じて、この人が私の本当のお母さん…と玲子の驕慢な立ち居や表情にも心揺れ動いているけれど、綾女の話がまるごと本当とも現時点では断じがたいですしね。

香里が名乗り出てきた時から怪しんでいた玲子は、自分が17歳で子を産んだとき、施設に預けるつもりだったのが本当は何があって、赤ん坊はどうなったのか、当時の自分のマネージャー寺田(谷本一さん)を呼びつけ、金を握らせて真相を聞き出しましたが、聞き出した部分のシーンはなし。寺田もいまはギャンブルや株失敗でかなり窮乏している様子で、玲子からなるべく多額引き出すべく、本当のことを言ったかどうか。

そんな中、宮地さんの香里が、微笑ましいくらいワキ甘な野心・のし上がり意欲満々で、結構光っていますよ。こんなスカスカの嘘で、世の中通るわけねぇじゃんよ、とTVのこちら側から見ていても失笑モノなのに、本人はイケる気満々で、実母の綾女に「ワタシがビッグな女優になったら、お母さんに家買ってあげるね、庭に花植えてさ、カワイイ犬も飼おうよ」と浮き浮き。8話で隠し子ネタをリークした俊介(林剛史さん)に「おかげで女優デビューできた、このお礼はするわよ、ネエ今夜どーお!」と言う場面など、あまりの隠し看板なさについ「声がでけぇーよ!」とツッコんでしまった。超ミニパンツをはくために生まれてきたような長身長脚、蓮っ葉・ガラ悪を絵に描いたようなヘアメイク。宮地さんの香里、近親や友人に持つなら勘弁だけれど、TV鑑賞している分にはかなり好きです。香里をワントップのヒロインにして、“嘘で固めて果たしてのし上がれるか?どこから躓き転落するか?”のハラハラを主眼にしたストーリーにしても面白かったかも。

早い時期から怪しんでいた玲子の“アナタ本物じゃないでしょ”“何者?魂胆は大体見当が付くわよ”というニヤニヤ余裕な視線と好一対です。“人は人を騙して、陥れてのし上がりたがるもの”“嘘だって、ついてついてつき通せば本当になる”ということをとことんハラに据えている玲子の挙措も、作りモノ作りモノしているけれどもそれなりの魅力はある。

そんな中ではちょっともっさりしてじれったいかなと思う、吉井さんの明里ですが、玲子のマネージャーに抜擢されて、代わって香里付きに下ろされた近松(蘭香レアさん)の冷たい視線を浴びながらホワイトボードに予定をびっしり書きこむ場面で気がつきました。吉井さん、左利きなんですね。綾女のカレイの煮つけをひとり食べて涙する場面でもお箸が左持ちだったっけ。“根(ね)レフティ”の人は自分では平気なのかもしれないけど、壁面のスケジュール表の細い罫へ横書きする姿勢がいかにも窮屈そうで、しかも横からは“駆け出しドシロウトのくせに、ベテランのワタシをさしおいて玲子さん付きなんて生意気”という近松の無言の圧力。内も外もいっぱいいっぱいな様子が窺えて一瞬でしたがいい場面でした。

贔屓目に見ても硬さが目立ち、安定しているとは言い難い吉井さんの演技も、“目標だったわけではない、得意ではないジャンルの仕事を手探りで精一杯こなしている”“次々に知らされる衝撃の事実や展開に翻弄されながらも踏ん張っている”感と、ある程度ナイスマッチです。

特撮ヒーローに、演技ド新人さんを抜擢して“慣れぬ状況に翻弄され感”“シャカリキ立ち向かってる感”を“借景”させるのと同じ方法論ですが、今作はギリギリ成立しているかな。

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人生は演技である

2009-04-07 17:20:17 | 昼ドラマ

うん、やっぱり小森名津さんの書く女優モノ脚本はひと味違いますね。6日(月)から放送が始まった『エゴイスト』1330~)。

「自分は重んじられている」「リスペクトされている」という磐石の自信があり、「いやが上にもそうあれかし自分」と思っている人ほど、自分の意見や立場の主張の必要を感じませんから、基本的にクチ数が少なく、動作も小さいものです。

