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ターザン:REBORN 【感想】

2016-08-07 09:00:00 | 映画


あまりターザンについて知らない。ジャングルで生まれ育った野性児の青年が、美女と恋に落ちるロマンスみたいな印象しかない。お目当ては主演のアレクサンダー・スカルスガルドだ。彼の肉体美はやはりカッコよかったけど、映画自体は可もなく不可もなくといったところ。期待したアクションは痛快さに乏しい。

英国貴族として生活していた元「ターザン」の男が、再びジャングルに戻り、連れ去られた奥さんを救い出すため、悪党どもを打ち負かすという話。

主人公はジャングルでの日々を過去の遺物として捉えていて、今では文明社会にすっかり溶け込み、結婚した女性と不自由のない人生を送っている。「ジャングルへ行ってくれ」という仕事のオファーも断るほど、生まれ育った故郷への執着はない。周りの彼に対する反応から、ジャングルからやってきた男はかつて「時の人」だったことがわかる。妻のジェーンはジャングルでターザンと恋に落ちた本人であり、原作でのロマンスがそのまま未来へと繋がっているようだ。主人公をジャングルへと呼び戻したのは、主人公の意思ではなく、ジャングルを懐かしんだジェーンの意思によるものだ。

いわば原作の後日譚だ。その物語設定の着眼点は興味深いが、ジャングルに戻って以降のエピソードはこちらの想像の範囲を超えない。

友であった動物たちと再会し、ジャングルの原住民たちと再会する。ターザンと言われた男のジャングルでの日々が浮かび上がってくる。再会を楽しんだのち、悪者が現れ、ジェーンをさらい、ターザンが追っかける展開になる。その道中が本作の最初のアクションの見せ場だ。道なき道を行き、幼馴染みのゴリラとの挨拶バトルも出てくる。ジャングルへの空中ダイブシーンや、木の蔦を使ったワープシーンなど、ターザンならではのダイナミックなアクションが描かれる。しかし、どれもしょせんはCGのなせる業であり、大スクリーンを通して観ても高揚感は得られない。それは、ゴリラとのバトルアクションも同様であり、アレクサンダー・スカルスガルドの肉体美も高精度なCGを前にしては活かされない。

圧倒的な武力のハンデに対して、ターザンならではの野性の力を借りた逆襲劇を期待していたが、予告編で観た以上のことが起こらない。「シンプルイズベスト」は不可価値があってのことだろうが、本作にはその価値が見当たらない。唯一、原作からの発展を感じたのは、救われるだけだったジェーンが、自らの意思と行動で活路を見出していく強い女性として描かれていた点だろうか。

主人公がとった行動は結果的にジャングルを救うことになるが、基本的には妻を取り戻すためにやったことだ。恩人であったはずの自然に対する愛情が、あまり感じられないのが気になる。俯瞰で見せるジャングルの光景は美しく自然に対する畏怖の念は感じられたが、ターザン本人の意思としてもう少し描いてほしかった。

本作の背景にはベルギーによるコンゴの占領時代がある。鑑賞後に調べたら、かなり残酷な統治が行われていたとのことだ。事前に知っていれば見方も変わっていたかもしれない。

【60点】

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