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Netflixのオリジナルドラマ3本目。
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の感想を残す。
厳密にいうと「ブラッドライン」や「デアデビル」を観たりしたが1話目で離脱。やはりすべてのジャンルが好みに合うとは限らない。そんな中、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」にハマる。前評判に違わぬ傑作。そして面白い。コメディでありながら、しっかりと人間ドラマが描かれており、多くの受賞歴があるのも納得のドラマだった。脚本の完成度も高い。
シーズン1の全13話を観た。
30代女子が主人公だ。10年前、当時付き合っていたガールフレンドのために麻薬密輸の片棒を担いだことが、10年後の現在に発覚し有罪判決を受ける。それにより投獄された女子刑務所で主人公が出会う囚人たちとの交流(?)を描いている。
舞台が女子刑務所というのが新鮮だ。アメリカの刑務所のイメージはマッチョな男たちがたくさん出てきて、何かあればそこかしこで喧嘩が始まる、そんな暴力的な絵をどうしても想像してしまうのだが、女子刑務所だと少し異なるようだ。力にモノを言わせた喧嘩もなくはないが、基本は穏やかで、何かあれば水面下で衝突が起こるという感じだ。女子ならではの陰湿ないじめも度々起こり、主人公はその洗礼を受けたりする。刑務所暮らしに慣れるという、シリーズの導入部である本シーズンでは、そんな主人公が良心と誠実さをもって、降りかかる災難を突破していく姿が多く描かれている。
主人公は高学歴な女子で、恋人との結婚を間近に控え、順風満帆な人生を送るはずだった。 たった一度の若気の至りにも等しい軽微な過ちによって刑務所に送られている。主人公は真っ当な社会適合者であり、視聴者の視点は常に主人公側にあって、彼女のリアクションに一喜一憂しながら、その動向を見届けることができる。一方、刑務所で待ち受ける囚人たちは一癖も二癖もある人ばかりだ。変わり者ばかりの塀の中は、恒常的にユーモアと隣り合わせだ。
シーズン1だけかもしれないが、毎話ごとに主人公以外のレギュラーメンバーの1人1人にスポットが当たる。どうして彼女たちが刑務所に入ることになったのか、そのいきさつを過去の回想シーンで綴る。「人に歴史あり」で、その多くが真面目に社会生活を送っていたなかで、いろんな事情で足を踏み外してしまった。根っからの悪人はおらず(変人はいるけれど)、みんな何らかの形で良心を持ち合わせており、囚人同士の良心が響き合うシーンが感動的だ。
主人公を除いた脇役キャストは見事なまで美人がおらず、また、顔を知っている女優も1人もおらず、オリジナルのドラマとして世界観を優先した作品づくりが伺える。回想シーンと現在シーンのキャラクターのルックスのギャップが甚だしく、誰に気を使うこともなくなると「綺麗でいたい」という意識はなくなるのだ。女子だけの空間には、お約束の同性愛も存在しており、性欲処理のための性交渉も少なくない。あと、看守との恋や売春などもありだ。そのあたりの描写は、制約を受けないNetflixならではといったところ。主人公も躊躇なくトップレス姿になる。
いやらしさのない、下品でエロチックな女の園だ。明け透けなキャラクターたちの群像劇は非日常的でありながら、かなり身近な感情としてエピソードが落ちてくる。以降のシーズンでマンネリ感が出てきそうな気配もプンプンするが、引き続き、シーズン2を楽しみたいと思う。
【80点】
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