ひとり立ちほやほやの新人スタイリスト・明里(吉井怜さん)、駆け出し劇団員・香里(宮地真緒さん)姉妹が、なんとか世に出たい出たいアンビシャスまる出しで、ピーチクパーチク、ジタバタキャンキャンしている中、仰ぎ見られる立場のキイパーソン、川島なお美さん扮する大女優・西条玲子の“静かなる自尊上等”ぶりが実にいいですな。

先輩スタイリストに「これからこの子に担当させますから」と紹介され、最敬礼の明里に「こちらこそよろしく」でも「しっかり頼むわよ」でもなく、長ぁい付け睫毛ひらり一閃「…私、泣く人嫌いだから」。くぁーー、なかなか言えないセリフではありませんか。

“泣く(弱い)人を見るのも嫌いだけど、泣くような自分はもっと嫌い”、つまり、昔は弱くて泣いていた自分を自力で克服して今日あるこのワタシなのよ、という所信表明、人生における料簡(りょうけん)の表明ともとれる。

ただし、「これは私の所信です」という宣言然とは言わず、別の用件で、求められて求められてどうしても何か言わなければならないという状況でのみ、最小限の端っこでちらっと匂わす。わかる人にはわかるし、わからない人には永遠にわからない。わかられなくても自分は尊重されるのだから何もじたばたすることはない。自分が尊重されているのは“(何らかの考えや働きを)わかってもらっている”からではなく“自分だから”であると知っている。存在自体に価値がある私。本物の大物、本物のカリスマ。

冒頭、明里が走り回って集めやっと現場に届けた衣装のコートを「いらない」と見もせずに却下、からみの端役の芝居がヘタ、楽屋に準備した衣装が気に入らない、文句は端役やスタイリスト本人に言わず、そんな下っ端そこにいないかのように責任者=監督・プロデューサーを呼びつけて言う。まぁスーパーや百貨店、金融機関などでのクレーマーの常套句「あんたみたいなパートじゃ話にならん、店長を出せ店長を」って類いの延長線なんですがね。

しかも、この純ナマ百パーセントの大物女優を演じるのが、同じ小森さんメイン脚本だった01年『女優・杏子』の荻野目慶子さんではなく川島なお美さんだから、実におもしろいことになっている。

ワインでセレブでボーイフレンドたくさんの恋多き女で軽井沢別荘持ちで…と、役柄とは真逆に“自己申告”っきりでセルフイメージを作り上げることに、一応成功して今日ある川島さんですが、女優・演技者としての経歴の中に“大物”性はほとんど見当たらず、忌憚無く言ってしまえば“いつまでたっても年甲斐もなく、オンナノコっぽくキャピキャピ浮わついてる”のが魅力というか、おもしろがりどころの人だと思うのです。しかもなおかつ「私はグレード別格よ」と“ドブ板大衆性”“隣のおネエちゃん的親しみやすさ”とは一線を画するための自己申告努力を寸時も怠らないから、独特のおもしろ物件化している。

当地では第1話の放送日深夜にオンエアされた『エゴイスト』番宣でも、楽屋で20代の吉井さん宮地さん相手にパティシエの新婚夫君ののろけネタ全開、例の別荘のキッチンで手料理披露して、客もいないのに「まず、お毒見」とか、それこそ風の中の羽根のようにスノッブに舞い上がり通しで、役柄の大女優にふさわしい風格とか貫禄とか、神秘性カリスマ性とこれほど距離のある人を起用する今作の製作側も、かなり上等。

川島さんが“大女優”役らしい演技を、らしく展開すればするほど鮮明に浮かび上がる気品のなさ、チャチさ、あえて勇気をふりしぼって書きますが、ニオイ立つションベン臭さのようなものが、“いかにも昼ドラ”を超えた独特の夢夢しさ、フィクティシャス感のあるドラマにしています。

……いや、これ決して貶しじゃないですよ。川島さんがこの作品に、この役で出てくれたことで、面白くなっているか、つまらなくなっているかで言えば、絶対前者だと思ってますから。

