2012年の(私的)邦画No1候補、現る。
「おおかみこどもの雨と雪」は、
アニメの枠を超えた、無二の傑作。
本作に出会えた喜びと嬉しさ。
心の奥底にしみ渡る圧倒的なパワーにより、ドライアイ知らず。
本作を世に出した細田守監督に大きな拍手を贈りたい。
本作は、狼男を愛した1人の女子大生(はな)が、
その狼男との間に授かった2人の「おおかみこども」を育てる13年間を追った物語。
以前に、中学校時代に気になっていた女子に10年ぶりくらいに偶然会ったことがある。
当然ながら外見は大人びていたのだが、何か全てを達観したような余裕とオーラがあって、
いっそう自分との成長の距離を感じた。ただし、すべての女子に共通するものでなくて、
同様の感覚を覚える女子に共通していたものは、彼女たちが「母」になったということだった。
「この子たちが大きくなるまで見守ろう」
主人公のはなと狼男が家族となり、新しい命を授かったときに誓った言葉。
生まれた子どもが狼人間であることを2人は承知済みだ。
それは普段の(人間の)親子関係とは異質な宿命を受け入れた瞬間であり、
その後も母となったはなは2人のおおかみこどもの「雪」と「雨」を、
ありったけの愛を込めて育てていく。全力で子どもたちを守っていく。
その姿に、愛おしい子どもたちの姿と相まって、何度も何度も胸が熱くなる。
本作の凄いところは、「母と子」という極めて普遍的な物語を
どストレート(バカ正直)に描くために、「おおかみこども」というファンタジーを用いたこと。
それは、母と子が共に成長する過程で描かれる様々な人間模様と
その背景にある心理をより鮮やかに際立たせ、観る側に大いなる共感を呼ぶ。
前作までの「時をかける少女」「サマーウォーズ」でも魅せた、
キャラクターの感情を丁寧にすくいとり、余すことなく繊細に映し出す演出手腕は、
本作でさらに磨きがかかっていて、感涙ものの素敵なシーンが続く。
その都度、「この映画ホント好きー!」と感じてしまうのだ。
本作の演出のみならず、原作と脚本まで手がけた細田守はホントにすごい人。
宮崎駿の後継として続く、日本を代表する映画監督だ。
細田守が素晴らしい監督である理由はもう1つあって、
それはキャスティングを絶対にハズさないこと。
「時をかける少女」の仲里依紗や石田卓也しかり、
「サマーウォーズ」の神木隆之介や富司純子しかり。。。
本作においても、はなの宮崎あおい、狼男の大沢たかお、近所の爺さんの菅原文太を始め、
おおかみこどもの「雪」の少女期、幼年期をそれぞれ演じた黒木華、大野百華(あぁ可愛い)
「雨」の少年期、幼年期をそれぞれ演じた西井幸人、加部亜門(あぁ可愛い)、
「雪」の成長期においてキーマンとなる「草平」演じた平岡拓馬などなど、
個人的に、ドラマや映画を普段観ていて、声が印象的で通る人だな~を感じていた人が
結構キャスティングされていたりで、しかも、みなドンピシャのハマリ具合。
昨今のジブリ映画やディズニーアニメ吹き替えのキャスティングとは次元が違う。
前作の「サマーウォーズ」から、引き続き担当している他制作陣にも拍手。
共同脚本の奥寺佐渡子、キャラデザインの貞本義行、
作画監督の山下高明、美術監督の大野広司、CGディレクター堀部亮等、
それぞれに好きなポイントが挙げられるくらい、みな素晴らしいパフォーマンスをしていて、
本作の高い完成度に結実している。
あと、本作で特筆すべきは音楽。
物語を包む柔らかな空気感との高いシンクロ率や、
人物たちの情景をより鮮明に映し出す映画音楽としての役割が最大限に発揮されている。
高木正勝という自分と同級生な人が担当しているらしい。
エンディング曲の「おかあさんの唄」もパーフェクト。
家族を持つこと、子どもを持つこと、人を愛すること、
それらに対して強い勇気を与えてくれる応援歌のような映画。
人が生きていくことは、人に生かされ、自然に生かされていくこと。
様々なメッセージが込められつつも、観る側を素直に感動させる力あり。
前作の「サマーウォーズ」の成功を受け、
東宝は本作の配給にすごい力を入れているらしく、
結構なスクリーン数で上映されている。
作品の質とは関係のないところで
そういった事態がよくあるため、いつも冷ややかに見ることが多いが、
本作のような間違いのない良作であれば、その価値は大いにありだと思う。
素晴らしい映画。
これだから映画は止められない。
【92点】
「おおかみこどもの雨と雪」は、
