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リアル・スティール 【感想】

2011-12-22 01:12:19 | 映画
やられた〜「リアルスティール」。

ド真ん中ストレートを思いっきり投げ込まれ、ズバっと決められた感じ。
その球筋は見え見えなので、人によっては普通に打ち返して
「とんだ失投(駄作)だったぜ〜」と嘲笑うかもしれないけど、
私はこの映画に完全にハマった。

オスカーフリークの私にとって2年前の第81回アカデミー賞授賞式は忘れ難く、
私が見てきた授賞式の中では最も思い出深く、最も楽しい受賞式であった。
それは司会を務めたヒュー・ジャックマンのパフォーマンスによったもの。
私の大好きなX-MENシリーズのウルヴァリンでお馴染みのヒュー・ジャックマンが、
ミュージカル俳優としての一面を魅せた。
ブロードウェイの舞台でトニー賞を2度も受賞した実力を遺憾なく発揮。
オープニングでダークナイト、スラムドッグ〜といった、当時を彩った映画を
皮肉とユーモアを織り交ぜたオリジナルナンバーに載せて紹介。
中盤ではタキシード姿で登場した彼を中心にコーラスラインのパフォーマンス。
華麗なダンスとともに往年のミュージカルナンバーが歌いあげられ、
その舞台は夢のようだった。

そのヒュー・ジャックマンのエンターテイナーぶりががひたすらカッコよく、
一層のファンとなった私にとって、彼の久々の主演作である本作は、
今年の公開映画の中でも要注目な映画であった。

本作は、2020年という近未来を舞台に「ロボットボクシング」を通じて、
ヒュー・ジャックマン演じる元ボクサーで場末のロボットボクシングで日銭を稼ぐ
ダメ男「チャーリー」と、11年ぶりに再会した息子である少年「マックス」との
父子愛を描いたものだ。

「彼は僕の命の恩人だ」
と物語の冒頭、失意の中、泥まみれで崖に落ちかかったマックスと、
スクラップとして捨てられていたロボット「アトム」との出会いが何とも感動的で、
早くも涙腺が弛む。マックスとアトムの特別な運命を予感させるのに十分な導入だ。

「3つの孤独な魂が出会った時・・・」みたいな、3人目のキャラとして
ロボット「アトム」にもスポットがあたるような振れこみをCM等でしていたが、
本作で描かれるアトムには意志はなく、チャーリーとアダムに良いように
使われている印象があって、「もっと大切にせんかい」と最初、結構違和感があったが、
旧式ロボットとして体も小さく、スパーリング用ロボットとして戦闘力のないアトムに
搭載されていた機能「シャドー機能」というのが、その違和感をすべてクリアにしてくれた。

シャドー機能というのは、アトムが見たものをそのまま真似る機能。
チャーリー、マックスの動きがそのままアトムの動きになる。
そのシーンを見ていく中で途中からアトムという存在がイコール2人の分身に思えてきた。
(パンフレット等を見る限り製作側にその狙いはなかったようだが。。。)
アトムはチャーリーであって、マックスである。
クライマックスでのファイトシーンで絶体絶命の「アトム」に対して
「俺を見ろ」と投げかけるチャーリーのセリフはまるで自分自身への問いかけのように見えた。
アトムという、自身を映し出す「鏡」を通して2人の親子の絆が結実していく過程は心を打つ。

マックスを演じたダコタ・ゴヨのまっすぐな演技と、キュートで澄み切った眼差しに
何度もため息が出た。その表情は神がかっていて、映画に愛される俳優の誕生と言っていい。
クライマックスのシーン、リングサイドで戦う父親の姿に涙を浮かべるマックスの
その横顔を見て、知らないうちに頬がビショビショになるパターンである。

お目当てのヒュー・ジャックマンも、全盛期のニコラ・スケイジを彷彿とさせる
単細胞ぶりな演技が上手い。しかし、あくまでカッコよいヒュー・ジャックマン。
後半、マックスの想いを取り戻すために、「戦う」覚悟を決め、
父親のオーラをまとった姿がよく似合い、しっかりキメてくれた。

アトムのデザインもよくできていて、アトム自身に感情が通っているかのよう。
フルボッコにされるアトムを応援し、自然と手に汗を握る。

ロボット同士のボクシングもガチンコな殴り合いで容赦がないため、
見ごたえのあるファイトシーンに仕上がっているのも好印象だ。

どんなロボットも秒殺してきた絶対的王者ロボット「ゼウス」に
旧式ロボット「アトム」が挑むクライマックスでボルテージは最高潮に。
その興奮は初めてロッキーを見たときの感覚に似ていた。
迫力のサウンドと、会場の熱気がウネリとなってダイレクト伝わる臨場感。
これは映画館で観ないとダメなヤツだ。

細かいツッコミどころはあるが、それをイチイチ突っ込むのはこの映画に関しては野暮。
それらを補って余りある力強く、真っ直ぐなサクセスストーリーに万歳だ。

惜しむらくは映画の内容に関係のないパンフレット。
木下優樹菜の小学生の絵日記ばりの幼稚なレビューを最もらしく載せてたり、
やたらロボットのスペックにスポットを当ててたりと、
パンフを見る限りは3流映画にしか見えなくて実に残念だ。

【90点】
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