『炎神戦隊ゴーオンジャー』のダッシュ豪快・ゴーオンブラック役に、素ではほにゃっと癒し系な海老澤健次さんをオーディションで抜擢したプロデューサーの謂い「彼がコワモテを演じるときの、滲み出てくる変な感じが、“うわっ、面白い!”と思えた瞬間があって、以降、それしか目に入らなくなった」という気持ちに近いものがあるかも。こういう人為的な“滲み出てくる変な感じ”を賞味するのも、立派にドラマ鑑賞の方法論のひとつ。

気がつけば名古屋出身で、制作東海テレビとは縁の深い川島さん。彼女の女子大生アイドル時代を知らず、90年代以降の“自己申告上等”ぶりしか見ていない若い視聴者にとっては、川島さん像はかなり違うかもしれません。

不器用な努力家の明里を演じる吉井さんのたどたどしい素朴さ、鼻っ柱の強い香里役の宮地さんの、かなり楽しみなお下品なあくどさに負けない“変な感じ”に大いに期待したいと思います。

1話で早くも明里と顔を合わせた、西条玲子の亡夫の連れ子(林剛史さん)の登場もいい演出でしたね。高級車のウィンドウがシュッと開いて顔だけ。漫画の金持ち御曹司が貧乏ヒロインと出会うときの黄金パターンのひとつです。

戦隊OBの中には、役柄の髪型を普通のいまどき風に戻しただけでガラッと外見が変わってしまう人も多いのですが、ホージーがわりと髪で作り込まないキャラだったせいか、林さんは『デカレンジャー』時代と本当に変わりませんね。クールパッションでハードボイルドライセンスな脱ぎシーンなんかも、サービスとしてもちろんあるんでしょうな。併せて期待。

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総てを司れ

2009-04-03 18:56:08 | 昼ドラマ

気がつけば新年度も3日過ぎ、「厳しい時代だから採用になっただけでも有難いと思って、勉強は自力でね」とばかり研修もそこそこに現場に放り出されたフレッシャーズ諸君、諸嬢の顔をあちこちで見かけるようになりました。そうだよ、お客さんからのクレーム含みの要望を聞いて“自分には手に余るな”と思ったときに「マジっすか」と言わないようにね。物事がすごくうまくいったなと思ったときの「ヤバいっすね」もダメだよ。

さて、来週早々6日(月)~と放送開始迫った4月期昼帯ドラマ『エゴイスト egoist~』、公式サイトの結構も整って情報が出揃ったようです。

スタッフの中では脚本の小森名津さんが懐かしくも心強いですね。月河がこの枠に“居付く”きっかけになった01年の『女優・杏子』のメイン脚本が小森さんでした。今作は異母姉妹のアンビシャス葛藤劇の傍ら、『杏子』同様、芸能界、女優界のバックステージものの側面がありますが、あちらで主役の女優に扮したのはオンリーワン荻野目慶子さんでしたからね。それも今作で川島なお美さんが演じられる、記号としての“芸能界に君臨する大女優”といった立ち位置ではなかった。

…フィクションの話とは言え、“荻野目慶子さんが不倫もので人気しつつも寄る年波で落日女優”である芸能界と、“川島なお美さんが大女優として君臨する”芸能界とでは、世界地図で言えばスペインとフィリピンぐらい距離も時差も、気候風土差もあるような気がしますが。この枠では『真実一路』『愛のソレア』と一定の実績はある小森さんの筆力と、メインPとして制作をリードするのは本作が初めてと聞く東海テレビの気鋭・松本圭右さんのプロデュース能力に注目です。

新人スタイリストのヒロイン明里を演じる吉井怜さんは、アイドル出身で白血病を克服されたことで知られる、きっと頑張り屋さんなのでしょうね。2ヶ月クールに短縮されたとは言え、過密な昼帯の撮影スケジュールを元気で無事乗り切ってくれるといいですが。

吉井さんの闘病記『神様、何するの』が03年にドラマ化されたとき、“吉井怜”に扮した宮地真緒さんが、上昇志向の強い異母妹・香里役で、明里を踏み台に女優としてのし上がって行こうとする役なのもおもしろい縁ですね。

