Netflixのオリジナル海外ドラマ「キングダム」を見終わったので感想を残す。
計6話。
「キングダム」というと、今月実写映画が公開される、同名大人気漫画を思い浮かべるが、全くの別物。
韓流の時代劇にゾンビを掛け合わせた意欲作だ。予告編がリリースされた頃から楽しみにしていたが、まずまずの面白さ。及第点といったところ。
ベースは王族の権力争いを描いたサスペンス。韓国映画で見たことのある設定だが、”感染病”という形でゾンビが蔓延し、王族間の争いに影響を及ぼすストーリーが新鮮だ。
ドラマは終始シリアス。陰謀渦巻く宮廷ドラマに、ゾンビの存在が違和感なく融合している。完全なフィクションであるが、史実のように描こうとする意図がみえる。裏切りに合う主人公の王子は正義感の強いヒーローという立ち位置。罠にかけた王族勢力に追われながらも、襲いかかるゾンビたちから民衆を助けるべく奔走する。主人公のヒロイズムがしっかり抑えられている点が本作の要だ。
死んだ人間が蘇り人間を襲う”謎の奇病”に、初めて直面する人間たちのリアクションが生々しく、ゾンビへの耐性を知っていくプロセスに多くの時間が割かれる。「アイアムヒーロー」や「新感染~」で感じたとおり、韓国製作陣によるゾンビ描写が素晴らしい。ゾンビを演じるキャストたちの動きのつけ方(演出)、血肉をむさぼるゴア表現に遠慮はない。
本作のゾンビは猛スピードで走る。交通の利器が馬車くらいしかなかった時代、四方八方からダッシュで襲ってくるゾンビたちを振り払うのは至難の業。そこに大きなスリルが生まれる。俯瞰ショットを多用したダイナミックなスケールでアクションが展開する。日本ではまず撮れないゾンビドラマだ。
豊富な製作資金が投下されていることは想像に易く、映画並みのクオリティだ。当然、一般の公共電波には乗せられない内容であり、Netflixだからこそ実現できた連続ドラマといる。ただ、計6話という短さで予想したとおり、何の区切りもないまま、次のシーズン2にお楽しみが持ち越されたのは残念だった。
【65点】