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わが母の記 【感想】

2012-05-03 12:14:51 | 映画
今年は邦画もきちんと観ていこうと思い、
例年ならスルーしていたであろう「わが母の記」を観た。

監督原田眞人と役所広司のタッグとくれば、
ほぼ堅いと思っていたが、そのとおりだった。
年末の各映画賞の候補には間違いなく入るであろう良作。
シリアスな内容かな〜と構えていたら
ユーモアたっぷりの内容でかなり笑えて、嬉しい裏切りにあった。

本作は樹木希林演じる認知症を患った老いた母と、
その母を引き取った役所広司演じる息子(洪作)一家の物語だ。

序盤から原田眞人の脚本ならではの、
活きたセリフと軽妙な会話がイチイチ楽しい。
そしてそれぞれのキャラクターの個性が見えてくる。

認知症を患った母を中心に、周りの人間が振り回されるのだが、
それに終始、愛をもって接する息子家族のネアカな雰囲気が心地よい。

物語はいろんな家族の成長過程を追いながら、
わかりあえなかった母と子の距離がじょじょに縮まっていく様を描いていく。

観る側をぐいぐいと引き込む語り口は作品のテイストは違えど、
原田眞人の過去作「金融腐蝕列島」や「クライマーズ・ハイ 」に似てる。

親子の絆の確信をつくシーンは、
樹木希林と役所広司の迫真の演技と相まって、深い感動。
引き込まれ、時が一瞬止まったような感覚になった。

本作の最大功労者は間違いなく樹木希林。いやぁホントすごい。
今の記憶がなく、過去の記憶に行きる老婆を体現。
ただし認知症の姿に悲壮感はなく、劇中セリフにもあったように
冗談なのか、本気でボケているのかわからない塩梅が絶妙だ。
確信犯的に笑いを放りこんでくるような場面もあり、
そのセンスのよさに舌をまく。演じることへの余裕と遊び心を感じる。
良い歳のとり方をしている樹木希林が素敵だ。

他にも本作では多くの芸達者な女性陣が出てくるが、
とりわけ、洪作の妹役のキムラ緑子が素晴らしかった。
宮崎あおい始めとする有名女優も多数出演して一見目立たないけど、
キネ旬あたりで助演女優賞を彼女が取るのではなかろうか。

物語に寄りそうなような、移りゆく伊豆の美しい情景の切り取り方も素晴らしい。

笑いを交えて語り口はあくまで軽い、
しかし、味わい深く、感動的な親子愛を描いた本作に賛成。

【70点】


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