宮地さんがNHK朝ドラ『まんてん』のヒロイン出身だということは情報でしか知りませんでしたが、忘れられないのは再放送で観た『相棒 season405年)“殺人生中継”のお天気おねえさん八木沼リカ役。ネタばれになりますが、何とあんなことを考えてあんなことを企て実行してしまうだけでなく、動機がああいうことだったという、そりゃ角田課長(山西惇さん)もショック受けますって。近年の朝ドラヒロイン女優の中では、朝ドラ卒業後の振り幅がいちばん広く、いちばん役を選ばずにチャレンジしているイメージがあります。

それにしても、公式で現在公開されている範囲でのあらすじ、実母と信じていた母が救急搬送されて、母子手帳を見た勝ち気な妹が“姉だけ実親がセレブ”と知り、「私のほうがセレブ娘」と偽る…というくだりは、もう、このブログで新作昼帯の情報を書くたび何度触れたかわからない、昭和40年代のわたなべまさこさんの長編漫画『ガラスの城』をまたぞろ思い出させますな。

ここまで頻出だと、オマージュだパクリだの世界ではなく、「作り話をこしらえることを生業にする人たちの深層心理の中に、プロトタイプとして作りつけになっている」としか思えない。

 川島なお美さん扮する大女優玲子の、亡き元夫の連れ子で、父の没後も義母である玲子と同居を続け男女関係になっているという、嬉しくなっちゃうくらい昼ドラチックな設定の役で『特捜戦隊デカレンジャー』の林剛史さんの名前も見えます。

デカブルー=ホージーからもう5年ですか。戦隊は『デカレン』、ライダーは『剣(ブレイド)』の年だった04年当時、なんとなく今年のヒーローくんたちの中ではいちばん昼ドラ向きだなと、個人的に思ったのが林さんでした。

ヒロインがとにかく強烈磁場持ちで、男はカッコいいけど振り回されるだけという印象の強い昼帯ですが、演じる俳優さんがイケメンでカッコよければいいってだけのもんでもないから世の中あなどれないんですな。昼帯の濃密な磁界に身を置いて埋没しないためには、イケメンなりの“アク”が必要。アクと言って悪ければ、“自分なりの磁場”と言ってもいい。「お話もすごいし、ヒロインも強烈だけど、この男もちょっと独特だよね」「クセもんだよね」と思わせるだけの何かです。過去のこの昼帯枠で好評だった相手役、『愛ソレ』の半田健人さんや『美しい罠』の高杉瑞穂さん、『新・愛の嵐』の要潤さん、『白と黒』前半の佐藤智仁さん辺りにはそれがありました。

月河は夜のドラマに縁が薄いため、ホージー後の林さんは『アストロ球団』しか知らず、変身も特殊効果もない林さんをほとんど初めて観られるのが今作のひそかな楽しみのひとつです。シリアス重心の芝居をしていても、根に関西ノリのツッコミどころが透けて見えるのが彼の役者としての魅力で、そこらが開花できる、懐深い脚本になっているといいのですが、昼帯はどうしても女性キャラ厚遇になってしまいがちだからなぁ。

ヒーローついでに今日はもうひとつ。『仮面ライダーカブト』の天道役・水嶋ヒロさん、でかしたね。『三日月』の歌姫・絢香さんと結婚。おばあちゃんはどう言っていたのかな。

役柄がああいう、電波でオレ様だったこともあり、なんとなく当時のヒーロー俳優くんたちの中でも一線を画す雰囲気はありましたが、結婚もまさに♪ 光速のヴィジョン見逃すな の早ワザ。水嶋さんがゴールデンのイケメンもので完全に定位置を得た頃、あるサイトで“スイスはチューリヒ生まれの帰国子女、桐蔭学園で高校サッカー準決勝、慶應義塾大学在学中で、スカウトされてモデルデビュー”という彼の“モテ属性のショーケース”ぶりに「人として5回コールド勝ち」と評している世評ブログを読んだ記憶が(OCNの『今日のタメ語』だったと思います)。

そのデンでいけば今回は「コールド勝ちの後ロッカールームでのシャンパンファイト(ビールかけではない)を抜け出して、山の手のトラットリアでしっぽり祝賀晩餐会」みたいな感じですか。

