から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

魂のゆくえ 【感想】

2019-04-17 07:00:00 | 映画


世界の創造主が神であるならば、その世界を破壊する人間を神は赦すのだろうか。
劇中の様々な局面で突きつけられる問いに思いを巡らす。本作の場合、環境問題に繋げているが、あらゆる人間の業にあてはまると思えた。人間の経済活動によって生かされる現代の教会組織。信仰の砦は、環境を破壊し利益を貪る者によって支えられる。タブーとも思えるテーマに切り込む脚本だが、敬虔なクリスチャンとして育てられた監督自身の手によるものだから驚きだ。映画は、神と人間の関係性を見つめ、苦悩する1人の神父の絶望と怒りと救済を描く。

今や”土産物屋”と揶揄される教会を代々受け継ぐ1人の神父。彼の元に現れた環境活動家の若い夫婦は、環境破壊による将来を憂い、身ごもった命を堕胎したいという。そんな夫婦に救いの手を伸ばしたことをきっかけに、神父の運命が大きく変わっていく。失望する教会の真実、神父が抱える過去の悲劇、体を蝕む病魔、迫る教会250周年の式典、いくつものタイミングが重なり、1つの計画へと突き進む。

ナレーションは神父の日記の独白だ。デジタルの時代、神父が手書きの日記に拘ったのは、訂正の筆跡も全て残すことにある。そして1年が経過したら、その日記を燃やす。事実と向き合い、全てを孤独のなかで完結させる覚悟だ。聖職者として自身を律し、迷える人々を救うことに努める神父の姿に、信仰が人間にもたらす力を垣間見る。

「希望と絶望を抱えて生きることが人生」。夫婦を救済するはずが、自身の無力さを知り、耐え難いジレンマに苛まれる。神父が信じていたものは何だったのか。淡々と、しかし確かに、神父の信念の移ろいが見て取れ、終始引き込まれる。静かに燃え滾る魂を体現したイーサン・ホークの名演は、今年のオスカー受賞に最もふさわしいと思えた(候補入りさえされてないけど)。

結末は、唖然とさせるものだった。現実から引き離したそのシーンは、神父への救済と感じられた。多くの結末が考えられるなか、最も観客の共感を得にくい選択に、監督の本作に賭ける思いが滲んだ。

【75点】

ゲーム・オブ・スローンズ 最終章 第1話 【感想】

2019-04-17 00:20:22 | 海外ドラマ


2019年における映画の世界最大のイベントが「アベンジャーズ・エンドゲーム」なら、海外ドラマにおける最大のイベントは間違いなく「ゲーム・オブ・スローンズ」だ。この2つのイベントが同じ月に重なるなんて奇跡だわ。

ついにこの日が来た。
約1年半ぶりの「ゲーム・オブ・スローンズ」(GOT)、その最終章となる第八章の放送が開始された。

世界同時放送のスターチャンネルに再び感謝。スカパー経由でみると、月額3,000円近くとなり、2か月で6,000円と安くない視聴料金だが、計6話、1話あたり1,000円、GOTの場合、1話の密度が一般の映画並みなので、まったく惜しくない。月額1,000円でストリーミングのみの「スターチャンネルEX」というチョイスもあったが、永久保存版として残しておきたいので、再びスカパー経由で見ることにした。

いつもは、録画してイッキ見をするところだが、どうしても待ちきれず1話目のみ先に見ることにした。簡単に感想を残す。

既に今年の海外ドラマのベストは「ゲーム・オブ・スローンズ」の一択で決まっているのだが、そんなファンの期待に応える堂々の滑り出しだ。

やっぱり、規格外(笑)。ワクワクと震えが止まらず。。。。
「待たせたぜ!」と言わんばかりに、オープニングも最終章仕様に一新されている。

前シーズンで、デナーリスと手を組んだスノウ。同盟軍を引き連れ、故郷のウィンターフェルに帰還する。前回、入れ違いになったアリアとブランに再会。すっかり大人に成長した2人に驚くスノウ。わかるわー。それぞれの苦難の旅路を思い出しながら、アリアとの熱い抱擁にウルウルするが、ブランは相変わらず淡泊。ブランの幼少期、守ってくれたお兄ちゃんなのにな。。。と、思い出に浸る間もなく、展開はホワイト・ウォーカーを迎え撃つ準備のため、閉鎖的なウィンターフェル連合とデナーリス軍との融和を目指す。



スノウの留守中、ウィンターフェルを統治していた妹のサンサだが、デナーリスを歓迎しない。賢明でプライドが高いという点で、実は似た者同士の2人。サンサは冷静に同盟軍が合流したキャパを問題視し、スノウとデナーリスの間に特別な感情が芽生えていることを見抜く。スノウによる説得も、サンサはデナーリスと手を組むことに懐疑的。「よっしゃ、みんなでホワイト・ウォーカーと戦うぞ!」と、容易に一致団結にはならない。



デナーリスが引き連れる2体のドラゴンも同行。初めてドラゴンを目の当たりにするウィンターフェルの人たちの反応も新鮮。前シーズンで感じたようにドラゴンもスノウを王と認めているようで、デナーリスとスノウの、空中ライドが実現。スペクタクルな視覚効果と迫力の滑空アクションにくぎ付けになる。「もう馬には乗れないな」のスノウの感想に納得。これぞGOTと興奮をかみしめる。



印象深い再会劇がもう1つ。スノウとぽっちゃりサムの再会だ。ナイツウォッチで固い友情を育み、その後、異なる道を辿り、再会を約束した2人。変わらぬ友情に感動するも、デナーリスの過去が引き金となって、スノウの出生の秘密を早々にバラしてしまう。観ているこちら側も、前シーズンで不確実に理解した、ブランが幻視した光景の意味が明らかになった。スノウがGOTの真の主人公だったことが確定する。

ほか、かつて夫婦だったサンサとティリオンの再会(懐かしい!)、前シーズンでスノウに叱咤されたシオンの覚醒(応援!)、血みどろの修羅場で別れたアリアとハウンドの再会、命の恩人となったサムとジョラーの再会など、前シーズンでは描き切れなった再会劇が目白押しで、シーズンを追いかけてきたファンには堪らない。壁の崩壊をチャンスとみる、ラニスターのサーセイの動向も気になるところ。サーセイ演じるレナ・ヘディ、やっぱ綺麗ね。

壁を越えてしまったホワイト・ウォーカーの脅威についても、ホラー映画ばりに触れられており、その決戦は、海外ドラマ、いや、映画界をしのぐ大変なスペクタクルになると予想。以降は、見たい衝動を抑えて、最終話まで貯めてイッキ見をしたいと思う。