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海外ドラマ「ダーク」 【感想】

2020-07-22 07:00:00 | 海外ドラマ


ドイツ産の海外ドラマ「ダーク」。シーズン1~3をイッキに完走したので感想を残す。

Netflixの海外ドラマ、あるいは、数あるSFドラマの中でも屈指の独創性を持った作品だ。タイムトラベルの究極系ドラマともいえる。今年配信されたばかりの作品だが、これはカルトな名作として語り継がれそうだ。

本作の一言でいえば、時間に挑んだ人間たちのドラマである。小さな田舎町を舞台に4人の家族がタイムトラベルを繰り返す。ブラックホールの向こう側には何があるのか。。。

残念ながら話の1割くらいしか理解できていない(鬼難しw)。こんなにも理解できなかったドラマは初めてだ。キューブリックの作品を理解できない難解さとは違う。世界観にハマれないのではない。シンプルに話が複雑すぎて理解が追いつかないのだ。

話の発端は、6人の中高生男女が夜の森で遊んでいる最中、一番下の男子が神隠しにあう事件。突如消えた男子は、33年前の同じ場所にタイムスリップしていたことがわかる。当初は、その男子を元の時代(2019年)に戻すことができるか、というシンプルな話だった。しかし、それはやがて訪れる、壮大な時間旅行と、世界の「終焉」の始まりを告げるきっかけに過ぎなかった。

過去の人間として生きることになった男子は、その後、その時代で年齢を重ねることになる。狭い田舎町であり、まだ高校生だった頃の両親たちにも早々に出会う。そして、現在の登場人物たちにも影響を及ぼす関係に至る。

「過去が未来を変える」はタイムトラベルのセオリーだが、本作では、そこに「未来が過去を変える」を追加する。時間の「裂け目」である洞窟内の穴、もしくはタイムトラベル装置により、「33年」という区切りのなかで、登場人物らが、フレキシブルに過去と現在と未来を行き来する。とすると、同じ自分でも、過去の自分と、今の自分、未来の自分の3人が存在することになる。本作ではその3人がそれぞれでタイムトラベルをすることになる。キャラクター数×時代 になり、登場人物の数が膨らむ。

同系のSF作品では、これまでご法度であったはずの「異なる時代の自分がその時代の自分に会う」は、このドラマでは当たり前に許容される。未来の自分が、今の自分に会いに行き、おもいっきり干渉する。必要とあらば「消す」ことも辞さない。そこで変わった人生が、未来へと影響を及ぼす。過去を変えようとすると未来の自分が追いかけてくる。こうした連鎖が、あらゆる目的意識をもった登場人物単位、異なる時代単位で続いていく。

さらに最終のシーズン3では、これまでの時間的な関係という「縦」で繋がった世界から、第三の世界(パラレルワールド?)という横で繋がった世界が新たに加わる。同じ時代の同一人物でも、同時並行で存在する2人の人物が存在することになり、この人物間でも様々なドラマが展開する。

辿り着く結末は1つだけなのだが、それに向かうまでの過程が極めて複雑。但し、煩雑とは違う。すべての登場人物が物語を紡ぐ当事者として配置される。気が遠くなるような緻密な設計図をもとに脚本が書かれていることがわかる。「愛」を軸とした、登場キャラたちのそれぞれの感情もしっかりと描きこむ。何を選択して何を捨てるのか、自分のため、あるいは家族のため、ひいては世界のために時間をコントロールしようとする。

芸術的でありグロテスクにも見えるオープニングが本作のイロを見事に表現している。凄惨な描写や、人間のの時間経過を表現する特殊メイク、時間旅行を表現するアイテムの美術や視覚効果の完成度、役者陣のパフォーマンスも申し分ない(ヌードシーンに抵抗がないのはドイツでは普通なのかな)。「反・原発」という裏テーマが透けてくるあたりも巧い。

「時間は無慈悲で、生まれた瞬間から死へのカウントダウンが始まる」「目の前にある宿命は因果関係の連鎖でしかない」「終わりは始まりであり、始まりは終わりである」。

シーズン3の「楽園探し」になってからは完全に置いてきぼりを喰らった。おそらく、ミステリー小説など読書に慣れ、想像の世界で読み解くことに長けた人には、これ以上ないご馳走になると思う。自分はまだまだですな。。。

【70点】
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