いや、一部ではオメデタ婚?の情報もあるから「抜け出す途中バナナの皮ですっ転んで、ヴィンテージワインで乾杯の間じゅうタンこぶさすってる」かな。記号的イケメン王子さまの役はやりにくくなるかもしれないけど、若くてカッコよく生活感のないパパキャラなんかも見たいですね。

おめでたい矢先に、そんなことは万々々々が一にも無いと信じたいですが、何年か後、もしバツが付いたりなんかしたら、ぜひ昼帯に………ってバツじゃなくバチ当たり過ぎだな自分。

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シャンパン№5

2009-03-19 23:50:52 | 昼ドラマ

最近疎遠にしている昼帯ドラマ、4月クール作の公式サイトも動き出したようです。4月スタートのドラマ情報が聞こえてくると、北国の当地もさすがに春の気配。

『エゴイスト ~egoist~』、公式トップもやはり「大事なことだから二度言った」という感じですが、この枠このクールの、前クールまでの状況と異なった特徴と言えば、①裏番組のTBS系昼帯ドラマ枠がなくなり、地上波のライバルはインタヴュー&トーク番組と報道情報番組、外国映画だけになった②6月いっぱいまでの3ヶ月1クールだったところを、5月最終週までの2ヶ月8週、40話に圧縮した……の2点でしょうね。①のほうはどう影響が出るか、順風にも逆風にも“じわじわ効いてくる”要素でしょうが、②は脚本、撮影、編集といった、放送前の具体的現場的な段階で直撃するファクターだけに、序盤から見守る必要があります。

それよりも個人的に気になるのは、放送開始が46日(月)からと、実質第2週からのスタートになることです。4月イッピ、新年度が走り出してから一週間弱経過しているわけで、これは気分的にかなり遅れを取らないでしょうか。

進学、就職、転職、それに伴う引越しなどの人生イベントごとを迎える人や、そういう人を家族に持つ人の場合、41日を境に生活環境、生活時間サイクルが、行くと帰るほど違ってしまうケースはかなり多いはず。月河が放棄した『非婚同盟』が数字面ではまずまず好反響を保っているわけで、視聴習慣のソフトランディング、スムーズテイクオフという意味で、この後倒しはどうなのかな。いろんな忙しさに取りまぎれて、初回を見逃したり、もう昼ドラ視聴生活とは心理的訣別済みであったりしないでしょうか。

調べてみると、最も最近では1998年の4月クール『白衣のふたり』が同じ46日スタートですね。前クールの『はるちゃん2』が43日までの放送。現行放送中の『非婚同盟』も同じ43日までの予定です。

いちばん深いスタートならばさらに10年遡り、1988411日スタートだった『ふれ愛Ⅱ』。これは前クールが金字塔的ヒット作『華の嵐』(48日まで放送)だった関係かもしれません。偶然にも当時主演の山本みどりさんが、今作『エゴイスト』でヒロイン母として共演されます。

まぁ新年度と言えば、TV局も制作会社さんも、不況の波に耐えて心機一転というタイミングなはずで、シロウト目にも明らかな上記2項目のチャレンジがあることでもあり、昼ドララヴァーズとしては、でき得れば質的にも、数字的にも吉と出る結果をと願うばかりです。

公式に掲げられているキャストの中では、取っ掛かりどころが多いのはやはり川島なお美さんでしょうかね。大女優役だそうですよ。偶然ですがついこの間、LAWSONのバス用品コーナーで“川島なお美プロデュース”入浴剤シリーズを見かけました。

ゴージャスシャンパン癒しのロゼ濃厚レッド3種類。1回分ずつのパッケージに、バスタブから肩もあらわにウッフン♪こちらを向いている川島さんの写真入りです。

10年以上前、97年のTV版『失楽園』の少し前からだったか後からだったか、「ワインと言えば川島なお美」「なお美と言えばワイン」というパブリックイメージが定着しました。“なお”“美”という同業or近似業他者と、かぶりそうでかぶらない芸名表記もあずかって力あったかもしれない。

