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ジ・アメリカンズ シーズン2 【感想】

2016-04-03 10:00:00 | 海外ドラマ


NETFLIXにて「ジ・アメリカンズ」のシーズン2を観終わったので感想を残す。

全13話。やっぱりこのドラマもA級。素晴らしい完成度。
最終話に明かされる、まさかの真実に様々な思いが交錯。凍りついた。
あと、フィリップとエリザベスの変装がますます面白い。

シーズン1に引き続き、フィリップとエリザベス夫妻はアメリカでの諜報活動に勤しむ。本部から命令されるミッションはどんどん難易度を増していく。彼らの隣人であるFBIのスタンは、前シーズンでフィリップたちを一旦追いこんだが、本シーズンではそれどころじゃなくなる。

このドラマが面白いのはアメリカ製作のドラマなのに、ソ連側の大義を正義と信じる人たちを描いている点であり、視聴者の感情移入の対象もアメリカ側でなく、ソ連側のフィリップたちにある。視聴者は彼らの活躍を望む格好となり、俯瞰するとそれはアメリカの自虐にも見える。本シーズンではその傾向がさらに強まり、FBIがKGBに完敗する。FBIの無能さとKGBの有能さが際立つ。

シーズン1を観る限り、両者の攻防にこそスリルの源泉があると信じていたのだが違っていたようだ。では、つまらないか?といえば、とんでもない。本シーズンも非常に面白い。

本シーズンは「家族」を見つめる。
今回、フィリップたちと全く同じ境遇にある、もう一組の家族が出てくる。どちらの子どもたちも両親が敵国の工作員であることを知らない。彼らはフィリップたちにとって数少ない、理解を共有できる仲間であり、友情に近い関係を築いている。「仮面」として家族を始めたが、子どもたちへの愛がリアルで深いことも一緒だ。しかしながら日常生活の中で交流することは当然叶わず、それでも互いの家族の成長を見届けたいがために、遊園地で遠巻きに眺めるシークエンスが切なくも暖かい。

その遊園地での両家族の団欒の最中、思わぬ惨劇が起きる。それが本シーズンで描こうとするテーマの始まりだ。

フィリップたちの諜報活動は常に命の危険と隣り合わせだ。多くの人たちを殺し、多くの人たちを利用し続けてきた。そんな彼らに平穏はない。猟犬のようにFBIも追いかけてくる。もちろん彼らは最悪の事態も覚悟のうえだ。しかし、彼らにもタブーがある。それは愛する子どもたちの存在だ。子どもたちは絶対に浸してはならない聖域であり、フィリップとエリザベスは互いにそのことを誓い合っている。そこでまさかの事件が起き、彼らが守り続けてきた家族にも脅威が目前にあったという現実を突きつけられる。折しも、シーズン1から子どもたちは成長を遂げていて多感な時期に入っている頃。特に長女のペイジは、両親であるフィリップたちへの疑念を拭いきれない。確証はないのに感じ取ってしまう子どもの感性の描き方が誠実だ。また、ペイジは親に反抗しながらも自分の生き方を模索する。そこで悲劇にあった、もう一つの工作員家族の存在が繋がってくる。

事件によって取り残された青年の姿は、自分たちの子どもの行く末になるのか。信じてきたフィリップたちの理想は幻想になるのか。。。
衝撃の真実が明かされ彼らの信念が揺れ動く。その答えはシーズン3で見えてくるだろうか。
いやはや素晴らしい脚本。これぞ映画レベルの海ドラである。 日本のテレビドラマ界にも爪の垢を煎じて飲ませたい。

また本シーズンも色恋によってキャラクターたちの行動がコントロールされる。いろんな意味で粗くて脆かった時代だからこそ、ドラマとして描くのに面白いのだと実感する。あれほどクレバーで勇敢だったスタンは本シーズンで、美人KGBのニーナにすっかり骨抜きにされる。 前シーズンでは硬派に見えたスタンがメロメロになってしまうのはあまりカッコよくないが、その結果、スタンの家庭にも大きな影響を及ぼす。女性は男の色情に気づきやすいのだ。スタンの自業自得。

円満なフィリップ一家、崩壊寸前にあるスタン一家、崩壊して消えた工作員一家と、本作では様々な家族の形を提示する。

そんな家族たちを観て思ったのは、家族っていいなーということ。フィリップたちの子どもであるペイジとヘンリーが純粋で可愛いのなんの。ペイジが親たちを怪しんで深夜に親の寝室をのぞき見る。そこで「あるある」の光景を目の当たりにする。家族の中にもプライバシーというものがあって、親子の間には愛情だけでなく、双方の信頼関係が必要なのだ。フィリップたちが子どもたちに対して1人の個人として接しているのが印象的だ。とはいえ、ペイジの行動について頭ごなしに否定することも多いけれど。子育てに悩み、子育てに奮闘するホームドラマとしても見応えがある。

本作で少し物足りなかったのは、フィリップたち(工作員)の諜報活動と、FBI・KGBの攻防が交わらなかったこと。次のシーズンでは3者が絡み合う予感がする。楽しみだ。

その第3シーズンは一昨日からNETFLIXで配信が開始された。ありがとう!

フィリップ演じるマシュー・リスとエリザベス演じるケリー・ラッセルは実生活でも恋人関係にあり、今年に入ってエリザベスが懐妊したという。本作のファンとしては嬉しいニュースだ。

【80点】



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