ようやくの日本公開に拍手。アメリカと中国、2国間のカルチャーギャップを、家族愛に絡めた秀作ドラマ。アメリカで暮らす移民の人たちには2つの故郷がある。血縁関係のある親戚一同が住むのは生まれた側の故郷、本作の主人公の場合は中国だった。日本とも少し違うけれども、久しぶりに親戚が集まったときの雰囲気とかは、同じアジア人と思え親近感がある。そして、その中心には優しいおばあちゃんがいるところもだ。
本作は、祖母の余命が短いと知らされた、主人公をはじめとする親戚一同が集まるという話。いわゆる「優しい嘘」というやつで、本人を悲しませないために、余命宣告の事実を隠し通す。これが本人にとって本当に良いことなのかは微妙なところで、個人的には同意しかねるが、本作の旨味はそこにあらず。大切に描かれる家族、親戚との時間に格別な心地よさがあって、最後に1人、道路の真ん中に立って、帰路につく一行を見送るおばあちゃんの姿に、自身の思い出が重なってウルウルきてしまった。ただし、最後の「実際はこうでした」の一幕は余計だったかな。
主人公演じたオークワフィナはいつものコメディエンヌぶりの抑え、繊細かつ真摯に役柄を演じていて素晴らしかった。
【65点】