振り返れば、80年代初頭のミスDJ、『アイ・アイゲーム』司会山城新伍さんのアシスタント時代からお顔を見ていますが、スレンダーなお人形的体つきに小動物系のキュッとしたお顔立ちで、アイドルとしては抜群の適性でも正直“セクシーシンボル”“オトナの色気”、とりわけ“お”の付いた“お色気”に近しいタイプとは思えませんでした。当時の彼女を「カワイイ」と思う男性諸君は多くても、「色っぽい」「エロい」と思う向きはいまほど多くなかったのではないでしょうか。

93年のヘアヌード写真集辺りから世間の共通理解も変わってきたのかな。入浴剤のパッケージを拝見するにつけ(買ってませんぜ)、1960年生まれ今年49歳にしては、まぁ多少メイクや顔パーツのお直しは入ってるにせよ、上半身の輪郭も肌ツヤも十分過ぎるほど若さを保っておられますが、“誰が見てもセクシーむんむん”とは言えない、華奢で少女っぽい、あえて言えば貧相なルックスなのに“自己申告”“自己プロデュース”っきりでコンニチの“セックスシンボル”“熟女のお色気”の地位をきわめられた、これは稀有な女優さんと認めて上げていいと思う。

 「ワタシってこれこれ、こういうヒトなのよ」と510年言われ続け、そう振る舞うさまを見せつけられ続ければ、あの人はそういうヒトだと世の大多数は思ってしまう。社会心理学的現象のわかりやすい具体サンプルとしても貴重な存在です。

その川島さんがレギュラー出演、しかもヒロインの生き別れの実母という重い役で参戦されるとのこと。彼女の来演で、本意か不本意か“色モノ”臭の強いドラマになるような気もするし、どっこい最も昼ドラ“らしい”昼ドラの王道になるような予感もします。

川島さんはひょっとすると、入籍後初めての連続ドラマになるのかな。もろもろ期待できそうではありませんか。

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朝も夜もひかり

2009-02-28 00:13:08 | 昼ドラマ

2月末、ここから一気に春に向かうかと思いきや何やらグズグズ。カラッ、ジリッと夏らしい季節感を求めて、最近再び岩本正樹さんの『白と黒』サウンドトラック(←←左柱←にタイムレス・マイベストとして載せています)も聴き直していますが、やはりいいですね。

ドラマや映画のサントラCDは、1曲めに主題とも言うべき“劇中いちばん頻繁に流れて、耳馴染みができた曲”をもってきて、締めには最終話のクレジットに流れたテーマをいきなり荘重なアレンジで…というラインナップが多いように思いますが、この盤はすっと忍び足のように始まって、二つから三つのピークをきちんと上り下りし、過剰にテンション上げずにラストの『ひかり』(原曲はプッチーニ作の歌劇『トゥーランドット』より)インストにつなげる。

アタマから順に通して聴いたり、ランダムで聴いたりしていると、本当に部屋の中に夏のひかりが、高原の緑の匂いを連れて差し込んでくるよう。

ドラマ本編は、先日もここで触れたように、放送終了後地点から再展望すると、少なからず残念な点が散見されるのですが、この音楽だけで取り返して二往復分ぐらいお釣りが来る。唯一不満は、劇中かなり印象的、効果的に使われていた記憶のある曲が、いくつか未収録という点のみです。

放送中公開されていた番組公式サイトで、岩本さんはこのドラマ音楽のテーマを“まなざし”“情熱”においてみた…と語っておられました。TVドラマの劇伴のつね、放送開始までには全曲完成済み、放送中どの場面にどの曲を使うかは選曲、音効担当さんのお仕事の範疇になり、曲から場面や台詞が派生してくることはまず無いのでしょうが、この曲たちが先に完成していて、曲のイメージから脚本が書かれていたとしたら、いま少し“理屈の小骨”の抜けた、情緒的にふっくら肉付きのいい作品になったかもしれないなとふと思いました。

ドラマを視聴していて、若干気持ちが置き去りにされてしまう局面も、このサントラによって湧いてくる感興で橋を架ければ、かなり解釈が助けられるし、人物をより好きにもなれる。音楽が想像力に働きかけるパワーのすごさを改めて感じます。

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