アニメの枠を超えた、無二の傑作。
本作に出会えた喜びと嬉しさ。
心の奥底にしみ渡る圧倒的なパワーにより、ドライアイ知らず。
本作を世に出した細田守監督に大きな拍手を贈りたい。
本作は、狼男を愛した1人の女子大生(はな)が、
その狼男との間に授かった2人の「おおかみこども」を育てる13年間を追った物語。
以前に、中学校時代に気になっていた女子に10年ぶりくらいに偶然会ったことがある。
当然ながら外見は大人びていたのだが、何か全てを達観したような余裕とオーラがあって、
いっそう自分との成長の距離を感じた。ただし、すべての女子に共通するものでなくて、
同様の感覚を覚える女子に共通していたものは、彼女たちが「母」になったということだった。
「この子たちが大きくなるまで見守ろう」
主人公のはなと狼男が家族となり、新しい命を授かったときに誓った言葉。
生まれた子どもが狼人間であることを2人は承知済みだ。
それは普段の(人間の)親子関係とは異質な宿命を受け入れた瞬間であり、
その後も母となったはなは2人のおおかみこどもの「雪」と「雨」を、
ありったけの愛を込めて育てていく。全力で子どもたちを守っていく。
その姿に、愛おしい子どもたちの姿と相まって、何度も何度も胸が熱くなる。
本作の凄いところは、「母と子」という極めて普遍的な物語を
どストレート(バカ正直)に描くために、「おおかみこども」というファンタジーを用いたこと。
それは、母と子が共に成長する過程で描かれる様々な人間模様と
その背景にある心理をより鮮やかに際立たせ、観る側に大いなる共感を呼ぶ。
前作までの「時をかける少女」「サマーウォーズ」でも魅せた、
キャラクターの感情を丁寧にすくいとり、余すことなく繊細に映し出す演出手腕は、
本作でさらに磨きがかかっていて、感涙ものの素敵なシーンが続く。
その都度、「この映画ホント好きー!」と感じてしまうのだ。
本作の演出のみならず、原作と脚本まで手がけた細田守はホントにすごい人。
宮崎駿の後継として続く、日本を代表する映画監督だ。
細田守が素晴らしい監督である理由はもう1つあって、
それはキャスティングを絶対にハズさないこと。
「時をかける少女」の仲里依紗や石田卓也しかり、
「サマーウォーズ」の神木隆之介や富司純子しかり。。。
本作においても、はなの宮崎あおい、狼男の大沢たかお、近所の爺さんの菅原文太を始め、
おおかみこどもの「雪」の少女期、幼年期をそれぞれ演じた黒木華、大野百華(あぁ可愛い)
「雨」の少年期、幼年期をそれぞれ演じた西井幸人、加部亜門(あぁ可愛い)、
「雪」の成長期においてキーマンとなる「草平」演じた平岡拓馬などなど、
個人的に、ドラマや映画を普段観ていて、声が印象的で通る人だな~を感じていた人が
結構キャスティングされていたりで、しかも、みなドンピシャのハマリ具合。
昨今のジブリ映画やディズニーアニメ吹き替えのキャスティングとは次元が違う。
前作の「サマーウォーズ」から、引き続き担当している他制作陣にも拍手。
共同脚本の奥寺佐渡子、キャラデザインの貞本義行、
作画監督の山下高明、美術監督の大野広司、CGディレクター堀部亮等、
それぞれに好きなポイントが挙げられるくらい、みな素晴らしいパフォーマンスをしていて、
本作の高い完成度に結実している。
あと、本作で特筆すべきは音楽。
物語を包む柔らかな空気感との高いシンクロ率や、
人物たちの情景をより鮮明に映し出す映画音楽としての役割が最大限に発揮されている。
高木正勝という自分と同級生な人が担当しているらしい。
エンディング曲の「おかあさんの唄」もパーフェクト。
家族を持つこと、子どもを持つこと、人を愛すること、
それらに対して強い勇気を与えてくれる応援歌のような映画。
人が生きていくことは、人に生かされ、自然に生かされていくこと。
様々なメッセージが込められつつも、観る側を素直に感動させる力あり。
前作の「サマーウォーズ」の成功を受け、
東宝は本作の配給にすごい力を入れているらしく、
結構なスクリーン数で上映されている。
作品の質とは関係のないところで
そういった事態がよくあるため、いつも冷ややかに見ることが多いが、
本作のような間違いのない良作であれば、その価値は大いにありだと思う。
素晴らしい映画。
これだから映画は止められない。
【92点】
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