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ラブ、デス&ロボット 【感想】

2019-04-12 07:00:00 | 映画


Netflixの連続アニメ「ラブ、デス&ロボット」を見終わったので感想を残す。

計18話だが、すべて独立した物語で、監督、キャストもすべて異なる。
1話あたり10分~20分のボリュームなので、エピソードをカウントしていないで見ると、「もう終わったの?」という具合になる。Youtube全盛の現代にあって、この短い時間も今のトレンドを汲んだ企画と思える。個性に富んだエピソードばかりなので、見た人たちの間でベストやワーストを議論したら盛り上がりそうだ。

”愛と死とロボット”
18個のエピソードに共通するテーマであり、いずれかのテーマに引っかかっていればOKのようだ。そのテーマの解釈も作品単位に委ねられ、愛→性的欲求、死→生きる、ロボット→未来、というように置き換えられたりする。過剰なほどにエロくてグロいエピソードが多く、刺激を求める大人のための寓話集だ。男性の陰茎もそのままアニメで描かれる。スポンサーにも、放送コードにも縛られないNetflixの強みが発揮されたコンテンツともいえる。

1話目「ソニーの切り札」からカウンターパンチ。高精細な3DCGアニメで、怪物たちを、映画「アバター」形式で戦わせる地下闘技場での一幕。迫力の格闘シーンに血肉が飛び散るスプラッター描写が想像以上で、どれも痛覚を刺激するほどだ。ゲームの「モータルコンバット」を彷彿とさせる。格闘後、女性同士のエロに向かい、再び、グロへ戻る。ひたすら過激。最後にはしっかりオチも用意されている。

2D、3DCG、手書き風、実写融合、実写との組み合わせ、など絵のタッチも表現手法もバラバラ。アクション、サバイバル、SF、ロマンス、コメディと、ジャンルもバラエティ豊か。エピソードの順番も緩急を意識しているため、連続で見ても飽きることがない。

ベストワンを決めるのが難しいため、個人的にお気に入りのエピソードを2つ挙げる。嗜好が中学から変わっていないため、わかりやすいやつをチョイス。



1つ目は「スーツ」。「スターシップ・トゥルーパーズ」と「パシフィックリム」をミックスしたようなアニメ。一見、アメリカのどこにでもある農場が舞台だが、宇宙につながる”穴”から肉食のエイリアンが出没する状況が日常になっている設定。家畜や人間を襲うので、農家がロボット(スーツ)を操縦してエイリアンたちを駆除している。まるでトラクターでも扱うようにロボットを操縦し、農場内には対エイリアンの装備もばっちり。意外な世界観と、3体のロボットが大量のエイリアンを駆逐する爽快感、ラスボスと攻防するクライマックスなど、男子ゴコロをアツくさせる。



2つ目は「グッド・ハンティング」。妖怪退治を生業とする親子(父親と男子)と、人間の男たちを惑わす妖怪狐の親子(母親と娘)。妖怪を害獣とみなし人間が妖怪を狩る関係から放たれたそれぞれの子供が、青年へと成長を遂げ、友情を形成、近代化する都市部で再会を果たす。機械工学で命を与えることに魅せられた人間の男子と、妖怪に化けることを忘れ娼婦として生きるようになった女子。序盤の日本昔話のテイストから、一気にギアチェンジして予想の斜め上を行くストーリーに転じていく。大胆に空間を使ったアクション、サイバーな近代都市の緻密な描写、2人の友情関係から生まれる、新たな「狩り」の形。長編で描かれるような物語を15分程度でギュッとまとめた短編アニメ。

ほかにも、哲学的要素も孕む(?)奇想天外コメディ「ヨーグルトの世界征服」、最もオチが読めなかったSFアニメ「ジーマ・ブルー」、アクションに魅せられる「ブラインド・スポット」も、非常に面白かった。

先月に見た「スパイダーマン・スパイダーバース」しかり、アメリカのアニメーションの勢いを感じた。

【70点】