から揚げが好きだ。

映画とサウナ。

シェイプ・オブ・ウォーター 【感想】

2018-03-04 15:43:56 | 映画


稀代の天才が究極のラブストーリーを描く。
残酷でグロテスクで妖艶で、とてつもなく美しい物語だ。ギレルモ・デル・トロの入魂の一作に震える。モンスター、ラブロマンス、歴史サスペンス、映画愛、様々な要素がシームレスに繋がり、美しい寓話として完成される。同時に、繋がることの美しさと排除することの醜さが鮮烈に描かれており、今の時代に通じるメッセージとして響く。画面の隅々にまでデル・トロの美学が注がれており、オープニングからエンディングまで、水と愛を調和させた流麗たる映像に酔いしれる。言葉を介さない2人のドラマにあって、音楽の使い方が秀逸。これまでの過去作以上に役者への演出面も光っており、総合芸術たる映画の完成度としてはデル・トロの最高傑作といって間違いない。また、本作の半魚人の姿を通して、これまでデル・トロがクリーチャーにこだわり続けてきた理由の一端が見えた気がする。愛という本能に生きたサリー・ホーキンスをはじめ、演技部門でオスカー候補となった3人の名演もさることながら、狂気のマイケル・シャノン、表現者のダグ・ジョーンズといった、他出演者たちのパフォーマンスにも強く引き付けられた。彼らがアカデミー賞の壇上で喜ぶ姿を見てみたい。デル・トロ映画のファンとして、イチ映画ファンとして本作に出会えたことは忘れがたい体験となった。

【90点】