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マイティ・ソー バトルロイヤル 【感想】

2017-11-11 20:00:00 | 映画


盛大に打ち上がる花火。エンタメ度100%。観客を楽しませることに徹した娯楽作。MCUで語られてきた話の流れよりも自由度を採用。前後の細かい話はどうでもよくなってしまうほど豪華絢爛でパフフル。「マイティソー」シリーズとしては3作目にしてアッパレなホームランだ。アクションシーンにおける少年漫画的なカタルシスも堪らない。また、「ガーディアンズ~」との合流を控えるMCUにとって、その橋渡しをする役割を本作が担っていたようだ。主演のクリス・ヘムズワース、やっぱりコメディセンスが抜群。本作でもマーベルの思い切った監督起用が見事に成功。レッツエンジョイな映画。

マイティソーの3作目。アスガルドの存亡をかけ、主人公のソーと、死の神「ヘラ」との戦いを描く。ヘラはなんとソーの実姉で、父のオーディンがアスガルドを統治した知られざる経緯も明らかになる。

本作の邦題がリリースされた際、ファンからブーイングが殺到した副題の「バトルロイヤル」。見当違いの邦題のつけ方は今や珍しくなくなったが、本作はそのなかでも見苦しい部類に入る。おそらく、一番最初のトレーラーで公開されたソーとハルクの闘技場での戦いから思いついたものと想像するが、そのバトルシーンは本作の一片に過ぎない。「エイジオブウルトロン」でのアイアンマンVSハルクしかり、「シビルウォー」の仲間割れしかり、ストーリー上の必然性よりも、ヒーロー同士を戦わせることの新鮮さを狙ったアイデアが個人的に好きじゃない。その都度、新しい敵を作って、普通に戦わせればいいじゃないかと思う。但し、ヒーロー同士のアクション描写は普通に面白いけど。

本作で新たに登場するヘラは、MCUシリーズで登場してきた数多のヒールのなかでも最強と思えるほどの強さだ。ヘラがアベンジャーズに加わってくれたら、サノスといい勝負になるんじゃないかと想像する。演じるケイト・ブランシェットがさすがのカッコよさ。彼女の圧倒的な力を前に、「ラグナロク(=世紀の終末)」というテーマが説得力をもって掲げられる。その未曾有の危機をソーがいかにして食い止めるかが本作の最大のハイライトだ。なので、副題は原題の「ラグナロク」以外はない。副題のつけ方には文句ありだが、日本での公開をアメリカと同時でやってくれたことには感謝。

監督はタイカ・ワイティティ。 ニュージーランド作品ながら「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」と「ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル」で、欧米を中心に高い評価を受けた人だ。「ハント~」は日本ではパッケージ化もされていないので、Amazonビデオで視聴。毛色の違う2作品だったが、どちらも監督の笑いのセンスが光る映画だった。それもアメリカンコメディのドタバタ劇ではなく、脱力系かつ、空気のマで笑いを取りに行くのが得意。当然、中にはスベリもあり。そんな監督が、本作でイッキに大作映画デビューとなったが、彼の作家性はそのままにコメディ色の強い映画になっていた。

結果まんまとハマって、ほとんど笑いっぱなし。MCUメンバーの中でもコメディのイメージが薄いソーだけに、そのギャップから笑いに転じやすいアドバンテージはあったものの、違和感なく面白いキャラに変化していた。本作のソーは、これまでにないほど表情が豊かでユーモラス。演じるクリス・ヘムズワース、昨年の「ゴーストバスターズ」で感じた彼の真価がいよいよ証明された。本作で新たに登場する酒豪女子「ヴァルキリー」や、お馴染みのロキやハルク(バナー)との掛け合いもこれまで以上で軽快で絶好調。監督が演じていた岩男のコーグもナイスキャラで楽しい。

笑いだけでない。ソー=(イコール)ハンマーであるが、それほど象徴的なアイテムを冒頭から粉々にして使いなくさせるw。「まったく新しいマイティソーにするんでヨロシク」的な、ワイティティの挨拶と受け取ったら考えすぎか。ソーのハンマー使いが好きな自分にとっては残念な気もしたが、そんなファンの心情を思ってか、ハンマーが消える前に、ハンマーの力を存分に見せつけるアクションシーンを用意してくれる。その後、ハンマーなきソーは「雷神」として覚醒するが、中二的思考が強い自分は、スーパーサイヤ人的な展開に大興奮した。チームでの共闘シーンを含め、ド派手で、血わき肉おどる痛快アクションが連発する。レッド・ツェッペリンのあの曲の使い方、最高だ。

前作までに描かれていたソーとロキとの確執がリセットされていたり、ハルクがずっとハルクのままでいた理由がほったらかしだったり、ハルクが普通に会話していたりなど、MCUを追っかけていれば普通に違和感が残るシーンも多いが、それを忘れさせるほどの面白さだった。力でねじ伏せるような「豪腕」という表現が近いかもしれない。いやはやお見事。個人的にはMCUの17作品のなかでも5本の指に入るお気に入りとなった。「ガーディアンズ~」のジェームズ・ガンから始まった、実績よりも先見眼によるマーベル映画の監督起用は、もはや揺ぎない勝利の方程式になったか。唯一の難点は、映画自体の問題ではなく、トレーラーで面白いシーンを露出し過ぎている点。

本作の舞台を宇宙規模に広げ、カラフルな世界観に統一。振り返れば、これまでの「マイティーソー」シリーズのイメージを刷新させることは必要な条件だったのかもしれない。おかげで「ガーディアンズ~」との距離が大幅に縮まった。「ガーディアンズ~」ファンとしては「アベンジャーズ」への合流に期待と不安が入り混じるが、本作の成功はMCUの1つ集大成となる「インフィニティ・ウォー」に向け、大きな追い風になったと思う。

【85点】

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